BUMP OF CHICKEN史上最長ツアー、振替公演で終幕「福岡に来れてよかった」

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2018.3.20
BUMP OF CHICKEN(撮影:古溪一道)

BUMP OF CHICKEN(撮影:古溪一道)

BUMP OF CHICKENの全国ツアー「BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER」の福岡・マリンメッセ福岡公演の振替公演が、3月17日と18日に開催された。この記事では18日公演の模様をレポートする。

「PATHFINDER」ツアーは全29公演で約30万人を動員する、バンド史上最長の全国ツアー。今回の福岡公演はもともと1月27日と28日に開催予定だったが、メンバーの藤原基央(Vo, G)のインフルエンザ発症により急遽延期に。2月10日と11日に埼玉・さいたまスーパーアリーナで行われたツアーファイナル公演を経ての振替公演となった。

今回のツアーではステージ後方に大型のLEDビジョンを配置し、ステージ中央からアリーナへ伸びる長い花道とそれに続くサブステージも設置。花道およびその上部に平行に伸びた照明用のブリッジにも全面LEDが施され、多彩な映像演出を展開した。また振替公演の来場者には、藤原の描き下ろしによるキャラクター・ニコルのステッカーをプレゼント。「THANK YOU」「SORRY」の文字と公演日、そしてニコルのイラストがあしらわれたステッカーに、入場したファンは歓声を上げていた。

オープニング映像がビジョンに流れる中、升秀夫(Dr)、直井由文(B)、増川弘明(G)が順番にステージへ登場し、大歓声に包まれながらそれぞれの音を鳴らし始める。最後に登場した藤原は丁寧に頭を下げてから、ギターを高々と掲げた。そして最初に演奏されたのは、このツアーのために制作されたインストゥルメンタル曲「pathfinder」。カラフルなコンフェッティが場内を舞い、オーディエンスが腕に装着した自動制御のリストバンド型ライト・PIXMOBも鮮やかに明滅し、高揚感を煽るサウンドを華々しく彩った。最後にツアーのタイトル「PATHFINDER」がビジョンに大きく映し出されると、満員の観客から歓喜の声が沸き起こった。

花道とブリッジに光が行き来した「GO」では、藤原が2番の歌詞を「この日をずっと待ってたよ」と変えて歌い、オーディエンスのテンションをさらに高める。続く「天体観測」ではメンバーの力強い演奏に乗せ、ファンの大合唱が響いた。藤原と増川、直井がサブステージへ進み出て奏でたのは「ray」。3人はオーディエンスとアイコンタクトを取りながら、温かみのあるリズムを刻み続けた。

最初のMCでは直井が「福岡のみんな、会いたかったぞ!」と叫び、このツアーで恒例となった各地の名前をコールする流れへ。オーディエンスはメンバーの煽りに合わせて、手拍子しながら「福岡! 福岡!」と叫び、一体感を楽しんでいた。続く「宇宙飛行士への手紙」では升と直井が鳴らすどっしりとした低音と増川の鮮烈なギターサウンドが絡み合う。間奏ではサブステージに立った増川が激しく明滅する照明に照らされつつ、圧巻のソロを響かせた。藤原の情感豊かなボーカルと荘厳なバンドアンサンブルにオーディエンスが聴き入った「Ever lasting lie」、最新ナンバー「記念撮影」と、さまざまな年代の楽曲を披露していく4人。直井は今回のセットリストについて「新旧いろんな曲をやっているんですけど、初めて観る人は『全然わかんない』という曲もあるかもしれない。そしたら新曲のつもりで聴いてください。そしてしばらく離れてた人も『この曲知らない』という曲があったら、新曲のつもりで聴いてください(笑)」とファンに語った。

「今回のツアーはさいたまスーパーアリーナで終わる予定だったんですが……次の曲にもって来いの季節になりました(笑)」と、直井が紹介した次の曲は「pinkie」。2010年リリースのシングル「HAPPY」のカップリングとして発表されながら、今回がライブ初披露となったレアな楽曲に観客は大いにどよめいた。「花の名」で会場を圧倒したあと、4人はそろってサブステージへ移動。「涙のふるさと」のイントロを向かい合って鳴らし、温かみのあるサウンドで客席を包み込んだ。

藤原は「君たちのおかげでここに戻ってくることができました」と振替公演に足を運んだファンに改めて感謝を述べる。そしてこのツアーで初めてサブステージを使用していることを明かし「こういうことをするとは結成当初は思ってなかった。でもやってみたら、お客さんのそばにいられて、君に近付けてうれしい」と素直な気持ちを語り、大きな拍手を浴びていた。そんな距離感で、続いて演奏されたのは「You were here」。直井のゆったりとしたベースラインをバックに、藤原は会場の隅々を見渡しながら歌声を届けた。

メインステージへ戻った4人は「アンサー」「分別奮闘記」「宝石になった日」と、アッパーなナンバーを連発。「虹を待つ人」では藤原の「大きな声で『ここにいるぜ』ってのを叫んでくれよ!」という言葉に答え、満員のオーディエンスの大合唱が響き渡った。温かくも力強いアンサンブルで会場の一体感を高めた「fire sign」が終わると、藤原はギターを爪弾きながら「寂しいな……」とツアー終了を目前にした思いを明かす。そんな思いを振り払うように、藤原が歌い始めたのは「リボン」。4人の真摯な演奏で本編が締めくくられた。

アンコールとして「福岡」コールが起こる中、メンバーは再びステージへ。オーディエンスとの記念撮影を終えると、1曲目の「ガラスのブルース」を軽やかに奏でた。続く「流星群」では観客のPIXMOBが青と白に輝き、ステージ後方のビジョンには雄大な流星群の映像が映し出された。増川の奏でる柔らかなイントロから始まった曲はどんどん熱量を増していき、オーディエンスも息を呑んで聴き入っていた。演奏を終えた4人は互いの健闘を称えるようにハグやハイタッチを繰り返す。直井は「一番長いツアーが終わりました! ここにいるみんなのおかげ!」、増川は「(喋っていると)寂しくなっちゃうから帰るね(笑)。またね、バイバイ!」と挨拶。升と共に笑顔でステージを後にした。

最後に残った藤原は深々と頭を下げたあと「ここに来てくれてる人たちに対して、『ごめんなさい』と『ありがとう』と、それ以外の言葉を持ち合わせていません。予定を調整して来てくれたり、どうしても来られなかったり……そんなみんなに支えてもらってライブができて、福岡に来れてよかったと思っています」と挨拶。観客から大きな拍手を浴びた。そしてツアー中にできたという新曲を、1人で弾き語りで披露。温かなミディアムチューンを、福岡のファンへの感謝を込めるように丁寧に歌った。

歌い終えた藤原は残るメンバー3人を改めてステージへ呼び込んだ。4人は顔を見合わせて何事かを相談。オーディエンスのどよめきは、4人がセッティングを始めた瞬間大歓声に変わった。ロングツアーのラストナンバーとして届けられたのはインディーズ時代からの楽曲「DANNY」。振替公演に集結したファンにレアなナンバーをプレゼントした4人は、手をつないで歓声に応えていた。

「BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER」2018年3月18日 マリンメッセ福岡 セットリスト

01. GO
02. 天体観測
03. ray
04. 宇宙飛行士への手紙
05. Ever lasting lie
06. 記念撮影
07. pinkie
08. 花の名
09. 涙のふるさと
10. You were here
11. アンサー
12. 分別奮闘記
13. 宝石になった日
14. 虹を待つ人
15. fire sign
16. リボン
<アンコール>
17. ガラスのブルース
18. 流星群
19. 新曲
20. DANNY

音楽ナタリー
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