生稲晃子「私で良ければ力になりたい」、ヴァイオリニスト枝並千花が率いる新プロジェクト「オーケストラ・ポッシブル」会見 “音楽は心のくすり”をテーマに

レポート
クラシック
2018.5.3
(左から)枝並千花、生稲晃子、佐々木新平

(左から)枝並千花、生稲晃子、佐々木新平

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2018年5月2日(水)、都内にて、ヴァイオリニスト・枝並千花が率いる新しいオーケストラプロジェクト「ORCHESTRA POSSIBLE(オーケストラ・ポッシブル)」のお披露目記者発表会が催され、枝並と指揮者の佐々木新平、そして本企画の主旨に賛同したスペシャルサポーターの生稲晃子が登壇した。

「オーケストラ・ポッシブル」は映画音楽、TVドラマ音楽、ゲーム音楽、洋楽邦楽の名曲など時代やジャンルを超えた音楽を独自のアレンジで演奏する新生の音楽集団。2016年より最小編成で活動をはじめ、6月22日(金)に東京オペラシティ コンサートホールにて“音楽は心のくすり”をテーマに、日本の医療ドラマを彩ってきた名曲を放送局の垣根を越えて演奏する初のフルオーケストラコンサート「Born~音楽は心のくすり」を開催する。

枝並千花

枝並千花

枝並は、クラシック公演から、イディナ・メンゼル、2CELLOS、イル・ディーヴォのほか、X JAPAN初のアコースティック日本ツアーでもコンサートマスターを務めてきた。会見で枝並は「心に届く音楽を発信していきたい。それにはジャンルの壁はいらないと考えました」とジャンルレスで活動していきたいという本プロジェクトの主旨に触れ、「音楽は医療のように直接病を治すことはできないが、心の深い部分を支える大きな力を持っていると思う」と6月のコンサートで医療ドラマの名曲を扱うことに決めたいきさつを説明した。

佐々木新平

佐々木新平

「オーケストラ・ポッシブル」の指揮を務める佐々木は、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団にてアソシエイトコンダクターを務めており、松坂桃李主演映画『マエストロ!』では、西田敏行への指揮指導のほか、劇中音楽収録の指揮も担当。また岡田准一主演映画『海賊とよばれた男』では、メインタイトルほか劇中音楽を指揮している。佐々木は東日本大震災の後、宮城県で演奏する機会があり、そこで音楽が震災で傷ついた人々の心の癒しとなることを体感したという。その経験と枝並から聞いた本プロジェクトの主旨が重なり「枝並さんの熱い想いにこたえたいと考え、指揮を務めることを決めました。音楽で心を豊かにしていければ」と力を込めた。

生稲晃子

生稲晃子

スペシャルサポーターを務める生稲は、2011年に乳がんを発症、温存手術後に再発、全摘出手術、再建手術と、5年間に5度の手術を経験してきた。「入院中に一人で病室にいると、不安と恐怖でおしつぶされそうになってしまうんですが、その病院では24時間有線を聴ける環境があって、右胸全摘手術の前にはクラシック音楽をずっと聴いていたんです。音楽は感情に寄り添い、心を癒し、勇気を与えてくれる存在でした」と振り返る。その経験から本プロジェクトのスペシャルサポーター役の話が来た時には「ぜひやりたい」と即答したという。なお、会見後さらに話を聞いたところ、普段の生活では実兄の影響もあって、さだまさしやかぐや姫の楽曲を長年愛聴していた生稲。「楽しい歌であっても涙腺が緩むんです。聴く側の感情を解放してくれるこの感覚は、クラシック音楽に通じるものがあると思うんです」と笑顔を見せ、自身と同じ病と闘う人々に対して、この活動を通じて「微力ではありますが私でよければ力になりたい」と語っていた。

生稲晃子

生稲晃子

会見の後半では、枝並が『コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命』『白い巨塔』(共にフジテレビ)『ドクターX~外科医・大門未知子』(テレビ朝日)の劇中曲を披露。美しいヴァイオリンの音色に生稲が思わず涙ぐむ姿があった。

枝並による生演奏

枝並による生演奏

取材・文・撮影=こむらさき

公演情報

『ORCHESTRA POSSIBLE Born ~音楽は心のくすり~』

■日時:2018年6月22日(金)
■会場:東京オペラシティ コンサートホール
■出演:ORCHESTRA POSSIBLE(オーケストラ・ポッシブル) 
リーダー/コンサートマスター/ヴァイオリン/作曲/編曲:枝並千花
指揮/佐々木新平
■演奏楽曲(予定): 
『白い巨塔』『救命病棟24時』『医龍』『仁』『コードブルー』『DOCTORS~最強の名医』『コウノドリ』『ドクターX』より
■公式サイト:https://kyodotokyo.com/opb
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