祝・還暦! 戸田恵子が歌と芝居で魅せる一人芝居『虹のかけら ~もうひとりのジュディ』構成・演出は三谷幸喜

レポート
舞台
2018.5.24
『虹のかけら ~もうひとりのジュディ』

『虹のかけら ~もうひとりのジュディ』

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2018年5月24日(木)から東京・スパイラルホールにて、「Keiko Toda 60years Anniversary『虹のかけら ~もうひとりのジュディ』」が上演される。本作は戸田恵子の60歳を祝い、長年の友人である三谷幸喜が戸田のために構成・演出を手掛けた一人芝居だ。

ベースとドラムのお二人、何かを被っていますね…

ベースとドラムのお二人、何かを被っていますね…

『虹のかけら ~もうひとりのジュディ』

『虹のかけら ~もうひとりのジュディ』

本作で描かれるのは、映画『オズの魔法使』で全世界のアイドルとなった、天性のミュージカルスター、ジュディ・ガーランド…ではなく、ジュディの付き人であり、彼女専属の代役として長年に渡り影のように寄り添った「もう一人のジュデイ」ことジュディ・シルバーマンを描いた物語。影のジュディが光の当たるジュディに対して感じる愛情と憎しみを音楽と歌、そして朗読で綴る本作。音楽監督は三谷幸喜作品を多く手掛けてきた荻野清子が務め、荻野と共に平野なつき(ベース)、今井ブン(ドラム)が生演奏で戸田の芝居と歌声に彩りを添えていた。

荻野清子さんが何故こんなポーズをしているのか、劇場でご確認ください!

荻野清子さんが何故こんなポーズをしているのか、劇場でご確認ください!

『虹のかけら ~もうひとりのジュディ』

『虹のかけら ~もうひとりのジュディ』

三谷幸喜、戸田恵子

三谷幸喜、戸田恵子

通し稽古の前に行われた囲み会見では、三谷と戸田が姿を現すやいなや、三谷「三谷幸喜です」戸田「戸田恵子です」三谷「二人合わせて~」三谷・戸田「〇△☆※~です」と挨拶をワザとかぶらせグダグダとなるツカミで笑いを誘う。

さらに誰からもまだ話を振られていない状態だというのに、三谷が「(二人の)なれそめですか?」と自ら会見をスタートさせる。「僕は学生時代から戸田恵子さんの大ファンで、10代の頃からずっと戸田さんは雲の上の人でした。こうやって二人で会見に臨めるなんて夢のようです」と三谷が話し出すと、「いやいや、何度もこれまでも一緒に会見をやってきたじゃないの」と戸田が突っ込む。「今回生誕60周年記念のメモリアルな作品に関われることになれて感無量です。本当であればとてもじゃないけど関われる状況ではなかったので、事務所にも反対されたのですが、他の人に(戸田の舞台演出を)されたくないので」と三谷が名乗りを上げた経緯に触れていた。

三谷幸喜、戸田恵子

三谷幸喜、戸田恵子

ただ、筆が遅いことで有名な三谷なだけに、戸田から「台本が4日前にいただいて(笑)」と暴露されると三谷は「それ(ここで)言います(笑)? でも二人に信頼関係があるからこそ、4日前でも舞台ができるんだって分かりました」と開き直っていた。

『虹のかけら ~もうひとりのジュディ』

『虹のかけら ~もうひとりのジュディ』

一方、戸田は三谷に“ショービズに関わる有名女性の半生を演じてみたい”とリクエストし、多くの候補の中から“ジュディ・ガーランド”を選んだと説明した。今回のような公演について、戸田は「ミュージカルでもない、芝居でもない、ショーでもない、ライブでもない、朗読でもない……アメリカではよくあるタイプのショーケースなんです。ふらっと入っていって1時間くらいで楽しめる、日本では見かけないスタイルの小粋な感じのライブ。日本でこの形式を表す言葉がないんです」とコメント。その言葉に「ならばこれからは『戸田』と呼べばいいんじゃないですか?」と三谷がすかさず提案。戸田が何かを言えば三谷が突っ込む、三谷が何かを言うと今度は戸田が突っ込み返す。まるでベテランの夫婦漫才のようなやり取りを度々見せる二人だった。

『虹のかけら ~もうひとりのジュディ』

『虹のかけら ~もうひとりのジュディ』

なお、三谷はこの日の戸田の様子について「こんなにテンパっている戸田さんを見たのは初めて。僕は楽屋の廊下に立っていたんですけど、目の前を半ケツ状態の戸田さんが『ヤバイ!ヤバイ!』と言いながら通って行って……自宅じゃないんだから!」と舞台裏を暴露。その言葉に笑いながら戸田は「ここは皆を待たせてはいけないと思って!でも私の衣裳はいろいろ自分一人では脱ぎ着できない仕様になっていて……」と言い訳をすると、「もうちょっとパンツを上に上げればいいだけじゃないですか」とさらに追い打ちをかける三谷。たまらず戸田が笑い転げていた。

『虹のかけら ~もうひとりのジュディ』

『虹のかけら ~もうひとりのジュディ』

今回戸田は、ジュディ・ガーランドが過去に歌った曲を11曲披露する。「歌っている時の戸田さんは本当に幸せそうな顔をしている」と三谷に評されると、「それだけ歌やメロディに力があるんだとやりながら感じています」と笑顔を見せた。

『虹のかけら ~もうひとりのジュディ』

『虹のかけら ~もうひとりのジュディ』

4日間、5回だけの公演となる今回、戸田は「今から再演を希望しています! もっともっとブラッシュアップして全国の多くの方々にお届けしていきたいと思っています」と意気込む。「60歳を迎えて、疲れるようになったのは事実です(笑)。前は家に帰ってやろうと思うことが二つ三つできたんですが、今はパタンと寝てしまいます。でも、だからこそ今、この時間の大切さを感じるようにもなりました。いつまでも元気な先輩方を見習って、今という時間を大事にしていきたいと思います」と締めくくっていた。

ジュディ・ガーランドを知る人もずいぶん少なくなってきた昨今だが、この物語ではそんな前知識は不要。一人の女性が、自分と同じ名前の女性に対して愛憎相半ばしながら生きていく姿は、時代や文化を超えて観る者の胸に何かあたたかいものを残していくことだろう。それこそが戸田が言う「歌やメロディが持つ力」なのかもしれない。

なお、余談だが、劇場に足を運ばれる方は、ぜひ早めに会場に入り、開演前の場内アナウンスに注目していただきたい。きっと開演前から笑顔になれるはず!?

取材・文・撮影=こむらさき

公演情報

Keiko Toda 60years Anniversary
虹のかけら ~もうひとりのジュディ


■日程:2018年5月24日(木) ~ 5月27日(日)
■場所:スパイラルホール
■構成・演出:三谷幸喜
■出演:戸田恵子
■音楽監督:荻野清子
■ピアノ・アレンジ:荻野清子
■ベース:平野なつき
■ドラム:今井ブン
■料金:7800円(全席指定・税込)※未就学児入場不可 ※開場は開演の30分前
■お問い合わせ:スペース 03-3234-9999
■公式サイト:https://www.stagegate.jp/
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