柴幸男、善光寺のお膝元で仏教のことを描いた短編執筆
善光寺のお膝元で書かれた仏教の物語も
どんな複雑な地図も、四色あれば必ず塗り分けられる。
世界の数学者を百年以上悩ませた「四色問題」。
今回、私たちは演劇的なアプローチでこの難問の証明に挑戦する。
どんな複雑な世界も、四本の短編で描き出すことが出来る。
そう、四つの音から生まれる和音、セブンス・コードのように。
長野県長野市にネオンホールというライブハウスがある。この春、夏にはご開帳で全国から観光客が押し寄せた善光寺から徒歩5、6分のあたりだろうか。もちろんさまざまな音楽が聴ける場でもあるけれど、地元のアングラ劇団が客席を本当にギューギュー詰めにしたり(昔の東京の小劇場に当たり前にあった懐かしい風景)、夜な夜な大人の美術部や写真部のアトリエになったり、ボードゲームの会場になったり、とにかく何かが生まれだしそうな雰囲気が漂う素敵な空間なのだ。
ここで、ままごと・柴幸男が1カ月滞在し、オーディションで選んだ地元の役者たちを中心に稽古を重ね、短編集5編による『四色定理のセブンス・コード』の公演を行う。プロデューサーは、ネオンホールとの姉妹店である企画編集室で、カフェで、ギャラリーでもあるナノグラフィカの増澤珠美さん。「門前暮らしのすすめ演劇企画」と銘打って、青年団演出部所属、サラダボール主宰の西村和宏演出でいくつもの作品をつくり上げてきた。経験もさまざまな地元の役者さんを集めた公演だったのだけれど、それがなかなかよかったんですよ!!!!! かつて結婚式場だった建物で公演してた作品たちは、現代口語演劇がちゃんと根付き、芝居の世界が長野の街と地続きになっている。また街を歩くと、普通に仕事している出演者の方と出会ったりして、不思議な感覚を味わえたりもして。
さて、『四色定理のセブンス・コード』。これは『あゆみ』『ハイパーリンくん』『つくりばなし』『反復かつ連続』という柴の短編4本に、長野に来てから書き下ろした新作『ぼうずまるぼうず』をセットで上演するという企画。柴はネオンホールで入れ替わり立ち替わりやってくる役者たちと夜遅くまで稽古をしている。
新作『ぼうずまるぼうず』のことを少し聞くと、柴は「最近、原始仏教に興味があって、僕の仏教観がすごく出ているんじゃないかな。般若心経のラップも練習してもらっています」とのこと。あの善光寺のお膝元でそれを書いているので、きっと大きなパワーをもらっているのかもしれない。そして、もしかしたら、いつか長編として全国の皆さんの前でお披露目される可能性があるかもしれないという。
「ハイパーリンくん」稽古の様子 撮影:大沢夏海
そうそう、マームとジプシーの『cocoon』にも出演していた長野県を拠点に活躍する伴朱音も、『あゆみ』『反復かつ連続』に出演している。
ネオンホールプロデュース演劇公演⑤『四色定理のセブンス・コード』
■日時:2015年10月29日(木)19:00・30日(金)19:00・31日(土)14:00/18:00・11月1日(日)14:00/18:00
■会場:ネオンホール(長野市権堂2344 2F Tel.026-237-2719)
■料金:【全席自由】一般2,500円/学生1,500円、当日は各500円増 ※小学生以下1,000円(座席が不要なお子様は無料)、フリーパス4,000円(前売りのみ)
■公式サイト:http://www.neonhall.com/