オメでた、TRF、レキシ、BiSH、和田アキ子、ホルモンら、世代もジャンルも関係ナシにカッコいいもの全てを受容する『氣志團万博2018』1日目レポート
氣志團 撮影=青木カズロー
シミズオクト Presents 氣志團万博2018 ~房総爆音爆勝宣言~
【DAY1】2018.9.15(土)袖ケ浦海浜公園
9月15日(土)、16日(日)の2日間にわたって行われた『シミズオクト Presents 氣志團万博2018 ~房総爆音爆勝宣言~』。あいにくの雨の中、ここから始まる楽しすぎる2日間への期待で胸を膨らませながら、海沿いの道に行列を作るオーディエンスと共に会場入りした僕。誰に頼まれたわけでもないけれど、今年も“ひとつの奇跡も見逃さないため、全てのアクトを見る”の課題を自分に課しているため、“WELCOME ACT”としてMOSSAIステージに登場する、オメでたい頭でなによりのステージに急ぐ。
オメでたい頭でなにより 撮影=青木カズロー
開演前の万博会場を朝からハイテンションなステージで盛り上げていた、『氣志團万博』初登場のオメでたい頭でなにより。歌にトークにダンスに卓越した演奏にと、様々なパフォーマンスを駆使して、入場を急ぐ観客の足を止める。ラスト「オメでたい頭でなにより」ではフィールドに巨大サークルを生むと、雨の中、赤飯(Vo)自らがサークルの中央に飛び込み、力づくでクライマックスを作る。その無謀とも言えるアグレッシブな姿勢と『氣志團万博』に賭ける気持ちに、朝からすっかり感動させられてしまった。
森山直太朗、綾小路翔(氣志團) 撮影=釘野孝宏
YASSAIステージに足を進めると、たくさんのオーディエンスがフィールドで開演を待つ中、オープニングセレモニーアクトの森山直太朗が粋な浴衣姿で登場。「『氣志團万博』のために作った曲を歌っても良いですか?」と「さくら(独唱)」を歌ったり、「この後、サプライズで翔やんが出て来るんで、驚いてあげて下さい」と台無しなネタ振りをしたりとボケまくり、「バウムクーヘン」を歌い始めると、予告どおり綾小路 翔が登場(笑)。揃いの浴衣姿で仲良く歌い上げ、二人揃っての選手宣誓で『氣志團万博』初日が本格スタート!
TRF 撮影=上山陽介
YASSAIステージのトップバッターはTRF。「おはよーっ!」という、TRFからはなかなか聞かない挨拶で始まったステージでは、往年のヒット曲を惜しみなく連発。結成26年を経て、衰えを知らないどころか、さらなる高みを求めている感さえあるたくましい歌とダンス、肉体美は本当に凄まじく、ラスト「survival dAnce」で会場中が歌い踊る姿を見て、その凄まじさに圧倒されると同時に、強烈な楽しさと感動で思わず涙してしまった。
KEYTALK 撮影=中野修也
SiM 撮影=青木カズロー
JUN SKY WALKER(S) 撮影=上山陽介
レキシ 撮影=釘野孝宏
MOSSAIステージでは雨の中、「祭りじゃ、祭りじゃ!」と「MATSURI BAYASHI」を高らかに鳴らすKEYTALKにオーディエンスが大熱狂。YASSAIステージでは「この時間を任された理由、グシャグシャにしろってことでしょう!?」とSiMがびしょ濡れになりながら、泥だらけのフィールドをめちゃくちゃに掻き回す。さらにYASSAIステージでは80年代バンドブームの中心人物、JUN SKY WALKER(S)がついに降臨。「歩いていこう」で始まる神セトリで僕を含む元バンドキッズたちを大興奮させると、レキシが「俺んとこ来て、稲穂振らないか?」と「ONE NIGHT 稲穂」でフィールドに実る大豊作の稲穂を刈り取る。そう、この振り幅やはちゃめちゃさこそが『氣志團万博』! 世代とかジャンルとか関係ナシに楽しいものは楽しい、カッコいいものはカッコいいと全てを受容してくれるのが『氣志團万博』なのだ。
岡崎体育 撮影=釘野孝宏
04 Limited Sazabys 撮影=中野修也
coldrain 撮影=青木カズロー
そんな中、『氣志團万博』に新時代到来か? と思わせるほど、若い世代の台頭が目立った今年。MOSSAIステージに登場した、今年で3度目の出演となる岡崎体育は、去年一昨年とMOSSAIのトリを見事に務め上げたにも関わらず、今年もYASSAIステージに出れなかったことへの不満を語り、「こうなったらMOSSAIの神、MOSSAI様になってやる」と、この日のために作った新曲「MOSSAI様」を披露し崇められる(笑)。さらに「swim」で始まる盛り上がり必至のライブチューンを連発し、遠慮のないステージでフィールドを掻き回した04 Limited Sazabys。「『氣志團万博』は色んな音楽と激しい音楽が好きなんじゃないですか?」と爆音を鳴らし、冷たい雨で冷えたオーディエンスの体を熱くさせたcoldrainと、『氣志團万博』に変化をもたらす若い世代が、ここから綴られる新しい物語の始まりを予感させてくれた。さらに『氣志團万博』に贔屓されている岡崎体育に嫉妬するバンドも現れ、そこにも新たな因縁や物語の始まりを予感させてくれたのだが、それは翌日の話。
Dragon Ash 撮影=上山陽介
パラパラと降り続けていた雨も上がった夕刻。「AMBITIOUS」で始まる、攻撃的かつ鉄壁の歌と演奏、ステージングで圧倒したのはYASSAIステージに登場したDragon Ash。自身のスタンスを証明する「Mix it Up」や、<何にもないってこと、そりゃあ なんでもあるってこと>と歌うHIDE「ROCKET DIVE」のカバー、ライブの面白さや醍醐味をしっかり伝えた「For divers area」や「The Live」といったセットリストに、『氣志團万博』への愛や理解や意気込みをしっかり感じたし、なによりステージで演奏するメンバーがめちゃくちゃ楽しそうだったのが実に印象的だった。
BiSH 撮影=釘野孝宏
竹原ピストル 撮影=上山陽介
「スタイルでなく、既成概念を壊すのがパンク」と綾小路が煽りVTRで評価し、実際に巨大サークルピットで肩を組んで回る姿や波打つヘドバンなど、アイドルのライブではなかなか見ない光景をたくさん生み、渾身のシャウトで『氣志團万博』にしっかり爪痕を残したのはBiSH。そして綾小路とは高校時代、木更津で同じ時代を過ごしたという竹原ピストルは、この地で歌えることの喜びを語り、痛烈なメッセージをオーディエンスの心に刻む。どのアクトも他のフェスなら入場規制がかかるほど、フィールドから溢れる観客を集めていたMOSSAIステージだったが、中でも高い注目を集めていたのは、岡崎体育以来の初出場にしてトリを務めた、打首獄門同好会。
打首獄門同好会 撮影=釘野孝宏
煽りVTRで「『氣志團万博』や氣志團に強いリスペクトとシンパシーを感じる」と語り、綾小路を喜ばせた打首獄門同好会。うまい棒をばら撒き、フィールドにマグロを踊らせ、短い時間の中に山盛りの演出を詰め込んだステージでオーディエンスを沸かせ、『氣志團万博』との親和性の高さを見せる。「日本の米は世界一」で、レキシが「他のアーティストの時に振るなよ?」と言っていた稲穂を掲げさせてしっかり刈り取るという、綺麗すぎるオチまで付けたラストはお見事! アリーナクラスの大会場を埋める動員を持つ出演者も多くいるMOSSAIステージ。この豪華ラインナップが、この日のために準備したスペシャルなライブをこんな近距離で見られるフェスは『氣志團万博』だけ!
和田アキ子 撮影=青木カズロー
和田アキ子 撮影=青木カズロー
陽が暮れ始めた頃、YASSAIステージに登場したのは3度目の出演となる、和田アキ子。「『氣志團万博』、帰ってきたで!」と笑うと、管楽器を含む豪華バックバンドを従えて「笑って許して」「古い日記」と続けて名曲を披露。テレビで見るタレントとしての顔ではなく、ソウルシンガー・和田アキ子のカッコ良さを知らしめる。今年、歌手生活50周年を迎えたことを告げて温かい拍手を受けると、自身のルーツであるソウルミュージックについて語り、8月に亡くなったソウルの女王、アレサ・フランクリンの「Rock Steady」をカバー。さらに「SOUL MAN」、「Uptown Funk」とソウルの名曲を圧倒的歌唱力で披露し、ラストは「みんなに希望の鐘が鳴りますように」と語り、「あの鐘を鳴らすのはあなた」を熱唱。ソウルシンガーとしての凄みと誇りをしっかり感じさせるスペシャルなステージは本当に感動的で、ステージを終えて「『氣志團万博』、最高!」と満足そうな笑顔を見せる和田に、会場中から大きな拍手が送られていた。
和田アキ子 撮影=青木カズロー
マキシマム ザ ホルモン 撮影=浜野カズシ
マキシマム ザ ホルモン 撮影=浜野カズシ
すっかり陽も落ち、袖ケ浦が闇に包まれる中、YASSAIステージに登場したのは“氣志團とは20年来の腐れ縁”と語る、マキシマム ザ ホルモン。「FUNKY MONKEY BABYSです!」と自己紹介する煽りVTRで、FUNKY MONKEY BABYSのTシャツを着た4人が「小さな君の手」を歌い踊るという悪ふざけ満載なオープニングから、「何がFUNKY MONKEY BABYSじゃ!」と「maximum the hormone」の極悪サウンドでヘドバンの嵐を起こすという、他のフェスでは絶対しないであろう演出でオーディエンスを沸かすと、攻めのセトリでフィールドをぐしゃぐしゃに掻き回し、もはやホルモンの独壇場。やりたい放題のステージにも、“しばらくライブを休止する”という大事なお知らせをする場に『氣志團万博』を選んだことにも、『氣志團万博』への愛や信頼を感じた。
氣志團 撮影=青木カズロー
氣志團 撮影=青木カズロー
そして、いよいよ初日もラスト。YASSAIステージには、フェス形式になってから7年目にして初の両日トリを務める氣志團が登場。大量のスモークが焚かれる中、ステージに現れたメンバー。ワッショイの掛け声も勇ましいインストナンバー「スパトニック・シティ・ブビブビ」のロックバンド然としたたくましい演奏で、大舞台の幕を開ける。キラキラ輝くスパンコールの学ランを光らせながら、この舞台から愛を込めて歌った「スポットライト」、大勢のダンサーを引き連れての振り付けやメンバーのラップパートと見どころ満載の「週末番長」と、お祭り騒ぎだった一日を締めくくるに相応しい、最高に楽しいステージを展開した氣志團。
氣志團 撮影=青木カズロー
氣志團 撮影=青木カズロー
氣志團 撮影=青木カズロー
極めつけは「One Night Carnival」の演奏後、「いつまでもこんな古い曲に頼ってちゃいけない!」と披露した、「O.N.C. ~One Night Carnival 2018~」。ユーロビートの曲調に“いいねダンス”まで飛び出す、DA PUMPオマージュな「One Night Carnival」に会場中が大爆笑! カッコいいと楽しいをひたすら追求した、主催者として、ロックバンドとして、意地と誇りと覚悟を感じるステージにオーディエンスが魅了される中、綾小路は「ありがとうしか言えないけど、ありがとうしか言いたくない」と、観客や出演者、万博に関わる全ての人に心からの感謝を告げた。ラストは楽しすぎた1日を思い返しながら、みんなで空に上がる花火を眺めて初日が終演。終演後も会場には多幸感が満ち溢れていた。
撮影=青木カズロー、上山陽介、釘野孝宏、中野修也
氣志團 撮影=青木カズロー