teto「バンドを組む前の夢見る小池少年が良いなと思ってた1stアルバム」ーー現在のtetoの魅力全てが詰まってる

インタビュー
音楽
2018.11.17
teto  撮影=小杉歩

teto 撮影=小杉歩

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結成したのが2016年の1月にも関わらず、すごい早さで物事が進んでいると思う。でも、それを当の本人たちは特に何も感じていない。ライブも何度も観ているが、本当に全てを出しきっているし、ドカドカグシャグシャという言葉が似合っていて、変に先の事を考えていない“NO FUTURE”感がたまらない。まぁ、だから、そのグチャグチャとライター如きが色々言う必要もないし、本人も言っているが、音楽を聴けば全てがわかるという話である。特に今回の1stフルアルバム『手』は、そういうアルバムだ。早い話が別にインタビューも必要ではない。tetoに限らず、良い音源を出したミュージシャン、バンドはインタビューを読む暇があれば、その音源を聴いて欲しい。が、インタビューを読めば、その人間性がわかるという利点だってある。こんな序文が既に蛇足なのだが、とにかく『手』には現在のtetoの魅力全てが詰まっているので、聴いて欲しいし、このインタビューも何かしらお役に立てば幸いである。

――結成してすごい早さで活動しているように思われますが、いかがですか?

小池貞利(Vo/Gt):自分たち以外の方のスピードがわからないので、どんなものなのかなと……。

佐藤健一郎(Ba):感覚で言えば、早かったですね。早く過ぎてったというか。でも、充実してる感覚はあります。

山崎陸(Gt):僕は目まぐるしく感じていますね。まだ、1年半しか経ってないのかと。もっと前からやってる気もしますし。忙しいという感じではありますが、わかんなくなってきてますね。

福田裕介(Dr):目まぐるしくは感じていないですね。でも、どんどん時間は過ぎていくというか……。

小池:それを目まぐるしくって言うんだよ! 日常からゴリラなんだからよ!

――日常からゴリラって何ですか!?(笑)

山崎:喋れる赤ん坊っていう感じですかね。それくらいのレベルです(笑)。

小池:「日常からゴリラ!」を見出しにしてください。

――ハハハ(笑)。まぁ、でも当の本人たちにスピード感を聞くのも難しいですよね。

小池:そうなんですよ。僕らは何も変わってなくて。これは難しいですね。説明したところで、どう伝わるのかも怖いですし……。

山崎:僕も同じですね。だから、26歳+2年と言うだけで。

teto 撮影=小杉歩

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――こんな話もメンバー間でする事もないですもんね。

小池:そうですね。こういう話は、あまりした事ないですから。

――でも、26歳で結成は結構ゆるやかなスタートですよね。

小池:20歳前後の群馬にいた時にドラムの福田と半ば趣味で月1回、スタジオにちょっと遊び感覚じゃないですけど、1年くらいバンドはやってたんですよ。

――当時はプロは考えずですか?

小池:考えてなかったですね。

福田:まさか1回解散してるのに、また一緒にバンドをやるとは思わなかったですね。だから、嬉しかったです。

――佐藤君と山崎君との出会いは、どんな感じでしたか?

小池:(佐藤は)専門学校の後輩で、特に楽器をやった事は無かったんですけど、話している感じが良いなと。僕は元々ベースだったので、ベースだったら教えられるかなと。ギターはサポートを入れてやっていたんですけど、そんな時に弾き語りをやってる山崎に出会いました。

山崎:弾き語りを半年くらいやっていたんです。元々バンドのライブを観に行くのは好きだったんですけど、こんなかっこいい事を自分がやるのは恐れ多いなと思っていました。自分が何かしら楽器をやるなんて無理だと思っていたんですけど、誰も知ってる人がいない東京だし、まぁ、やってみるかと。

小池:山崎を一言で言えば、華があったんですよ。ベースの彼もそうですけど、ギターも上手いとかじゃなくて、いい人間かという事と、言いたい事が伝わるかという事ですね。

佐藤:私は小池さんがおもしろい人だなとは思いました。で、曲を聴かせてもらった時にやりたいなと。これから本気でやっていく時に、楽器が出来ない人を誘うのって、おもしろいですから。

小池:ベース上手くなっていくっしょ! という感じでしたけどね。今まで弾いてなかっただけですから。

―一度辞めたバンドをもう1回やってみようというのは、もっと多くの人に聴かせたいと思ったというのはありますか?

小池:もっと多くの人に聴いて欲しい……、何だろうな……。でも、ただ聴かせればいいわけじゃないし…。言葉にすれば濁るので……。

teto 撮影=小杉歩

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――でも、今のメンバーとは手応えはあったんですよね?

小池:そうですね。手応えあるのが、一番いいですよね。

山崎:バンドって、こんなにわかんないんだなとは思いましたね。どれが自分の音か、よくわかんないですし。でも、ひとりでやってる時とは心強さは違いますよね。

――弾き語りの時よりは、手応えがありましたか?

山崎:手応えは未だに無いですよ。4人でやるの、いいなとやだなの繰り返しですから。

――対バンツアーでは色々な先輩バンドとやりましたよね。色々なタイプのバンドがいましたが、いかがでしたか?

小池:たまたま、やってる事が違うだけで、やりたい事は同じだったりするんだろうなって。そういうバンドに逢うのは、おもしろいですよね。

佐藤:私なんかゼロから始まってますし、ライブハウスに行った事も無かったんです。だから、間近で先輩を観れたりとか、お話を出来たりとかは刺激をうけますね。

福田:前に普通に観に行っていたバンドと一緒に出来たのは嬉しかったですね。

teto 撮影=小杉歩

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――僕も何度かライブを観ていますが、tetoのライブ、で、特に小池君は終わった後、倒れ込むじゃないですか、ステージ上でも、ステージ降りてからでも。あの出しきった感じが好きなんですよね。

小池:出しきるのは最低条件じゃないですけど、まぁ、嬉しい事に待ってくれてる人もいますから。

――だからこそ、出しきるのが当たり前と言う感じですか?

小池:色々な出し方があって、その中で自分たちの出し方は、あれでして。わかりやすいっちゃ、わかりやすい出し方だと思うんです。ああいう姿を出さない方がいいとは思いますが、どうしても出ちゃうんです。出さなくて済むなら、出したいものではないですよ。音楽性を含めると、ああいう風になるのかなって。しょうがないというか。結果論ですけど。暴れるというと言い方変ですけど、声を張り上げるというのが出しきる訳でも無いので。

――元々のルーツでいうと、どういう音楽を聴かれていましたか?

小池:パンクとかハードコアが多かったですね。日本のロックのライブを観に行ったりとかは無かったですね。

――特にパンクやハードコアに惹かれた部分って、どういうところですかね?

小池:めちゃくちゃなとこですかね。自分じゃ出来ない事を代弁してくれるというか。

――その点で言うと、今回のtetoの1stフルアルバム『手』は、そういうアルバムになっていると思うんですよね。

小池:う~ん、難しいですね……。ずっとバンドを好きな時から、自分が聴きたい1stフルアルバムを作りたいなとは想ってましたけど。でも、手応えとかはないんですよ、本当に。難しいですよね……。言葉にしていくと伝わらない事も更にあるので……。音楽だけを聴いてもらえたら、わかると思うんですけどね。これ聴いて『dystopia』(2017年発表ミニアルバム)から変わったと言う人もいるかもですけど、そんな事は無くて、あの時から作れたアルバムですね」

――『dystopia』の時から既に考えておられたアルバムって事ですね。

teto 撮影=小杉歩

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小池:そうですね。バンドを組んだ時、いや、バンドを組む前の夢見る小池少年がいいなと思ってた1stフルアルバムですね。次を早く作りたいという想いもあるんですけど、夢見る小池少年の想いが詰まったこのアルバムを超えるのは、きっと難しいですね。

――1stフルアルバムって特別なものですよね。

小池:凄いのを作りたいなとは思ってましたね。同じ1stでも、ミニアルバムはミニアルバムなんですよ。1stフルアルバムは、むちゃくちゃ純度が高くて、何でもアリみたいな感じが、自分が聴いてきた1stフルアルバムの中では一番憧れるとこでしたね。変に取り繕ったものがない等身大がいいなとは思ってました。

山崎:1曲1曲一生懸命やらしてもらっただけですね。死ぬまで、まだまだと思うんでしょうし。

佐藤:作り終えた時も、作り終えた実感は持てなかったですね。実際出てからも、実感は難しいです。本当に出たんだなという感じですね。

福田:大変でしたね。半年くらいやっていたのかな。

山崎:もっとじゃない?

福田:間にライブもあったし。

山崎:ギュッとしたら、短いですけど。

teto 撮影=小杉歩

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――間にライブもあっての長いレコーディング作業というのは大変だったんじゃないですか?

小池:でも、曲を作るのが生き甲斐なので。それしか出来ないですし……。形になるまで時間はかかりますけど、形になるとおもしろいので。今は歌いたくないなという時は無理に作らなかったですし、曲によっては中々進まないものもありました。そんな時は、他の曲を作ったら進むんですよね。パンクっぽいのを作りたくないと思ったら、ゆっくりなのを作ったりしてました。何をしてもtetoになるので。他の人には出来ない事をやってますし、他の人がやってる事も出来ないですし。まぁ、お互い様ですよね。

――先程も少し話しましたが、次のアルバムは大変だと思いますが、どうしても期待してしまいます。

小池:頭の中では2枚目までは出来てます。超えていくのは難しいですけど……。でも『dystopia』の時から自分じゃ出来ない事を出来ると思って、それを出せましたし、1stフルアルバムも作れましたしね。更に違う……、まぁ、それが大変なんですけど……。

――本当に大変な作業だと思いますが、やはり、どうしても期待してしまいます。今日は、ゆっくり話が聴けて嬉しかったです。ありがとうございました。

teto 撮影=小杉歩

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teto ツアー2018「結んで開いて」大阪公演レポ―トはこちら

取材・文=鈴木淳史 撮影=小杉歩

ツアー情報

teto ツアー2018「結んで開いて」
11/17(土) 札幌BESSIE HALL
OPEN 17:30 / START 18:00
※ワンマン
11/29(木) 高松TOONICE
OPEN 18:30 START 19:00
※ワンマン
12/1(土)福岡DRUM SON
OPEN 17:30 START 18:00
※ワンマン
12/02(日) 広島4.14
OPEN 17:30 / START 18:00
※ワンマン
12/07(金) 恵比寿LIQUIDROOM
OPEN 18:00 / START 19:00
※ワンマン
12/27(木)千葉LOOK(※ワンマンライブ・ツアー初日振替公演)

▼前売り:¥2,800(D代別)
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