『不思議の国のアリス展』、兵庫県立美術館で開催 ダリや草間彌生、ヤン・シュヴァンクマイエルらの作品も

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2018.12.19
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『不思議の国のアリス展』神戸展が、2019年3月16日(土)〜5月26日(日)まで、兵庫県立美術館にて開催される。

イギリスの作家、ルイス・キャロルの名作『不思議の国のアリス』は誕生から約150年を迎え、すでに170もの言語に翻訳され、初版から毎年途切れることなく出版され続けている世界的ベストセラー。少女アリスが迷い込む不思議な世界とキャラクターは、今もなお、国や地域、年齢を問わず多くの人を魅了し続けている。

本展は『不思議の国のアリス』の原点や、現代に至るまで、様々な分野に影響を与え続けるこの物語の魅力を、日本初公開を含む貴重な作品と共に紹介する。

第1章 始まりの話 ― アリス誕生

チャールズ・ラト ウィッジ・ドッドソン 「アリ ス・リデルの肖像」(複製) From The New York Public Library

チャールズ・ラト ウィッジ・ドッドソン 「アリ ス・リデルの肖像」(複製) From The New York Public Library

『不思議の国のアリス』の作者ルイス・キャロルは、英国オックスフォード大学のクライスト・チャーチの数学講師だった。本名はチャールズ・ラトウィッジ・ドッドソン。キャロルは幼いころより創作意欲に富み、数学者として書物を著す一方、詩や物語も書く青年だった。その彼の人生を大きく変えたのが、学校に新しく赴任してきたリデル学寮長の娘、アリス・リデルに出会ったことだった。

ルイス・キャロル 「切手ケース」 Lewis Carroll, The Wonderland postage stamp case, The Rosenbach, Philadelphia

ルイス・キャロル 「切手ケース」 Lewis Carroll, The Wonderland postage stamp case, The Rosenbach, Philadelphia

1862年のある夏の午後、アリスと2人の姉妹を連れてボートでの遠出に出かけたキャロルは、3姉妹からお話をするようせがまれる。そこで生まれた物語が『不思議の国のアリス』の原点となった『地下の国のアリス』だ。この話をとても気に入ったアリスが「今日のお話を本に書いて」とねだったので、キャロルは自筆の挿絵入りの本を完成させてアリスに贈ったのだった。その話があまりにもおもしろく、周囲から出版を勧められることになったキャロル。当時の人気画家ジョン・テニエルに、出版に向けて挿絵を依頼する。

ジョン・テニエル 「『不思議の国のアリス』挿 絵のための下絵 《いったい、わたしはこれからどう なってしまうの》」 John Tenniel, “What will become of me!”. The Rosenbach, Philadelphia

ジョン・テニエル 「『不思議の国のアリス』挿 絵のための下絵 《いったい、わたしはこれからどう なってしまうの》」 John Tenniel, “What will become of me!”. The Rosenbach, Philadelphia

その後、1865年に『不思議の国のアリス』が出版されると、キャロルは一躍人気作家に。そして、この時のテニエルの挿絵が、後のアリス像を決定づけることになっていくのだった。

第2章 アリスの物語 ― 不思議の国への招待

ジョン・ヴァーノン・ロード 「『鏡の国のアリス』第6章より 《ハンプティ・ダンプティ》」 (C)John Vernon Lord

ジョン・ヴァーノン・ロード 「『鏡の国のアリス』第6章より 《ハンプティ・ダンプティ》」 (C)John Vernon Lord

『不思議の国のアリス』は12章からなる物語で42枚の挿絵を含んでいる。42という数はルイス・キャロルが好んで使う数だった。その後に書かれた『鏡の国のアリス』も、『不思議の国のアリス』と同じ12章からなっている。ふたつの物語は、アリスを助けたり、困らせたり、怒らせたりする魅力的な登場人物にあふれている。シロウサギやチェシャネコ、ハンプティ・ダンプティなど、すでによく知っているキャラクターもいることだろう。

ヘレン・オクセンバリー 「『不思議の国のアリス』 第7章より 《へんなお茶会》」 (C)Helen Oxenbury

ヘレン・オクセンバリー 「『不思議の国のアリス』 第7章より 《へんなお茶会》」 (C)Helen Oxenbury

本章ではこのふたつの物語が、現在活躍中の世界的に有名な7名のアーティストによって、色鮮やかに語られてゆく。物語を読んだことがない人でも、知らず知らずのうちにアリスの世界に引き込まれ、これらの物語に心新たに出会うことができるだろう。

チャールズ・サントーレ 「『不思議の国のア リス』 第5章より 《イモ虫からの忠告》」 (C)Charles Santore

チャールズ・サントーレ 「『不思議の国のア リス』 第5章より 《イモ虫からの忠告》」 (C)Charles Santore

第3章 アートの国 ― 世界が愛する永遠のアリス

草間彌生《こんにちは》1989年 松本市美術館蔵

草間彌生《こんにちは》1989年 松本市美術館蔵

『不思議の国のアリス』の世界観は、本にとどまらず、さまざまな分野でも広く愛されている。映画、アニメーション、舞台などにも、その姿を見ることができ、多くのクリエーターたちが創作意欲を刺激されることで、美術や芸術にも昇華されている。では、この物語が出版から150年以上経った今もなお、ジャンルを問わず色あせることもなく、こんなにも多くの人々を惹きつけてやまないのは、なぜなのだろうか。

エリック・カール 「チェシャネコいもむし」※描き下ろし "Cheshire CAT-erpillar" created by Eric Carle, 2018. Image reproduced with permission from the Eric Carle Studio.

エリック・カール 「チェシャネコいもむし」※描き下ろし "Cheshire CAT-erpillar" created by Eric Carle, 2018. Image reproduced with permission from the Eric Carle Studio.

本章では、多種多様な「アリス」を一堂に集め、この物語の不思議な魅力に迫る。アーサー・ラッカム、エリック・カール、ヤン・シュヴァンクマイエル、サルバドール・ダリ、マリー・ローランサン、草間彌生清川あさみ、山本容子ほかさまざまなアーティストが独自に独特な「アリス」を創りだすことで、異なる世界観が次々に加味され、その魅力が一層奥深いものになってゆくさまを感じられるだろう。

山本容子 「Hop, Step, Hop, Step」 (C) Yoko Yamamoto

山本容子 「Hop, Step, Hop, Step」 (C) Yoko Yamamoto

清川あさみ 「涙の池」 (C)AsamiKiyokawa/Little More 2013

清川あさみ 「涙の池」 (C)AsamiKiyokawa/Little More 2013

ヤン・シュヴァンクマ イエル 「芋虫の教え」 Illustration for the book "Alice", 2006, by Jan Švankmaher, (C)Athanor Ltd.

ヤン・シュヴァンクマ イエル 「芋虫の教え」 Illustration for the book "Alice", 2006, by Jan Švankmaher, (C)Athanor Ltd.

アーサー・ラッカム 「ニセウミガメ」 (C)The Korshak Collection

アーサー・ラッカム 「ニセウミガメ」 (C)The Korshak Collection

イベント情報

『不思議の国のアリス展』神戸展
会期:2019年3月16日(土)〜5月26日(日) 62日間
※月曜日、4月30日、5月7日は休館。ただし、4月29日、5月6日は開館。
※祝日法などの改正により休館日・開館日が変更になる場合があります。
会場:兵庫県立美術館 ギャラリー棟3F(神戸市中央区脇浜海岸通1丁目1番1号)
開館時間:午前10時〜午後5時(最終入場は、午後4時30分まで)
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