DIR EN GREY/Toshiyaインタビュー【後編】ソロ活動の真意といま胸中にあるもの
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DIR EN GREY(L⇒R)/Toshiya(B)、Shinya(Dr)、京(Vo)、薫(G)、Die(G)
バンドとしての精力的な活動を継続しながら、メンバーそれぞれの活動も活発化しているDIR EN GREY。2017年には結成20年目を迎える彼らが、なぜいまソロ活動を行なうのか? 「どこかに発生した歪みを抑え込んでやってきた部分は少なからずあった」と振り返るToshiya(B)が、ソロ活動の真意、そしていま胸中にあるものを赤裸々に語る。
何かを変えたいと思えば、求めること、願うことから全ては始まる。
そこから行動に移せるかどうかは、その人次第。
――DIR EN GREYは、バンドとして精力的に活動していますが、その一方でメンバーそれぞれのソロ活動も活発になってきていますよね。京くん(Vo)はsukekiyoを始め、写真集や詩集を発表したり、Dieくん(G)はDECAYSを始動させ、薫くん(G)はファッションブランドからプロデュースを任されたり、Shinyaくん(Dr)はサポートミュージシャンとしても活動したり。Toshiyaくんもブランド「DIRT 100% Natural Dirty」を立ち上げましたよね。
「うん。今だからやれることって、やっぱりあるんだろし、今ここでやっておかないと後悔する部分もあるのかなと思って。あとは、ちょっと自分のはけ口にもなるのかなと」
――はけ口というのはどういうニュアンスなんでしょう? 音楽以外に実現したい何らかの表現意欲ということですか?
「そうだね。音楽以外でも自分の表現したいものをやってみたいなと思ったし。まぁ、ホントは音でやるのが一番いいのかもしれないけど、何となく自分はまだそういう感じではないなと思っていたところもあったりしてね。単純に、一緒にやってみたいなと思える人がいなかったりとかさ。だったら自分は違う方向に行こうと思って。そんなところがキッカケかなぁ」
――実際のところ、バンド内で「今年はみんなでソロ活動でもやってみましょうか?」という話があったんですか?
「いやいや、全然そういう話ではないんですよ。ソロをやりたいという人もいれば、どうかな? どちらでもという人もいるんじゃないかな。たまたまそういう感じで分かれただけでね。自分についていえば、今回のブランドはやってみたいなとは思っていたことなんですよ」
――アパレルへの関心は昔からあったということ?
「ありましたね。音楽とファッションて、すごく密接だと思うんですね。その意味では、すごく昔からそういうところは気に掛けて、見ていたつもりではありますね」
――具体的にはどういうところまで手掛けているんですか? パターン(生地を裁断するための型紙)を自分で描いたりといった作業まではしていないと思うんですが。
「もちろんすべてに自分が関わっているわけだけど、デザインなどを(担当スタッフに)伝えたり、自分で描いて持っていったりで。パターンはさすがに描けないんで、描いてもらってます」
――アパレルブランドを持っているミュージシャンはいますし、実店舗を出す人までいますよね。そう考えるとDIRT 100% Natural Dirtyも、どんな広がり方をしていくのか興味深いですね。
「でも、自分の欲としては、やっぱり手に取ってくれた人とつながりたいという思いがすごくあるかな。その人の生活の中に入りたいという思い。音楽を聴いて気持ちが昂揚するのと一緒で、この服を着ると気分が高まるとか、そういう環境の変化に持っていけるものになったら一番いいなぁとは思ってます」
――確かに衣服って、そういう面がありますよね。勝負服という言葉もあるぐらいで(笑)。
「そうだね(笑)。そういう意味でも音楽とすごく近いんだよね。足し算、引き算があったり。使うものが限られている部分があって、その中でのバリエーションを考えていったりね」
――手に取ってくれた人の生活に入り込みたいということは、商品展開については、非日常的ないわゆるモードといわれるものより、普段使いができるものというのが前提になりますよね。
「うん。“日常に一緒に入り込めるもの”というのが自分が作りたいものだったりするし。でも、そこからどうなるかわからないですけどね。もうちょっと突き放したものも欲しくなるのかもしれないし。それがモード寄りといわれるようなものになるのかもしれないし。それはそれで面白いし、無限の可能性があると思うんですよ」
――個性という点でいえば、奇抜なものに惹かれる人もいますからね。
「そうですね。だから、何事もそうなんだろうけど、たとえば音楽も洋服も、何らかのはけ口なのかなと思うんですよ。それは作り手だけの話ではなくて、手に取ってくれる人にとってもね。それによって何かを変えたくて、気になった服を着たり、音楽を聴いたりするのかなと思うんですよ」
――そういう面はあるでしょうね。DIRT 100% Natural Dirtyというブランド名に込めた意味というのは?
「洋服って、すごくキレイな華やかに人を着飾るイメージがあると思うんだけど、“化けの皮を剥がす”みたいな言葉もあるじゃないですか(笑)。つまり、第三者からすると洋服というのは、視覚的にまずその人を作り上げるものでもある。だからこそ、きっとみんな着飾るんだろうし、もちろん、自分も着飾るものを作っているんだけど、それを剥がしたらみんな同じ肉の塊というか、見方によっては汚いよっていうところは意味として見せたくて(笑)。ちょっと、やってることと思ってることが違う、みたいな名前だけど。まぁ、皮肉ですよね」
――ちょっとした遊び心ですよね。
「そう。気持ち次第な部分もあると思うんだけどね。どんなに着飾ったところで、隠せないものは隠せないと思うし。でも、隠すためのお手伝いをしますよ、みたいな(笑)」
――ははは(笑)。でも、こういうものを始めたら、それこそ、「オーダーメイドでToshiyaさんに作って欲しい」っていう人も当然出てきますよ。もし公に募集したら、きっと殺到するでしょうね。
「どうなんでしょうね。でも、そういう展開になったらなったで、やりますけどね。だって、ある決まった商品を売るという不特定多数に向けての動きとはまた違うから、それはそれでとてもやり甲斐があると思うんですよね。ただ、中途半端なものはやらないようにしたいですけどね」
Toshiya/DIRT 100% Natural Dirty
ソロ活動については、喜んでくれる人もたくさんいるけど、
すべての人が“賛成”ということはないと思う。
――でも、DIR EN GREYの活動だけでも多忙なはずなのに、よくこのような新たなプロジェクトを始めようと思いましたね。
「というよりね、何かやっているほうがラクなんですよね。イヤイヤやっていることではないし、やりたくてやってるんで。逆に動かないほうがしんどいかなぁ。動いていれば、他の余計なことを考えなくてもいいじゃないですか」
――まぁ、Toshiyaくんの性格的なことを考えたら、そうかもしれないですね。このブランドの将来的なヴィジョンについては?
「将来的に? それは空間デザインですね。依頼してくれた人と、そこまで一緒に入り込めたら一番面白いと思うんですよ。たとえば、一つの部屋をいただけるのであれば、そこに配置する家具だったり、壁紙だったり、その部屋で着て欲しい服だったり(笑)、どんどん構想が広がっていくじゃないですか。でも、いうなれば、それはライブでの空間作りと一緒ですよね」
――自分たちがやってきたライブの感覚が、別の形で活かされることになるんでしょうね。他のメンバーのソロ活動についてはどう見ているんですか?
「何だろう……大変だろうなと思いますよ(笑)。もちろん、喜んでくれる人もたくさんいるけど、すべての人が“賛成”ということはないと思うんです。それは自分の活動もね。でも、それでもやると決めたのは本人だと思うから、その声を受け止めながらやるしかない。だから、何かをやる、何かを作るというのは、責任だよね。それを負えるか負えないか。どんなに精力的に活動していようが何をしようが、DIR EN GREYに帰ってきたときに支障をきたすなんてことは、みんなやりたくないだろうしね。もちろん自分も。だから、その覚悟でやってると思いますよ」
――むしろ、個々の活動で得たものをまたバンドに還元できればいいなんてことはよくいいますよね。
「そうなればいいですよね。やっぱり、それぞれのキャラクターもあるし、これだけ長くやってくると、どこかに歪みも発生してくるものじゃないですか。それを抑え込んでやってきた部分は今まで少なからずあったと思うんですよ。でも、仮にそこで反動が起こったら、一体どうなってしまうんだろうっていう思いもあったんですね。だったら、それぞれの動きをもうちょっと解放してみるのは、一つの案だと思うんです。ただ、5人がまた集まったときにはピシっとしようよと。何かね、それでいいんじゃないかなぁと思うようになってきた自分がいるんですよ」
――10年前なら、それはできなかったでしょうね。
「それはすごくある。今だからこそできるんだろうなと思うし、逆に今じゃなきゃできないんじゃないのかなとも思う。5人でこれからもやっていくためには、それぞれがちゃんと自立したものを持っていなきゃいけないんだろうなと思うようになった。それによって、各々がより責任を持つようになる。これが一番大きいことなんじゃないかなと思うようになってね。結局、DIR EN GREYっていう看板からは逃れられないからさ。まぁ、逃れる必要もないけど(笑)」
俺、このままじゃいけないなと思ったんだよね。
ファンの皆と同じ時間、一緒の瞬間を求めるためには、
さらにこっちも頑張らなきゃいけない。
――まぁ、何をやっても「DIR EN GREYの◯◯」という紹介のされ方にはなりますね。
「そうそう。それをちゃんと背負っていかなきゃいけないし、それをやっていくことで、自分たちを支えてくれるファンの子にも、ちゃんとしたものを見せられると思うからさ。だからさ、この前のツアーのとき……って、話が飛んじゃうけど、俺、このままじゃいけないなと思ったんだよね」
――このままじゃいけない? 傍から見ていると、次にまた新たな展開を見せていくはずのDIR EN GREYである姿に何ら違和感はないと思うんですよ。
「うん。でもね……何だろう? ツアーを廻る前から、自分の中で何か違和感っていうのかな? 何かこのままでいいのか?ってことをいろいろ考えてたんだけど……さっきまでのはバンドの話で、ここからは個人の話になるけど、甘えすぎてるなって自分で思ったんですよ。たとえば、今までもライブ1本というのは、その瞬間、その一瞬を切り取ったものだと思ってやってきたけど、その一瞬をさらに大事にしなきゃなと思ったというかね。当たり前なんだけど、当たり前のことを当たり前に見せたい、聴かせたい思いが強まったといえばいいんですかね。変な話、ライブっていうのはナマモノだから、何が起こったとしても“今日はこれでしょうがないんじゃないの?”っていう納得の仕方をしていた自分もいたと思うんですよ」
――ある意味、それは正しい臨み方ですし、否定されるようなことでもないですよね。ライブというのは、そもそも偶発性の高いものですから。
「うん。でも、やる側としての責任があるよね。
――ええ。それは求め始めるとキリがないことですよ。
「そう、キリがない。だからこそ、このままじゃいけないんじゃないのかと思う。だってさ、このままでいいなんて思ったら、そこで終わりじゃん? さっきのアルバムとかの話にしてもそうだけど。でも、俺はもっといろんなものを見たいし、作りたいと思う。そのために、やれることがあるんだったら、やっぱりやらなきゃ求める何かに近づけないんじゃないかと思う。今までがダメだということではないんですよ。さらにファンの皆と同じ時間、一緒の瞬間を求めるためには、さらにこっちも頑張らなきゃいけないなって」
――現状のその意識からすれば、来るライブはその一つ一つがどんどん研ぎ澄まされていくことになりますよね。
「そうしていかなきゃいけないと思うし、それがしたいわけだからさ、自分たちは。だから、もっともっとやらないと。正直、俺は自分に対する危機感をすごく覚えているので……。だから大事なのは、そこに向かうための段階だよね。向かったときには、その時点で結果になっちゃってるから。その前の段階で、やれることはたくさんある」
――具体的にどんなことがあるんでしょう? すごくストイックにやってるバンドだと思いますが、それこそ食事がどうだなんて話にもなり得ますよね。
「うん。食生活でいえば、今までもいろいろ節制はしてきたつもりだけどね。バンドの活動についてはストイックかどうかというのは、自分たちで判断することではないけど、ただ単純にいいものを作りたいから、やっているだけであってね。もちろん、折り合いを付けなきゃいけないこともたくさんあると思うんですよ。現実的にできること、できないこともあるから」
――1年後のToshiyaくんが楽しみですよ。
「何か変わっていればいいなと思うんですけどね」
――さらに筋骨隆々な男になっていたりして(笑)。
「ははは(笑)。でも、それだってすべてはライブのためだったり、今、自分がやっている服をちゃんと着こなす為ってことなんだよね。服を作るってことは、結局、そもそもそれを作って着ている人間がかっこよく見えなかったら、何の説得力もねぇじゃんと思うんですよ(笑)」
――でも、宣材写真はね“Toshiyaが着ている”からかっこいいわけですよ。それを着れば誰でもカッコよくなるわけではなくて(笑)。
「いやいや(笑)。でも、着てみて違うなと思ったら、そこでまたその人の中で何かが変わればいいんだから。そういうキッカケになればいいよね」
――なるほど。ポジティブシンキングですね。
「何でもそうだけど、何かを変えたいなと思えば、とりあえずは求めること、願うことから全ては始まるじゃないですか。結果的に何も変わらないこともあるかもしれないけど、まずは想像してみることだよね。そこから行動に移せるかどうかは、その人次第だけど……今の現状を変えたいって思ったそこから、全ては始まるからね」
インタビュー・構成=土屋京輔
>>DIR EN GREY/Toshiyaインタビュー【前編】:DIR EN GREYにいま改めて問う、アルバム『ARCHE』がもたらしたものと表現の自由
『ARCHE』
■2016年2月5日(金) 東京都・日本武道館
開場/開演 18:00/19:00
■2016年2月6日(土) 東京都・日本武道館
開場/開演 17:00/18:00
<席種・料金>
・アリーナスタンディング (ブロック指定) ¥6,800(税別)
・スタンド指定席¥6,800(税別)
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2015年11月15日(日)発売
『TOUR16 FINEM LAUDA』
2016年1月14日(木)【大阪府】 なんばHatch -「a knot」 & ONLINE only-
2016年1月15日(金)【大阪府】 なんばHatch -「a knot」 & ONLINE only-
2016年1月21日(木)【愛知県】 名古屋ダイアモンドホール -「a knot」 & ONLINE only-
2016年1月22日(金)【愛知県】 名古屋ダイアモンドホール -「a knot」 & ONLINE only-
2016年1月26日(火)【神奈川県】 CLUB CITTA' -「a knot」only-
2016年1月27日(水)【神奈川県】 CLUB CITTA' -「a knot」only-
<席種]>1Fスタンディング/2F指定席
※2F指定席は大阪公演のみとなります。
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※本ツアーはOFFICIAL FAN CLUB 「a knot」及び、DIR EN GREY ONLINE有料会員限定公演となり、一般発売はございません。
※「a knot」only公演は、OFFICIAL FAN CLUB 「a knot」会員のみご購入いただけます。
<OPEN/START>18:15/19:00
<総合問合せ>NEXTROAD 03-5114-7444 (平日14:00~18:00)
アルバム『ARCHE』
2014年12月10日発売
【通常盤】SFCD-0144/¥3,000+税
DVD/Blu-ray『AVERAGE PSYCHO 2』
2015年9月2日発売
【Blu-ray】FWXD-001/¥3,500+税
【DVD】FWBD-001/¥2,500+税
<収録内容>
-Music Clip-
Agitated Screams of Maggots
VINUSHKA
Unraveling
Revelation of mankind
-Live Screen Video-
蜜と唾 (Live Screen Ver.)
THE BLOSSOMING BEELZEBUB (Live Screen Ver.)
-Bonus Footage-
Interview
AVERAGE PSYCHO Trailer