チケットソールドアウト! ファンが待ちに待った5人でのフルライブ『BanG Dream! Argonavis 1st LIVE』レポート
Argonavis 1st LIVEまでの道のり
様々なメディアミックスを展開する『BanG Dream!(バンドリ!)』発のボーイズバンドプロジェクト『ARGONAVIS from BanG Dream!』。そんな『BanG Dream!』から生まれ、キャラクターを演じる男性声優による今大注目のボーイズバンドが「Argonavis(アルゴナビス)」だ。七星 蓮役の伊藤昌弘がボーカルを務め、ギターに五稜結人役の日向大輔、ベースに的場航海役の前田誠二、キーボードに桔梗凛生役の森嶋秀太、ドラムに白石万浬役の橋本祥平を配して、プロジェクト作中バンドとリアルライブがシームレスに連動する面白さは、『バンドリ!』ならではのもの。だからこそ、ファンの心をがっちりと掴んで離さない。
もうひとつ、バンドが成長していく過程をファンが生で体験できるのもArgonavisを応援する楽しさだ。2018年に産声をあげた彼らは、『Argonavis 0』と名付けたライブシリーズを東京・下北沢GARDENを拠点に行い、その中で3人からスタートしたメンバーが回を追うごとに増え、作中のArgonavisキャラクターがお披露目されていった。生身のバンドパフォーマンスを先行し、歌と演奏の実力をしっかりとファンと共有してから、キャラクターとのシンクロを図っていく個性的なスタイルは『バンドリ!』ならではだ。本格始動前からライブに足を運んできたファンにとっては、Argonavisヒストリーのすべてを一緒に経験してきたことこそが、かけがえのない宝物だ。
そんなArgonavisが、『0-1st LIVE』『0-2nd LIVE』『0-BEYOND LIVE』という3本のライブシリーズを経て、本当の意味で「ゼロ」から「1」へと進化した姿をお披露目したのが、この日のステージだった。2019年5月17日(土)、千葉・舞浜アンフィシアターでの『BanG Dream! Argonavis 1st LIVE』。この日をどんなにファンが待ち望んでいたかは、公演当日を待たずして、早くもがソールドアウトしていた事実が雄弁に物語る。『Argonavis 0』時代の聖地・下北沢GARDENのキャパシティの約4倍強の観客動員を、1stライブにして実現してしまうArgonavisの人気と、かけられている期待の大きさに、あらためて驚かされる。
昨年12月、『0-BEYOND LIVE』で初めてArgonavisを体験し、堂々と宣言された『1st LIVE』の文字を見るだけでも心が躍る。ギリシャ神話に登場する大きな船"アルゴー"にちなみ、今はなき星座"アルゴ船座(Argo Navis)"を由来にしたArgonavisが、本当の"船出"をここから始めようとする、プロジェクトの強い意思が感じられた。
『BanG Dream! Argonavis 1st LIVE』は、会場がライブハウスからホールライブへと進化したことも併せ、ステージ演出自体がこれまでと大きく様変わりしていたのが印象的だ。いつものように颯爽とメンバー5人がステージに登場して演奏をスタートするものと想像していたのだが……客席が暗転して始まったのは、ステージ中央のスクリーンに映し出された、Argonavisキャラクターによるミニドラマだった! ライブを控えた楽屋で、七星 蓮、五稜結人、的場航海、桔梗凛生、白石万浬のミニキャラが、緊張をほぐしながらワチャワチャと楽しい会話を繰り広げる様子に、客席から笑い声が起きる。「みんな、行こう! Argonavis!!」と元気いっぱいの気合い入れの声に続いて、スクリーンではメンバー紹介のスタイリッシュなムービーが流れる。
メンバー紹介映像のあとはサプライズ登場
そして……アンフィシアターならではの半円形のステージの中央部にぽっかりと穴が開き、伊藤、日向、前田、森嶋、橋本の5人がポーズを決めながら大歓声に迎えられてせり上がりで登場! 互いに伸ばした手を重ねて円陣を組んでエールを贈り合う。先ほどミニキャラのドラマの中で繰り広げられた気合い入れの光景が、リアルな5人で再現される……2次元の魅力と3次元の魅力が"バンド"を通じて一体となり、深く心に刻みつけられる。この独創的な感覚こそがArgonavis、そして『バンドリ!』プロジェクト最大の武器だ。
円陣を解いて各自がポジションへと散り、始まったのはArgonavisの1stシングル「ゴールライン」。伸びやかな伊藤の歌声を追って、2000人のオーディエンスが「Wow、Wow!」「Yeah、Yeah!」と声を合わせる。よく見るとメンバーが着ている衣装が、「ゴールライン」のミュージックビデオと同じなのもファンには嬉しいポイントだ。地道に練習を重ねて培ってきたバンドのアンサンブルも、橋本が新メンバーとして加入した昨年12月の時よりも地に足が着いたグルーヴを刻み、スケールアップしていることが、この1曲だけでも良く分かる。「みなさんこんばんは、Argonavisでーす! 今日は来てくれて本当にありがとうございます!」と呼びかけて、休む間もなくArgonavisライブでは定番となっているカバーナンバー「Butter-Fly」を叩きつけ、早くもギアをトップに入れる。華やかな照明が色づくなか、フロントメンバー達が大きなアクションで広いステージを我がものにしていく。
ライブがミニドラマから始まったことを受け継いで、前半戦はこれまでとは違い、自己紹介を含めたMCが、キャラクターとして語られていたのも新鮮だった。
「Argonavis、ギター担当、五稜結人だ! 最高に楽しいライブにするから,最後までよろしくたのむぜ!」
「みなさん、こんばんはー! ベース担当、的場航海です。僕たち、ステージに上がるまですっごい緊張してたんだけど、みんなの顔を見てたら,そんなのふっとんだよ!」
「キーボード担当、桔梗凛生だ。綺麗な景色だ。今日は最高のステージをみんなに届けられそうだ。最後まで楽しんでいってくれ」
「はーい、こんばんはー。ドラム担当、白石万浬。満員御礼! こんなにたくさんの人が来てくれて、ほんとーに嬉しいよ! 絶対満足させるライブにするから、よろしくー!」
「ボーカル、七星 蓮です。本当に夢みたいだ、こんなステージで歌を歌えるなんて。僕はいま、みんなと生きてる。今日はよろしくお願いします」
これまで、ネット上でボイスドラマとしてキャラクターたちの会話は公開されていたのだが、あらためてキャストの口からセリフが語られると、新鮮な驚きがある。
続いて、「ここから始まる航海の歌」とコールされたのは、去年からずっとArgonavisライブでのみ彼らが歌い続けてきたオリジナルソング「Steady Goes!」。待ってましたとばかりに、オーディエンスが声を挙げる。メンバーが掛け合う軽快なハーモニーとスピーディーな演奏に、バンドの一体感がほとばしる。伊藤がサビの「宜候(ようそろ)」のフレーズでグッと前に伸ばした腕は、彼らがこの日、キャラクターとバンドメンバーが一体になった真の意味でのArgonavisの船出に込めた、希望の行き先を指し示しているようにも見えた。
ミニドラマを織り交ぜ次元を超える
ここで再び、ミニドラマのコーナーに。ライブの一週間前、練習スタジオでArgonavisのメンバーたちがセットリストでどんなカバー曲をやろうかと相談しながら、自分の得意な歌や好きな曲に華を咲かせる。結人はロック、蓮は特撮ソング、航海は情感のある曲、万浬はみんなで踊れるノリのいい曲、凛生は夏がテーマの曲が気に入っている……。そんなコミカルな会話劇が終わって突然始まったのは、ミニドラマの内容を彷彿とさせるメンバーひとりひとりのソロボーカルコーナーだ!
ロックが好きな結人は、「サムライハート(Some Like It Hot!!)」をノリノリで歌い上げ。文学的な歌詞に心惹かれると語った航海は、「季節は次々死んでいく」で甘い声を聴かせる。凛生は切なさたっぷりの「青い栞」をやさしく歌い、"ドラムが格好いい曲がいい!"と言っていた万浬は、「シュガーソングとビターステップ」で、コミカルなアクションを交えてはっちゃける。そしてソロコーナーのラストを飾ったのは、蓮が歌う疾走感あふれる「UNION」。ヒットアニソンカバーの連発に、客席のテンションもさらにアップ。バンド演奏だけでなく、メンバー各自が"歌ってパフォーマンスできる"のも、Argonavisの大きな魅力なのだ。カバー曲を通じてキャラクターそれぞれの個性と、メンバーの新しい一面に気づかせてもらえた。
ここでもう一度、バンド名の由来を紹介するミニドラマが挟み込まれ、あらためてArgonavisの門出に想いを馳せていると、ステージでは新しい衣装に着替えたメンバーがスタンバイ。甘さをたたえた伊藤のボーカルが響き渡り、キレのいい日向のコーラスが美しく重なり合う。ストリングスを交えたスケールの大きなサウンドがArgonavisのポップな一面を伸びやかに聴かせたオリジナルナンバーは、「ゴールライン」のカップリングでもあった「流星雨」。星座を名前の由来に盛りこんだArgonavisらしさが、そのまま楽曲を彩っている。絶え間なく降り注ぐ星の輝きのような至福が目の前に広がる。続いて披露されたのは、こちらもArgonavisライブの定番カバー「天体観測」。星にまつわる2曲がここで並んだのも面白い。
ここからはMCも、今までのライブと同じようにArgonavisのもうひとつの顔であるキャスト本人たちとして語られていく。キャラクターを全面的にフィーチャーした前半ブロック、そしてキャストをフィーチャーする後半ブロック。ふたつが交差することで、オーディエンスがArgonavisへの理解を深め、キャラクターとキャスト両方の魅力をシームレスに感じることができる、粋な構成だ。
あらためてキャストとして、集まってくれた観客に「本公演、ソールドアウド本当にありがとうございます!」と感謝の言葉を述べ、メンバーが自己紹介。さらに、日向の持つ青いギターが世界的楽器ブランド・ギブソンとのコラボレーションで生まれた、世界で1本しかないArgonavis・五稜結人モデルであること、同じく前田の白いベースもGibson製のArgonavis・的場航海モデル(照明が当たるとキラキラするスパークル加工!)であること、橋本のドラムも新たにラメグラデーション加工されたPearl社製のものになったことをファンに報告。
青をテーマに、キャラクターカラーを差し色にした新しい衣装についても紹介し、ポーズを決めたり、クルクルと回って見せたりと、メンバー全員が大はしゃぎ! そんなワチャワチャしたやり取りからも、Argonavisキャストの仲の良さとチームワークの良さが伝わってくる。
そしてここからは、一気にロック色を強めて「メリッサ」、「READY STEADY GO」とキラーチューンを叩き込んでいく。突き抜ける超ロングトーンでオーディエンスを沸かした伊藤、骨太なカッティングと力強いギターソロを決める日向、クールなベースソロでバンドのグルーヴを先導する前田、バラエティに富んだキーボードサウンドを巧みに操る森嶋、タイトなタム回しで華麗なフィルを決める橋本――それぞれがテクニカルな一面を発揮しながら、パワーアップしたArgonavisサウンドが、しっかりと形作られていることが実感できた。
2nd LIVE決定の発表にライブは大団円
恒例のグッズ紹介を挟んで、コール&レスポンスで会場がさらに一体となって放たれたのは、これも定番のカバーナンバー「GO!!!」。会場の全員が大声でコールを合わせ、アンフィシアターの熱気が最高潮を迎えたところで、再びスクリーンでミニドラマが映し出される。1stライブの準備を終えたキャラクターたちが、どこにご飯を食べに行くかを相談して向かった先は、Argonavisの物語の舞台となっている北海道函館市のご当地ハンバーガーショップ、"ラッピ"こと「ラッキーピエロ」! 5人の出会いを振り返る会話が続き、ミニドラマを締めくくった「絶対に1stライブ、成功できる。みんな頑張るぞー!」という力強い言葉が、Argonavisメンバーの温かな絆を教えてくれた。
そして「最後に、Argonavis全員の想いを、5人の声を聴いてください!」と紹介された本編ラストナンバーは、新曲「VOICE」。息の合ったコーラスから始まるこの曲は、伊藤の曲紹介そのままに、メンバーひとりひとりの歌声がフィーチャーされた、希望に満ちたポップロックチューン。想いのこもった胸を締め付けるキャッチーなメロディーに乗せて銀テープが打ち出され、客席をキラキラと染めていった。
アンコールを呼ぶ大きな声の中、スクリーンでは「響-HiBiKi Radio Station-でWebラジオ「Argonavis ラジオライン」の配信決定」、「2019年度後半に『ARGONAVIS from BanG Dream!』コミカライズ連載決定」、「サンジゲン制作による〈ゴールライン〉アニメーションMV制作決定」、「8月21日、両A面仕様の2ndシングル〈STARTING OVER/タイトル未定〉発売決定」という大発表もアナウンスされ、うれしいサプライズに観客の温度はさらに跳ね上がった。
大歓声のなか、Tシャツに着替えたメンバーが再びステージに登場。サプライズ情報を改めて紹介した後、森嶋が「みなさん、スマートフォンをお持ちですか? なんと次の曲は撮影OKでございます! ぜひSNSで拡散してください!」とコールし、もう一度、熱気あふれる「Steady Goes!」が披露された。
さらに「ここでもうひとつ、僕たちからお知らせがあります!」と告知されたのは……12月5日に『BanG Dream! Argonavis 2nd LIVE』が開催されるというサプライズ! 客席からたくさんの「おめでとうー!」の声が飛び、ひとりひとりが去年からのArgonavisの活動を振り返りながらファンに感謝の言葉を告げると、温かな拍手が降り注いだ。そしてアンコールラストに演奏されたのは、この日のオープニングも飾っていた「ゴールライン」だ。"今がゴールじゃないんだよ""目醒めた場所がスタートライン""終わりはまだ見えないよ""今また 始まろう"――歌詞のひとつひとつが、Argonavisの今とこれからを、高らかに宣言しているように思えた。このステージを経て、Argonavisはどんなふうに大きくなっていくのか。ますます楽しみが増えた、熱い熱い1stライブだった。
取材・文=阿部美香 撮影=西槇太一
(C)ARGONAVIS project. (C)BanG Dream! Project
セットリスト
『BanG Dream! Argonavis 1st LIVE』setlist
01 ゴールライン/Argonavis
02 Butter-Fly
03 Steady Goes!/Argonavis
04 五稜結人 サムライハート(Some Like It Hot!!) 05 的場航海 季節は次々死んでいく
06 桔梗凛生 青い栞
07 白石万浬 シュガーソングとビターステップ
08 七星 蓮 UNION
09 流星雨/Argonavis
10 天体観測
11 メリッサ
12 READY STEADY GO
13 GO!!!
14 VOICE(新曲)/Argonavis
En1 Steady Goes!/Argonavis
En2 ゴールライン/Argonavis
ライブ情報
Day2:+RAISE A SUILEN
公演内容:
Day1:
第一部 BanG Dream! Argonavis 1.5th LIVE
第二部 D4DJ 1st LIVE -Day1-
Day2:
第一部 D4DJ 1st LIVE -Day2-
第二部 RAISE A SUILEN「Heaven and Earth」特別追加公演UNSTOPPABLE LIVE
開催日時:
Day1:2019年7月20日(土)
Day2:2019年7月21日(日)
OPEN 16:00 START 17:00
会場:幕張メッセ 国際展示場1ホール
価格:各日8000円(税込)
※スタンディングではなく、 全席指定となります。 ご確認の上、 ご応募ください。
出演者(順不同):
【Day1】
第一部
Argonavis<伊藤昌弘(Vo.)、 日向大輔(Gt.)、 前田誠二(Ba.)、 森嶋秀太(Key.)、 橋本祥平(Dr.)>
第二部
愛美、 前島亜美、 大塚紗英、 高木美佑、 加藤里保菜、 紡木吏佐、 岩田陽葵、 つんこ、 平嶋夏海、 倉知玲鳳、 根岸愛、 三村遙佳、 岡田夢以、 もものはるな、 西尾夕香 and more…
<GUEST>
小原莉子、 Raychell、 夏芽
【Day2】
第一部
愛美、 佐藤日向、 高木美佑、 加藤里保菜、 小泉萌香、 つんこ、 三村遙佳、 もものはるな and more…
第二部
RAISE A SUILEN<Raychell(Ba.&Vo.)、 小原莉子(Gt.)、 夏芽(Dr.)、 倉知玲鳳(Key.)、 紡木吏佐(DJ)>
詳細は以下のWebページで https://l-tike.com/d4dj/