シンセ番長・齋藤久師が送る愛と狂気の大人気コラム・第五十四沼 『香川!沼』

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2019.8.29

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「welcome to THE沼!」

沼。

皆さんはこの言葉にどのようなイメージをお持ちだろうか?

私の中の沼といえば、足を取られたら、底なしの泥の深みへゆっくりとゆっくりと引きずり込まれ、抵抗すればするほど強く深くなすすべもなく、息をしたまま意識を抹消されるという恐怖のイメージだ。

一方、ある物事に心奪われ、取り憑かれたようにはまり込み、その世界にどっぷりと溺れること

という言葉で比喩される。

底なしの「収集」が愛と快感というある種の麻痺を伴い増幅する。

これは病か苦行か、あるいは究極の癒しなのか。

毒のスパイスをたっぷり含んだあらゆる世界の「沼」をご紹介しよう。

第五十四沼(だいごじゅうよんしょう) 『香川!沼』

 

現在私は旅先でこの原稿を執筆している。香川県高松市で行われている「瀬戸内芸術祭」に出演するためだ。

すでに滞在して10日。

DOMMUNE SETOUCHIに出演するために来香したが、galcidはそれ以外にも愛媛、大阪、倉敷とちょっとしたツアーという形になった。

瀬戸内芸術祭のためだけに作られたDOMMUNE SETOUCHIサテライトスタジオは、宇川直宏氏がこだわり抜いたデザインで、廃墟のビル一棟をリニューアル。


まるで悪魔城のような外観と内装は芸術作品。

二ヶ月に渡り配信を行うため、渋谷のDOMMUNEからサウンドシステムを始め、全ての機材が運ばれた。

galcidと私の出番は8・22と、わりと終焉に近い時期であったが、音の馴染みもちょうど頃合いがよく、気持ちよく演奏させていただいた。

galcid、宇川直人、VJのTsujita Naoto全員が高松出身という事もあり、とてつもないシンクロ度合いに度肝をぬかされた。

また、私たちの番組はこれで5回目を迎える「DOMMUNE シンセ学院大五夜」という事で、TR808/909/303の生みの親である菊本忠男博士の登壇が決定!歴史的な夜となった。

来香からほぼ毎日DOMMUNEに顔を出してきたが、まず最初に久々に出会ったのがHiroshi Watanabe。

会場をドッカンドッカン湧かせていた。

私がVJブースで宇川くんの横に座って談笑していると、彼からとんでもないリクエストが。

「明日、マジカルパワーマコさんが登壇するんだけど、マコさんと久師くんでセッションしてよ」と。

レジェンドとのセッションなんて、そうそうあるものではないので即OKした。

当日はほぼ打ち合わせの無いままマコさんと楽しくセッションさせていただいた。

と、ここまでは瀬戸内芸樹祭の話。

実は私が来香したもう一つの理由が「釣り」だ。

香川県は、日本一水が少ないため、あらゆる場所に溜池が作られている。
その数たるや、気絶するほどのものだ。

つまり、私からみれば、そこは宝の山。

昼は釣り、夜はDOMMUNE、そして深夜も釣りというオレ的最高なサイクルが確立した。

地元の友達にナイスな野池を聞き出し、毎日通った。

初日釣り上げたのがコレだ。


私の求めている魚では無い。私が求めているのはアメリカから来たヤツだ。
こんなもの怖くて触れない。

そして、次に食らいついたのがコイツだ。
明らかに自分よりもデカいルアーに食いついてきた勇気は認める。でもお父さんを呼んでこい。

そして、別の日、ある溜池に尋常では無い魚影を感じ、ルアーを第一投した瞬間に食いついてきたのがコイツだ。
 

こいつはすごかった。5回投げて、5回とも食いついてきて最後にフッキングした。
やる気まんまんのナマズくん。

また別の日、第1投目で食ってきたのがコイツ。またナマズだ。
 

そして、また別の日も第1投目で食いついてきたのがコノ野郎だ。


 

もう嫌だ。
私が釣りたいのはコレじゃないんだ。アメリカから来た、あの口のデカいやつなんだよ!

そして、昨日、DOMMUNEに行く前にまた野池に行ってきた。DOMMUNEには19時頃に行こうと思い、釣りはその少し前の夕(ゆう)マズメにしようと17時から開始した。

少なくみつもって20回以上のバイト(食らいつき)があった。
がしかし、どの魚も真っ黒で長い。つまりナマ公だ。
しかも全くフッキングしない。

結局今回の釣行でアメリカから来たあの魚を釣り上げる事は出来なかった。。。。。

そして18時半ころ、もう諦めてDOMMUNEに行こうと車を農道でUターンさせようと思った瞬間、農道の側溝にハマった!

前輪駆動の車で、前輪が側溝にハマったため、全く身動きが取れない。
車を降りて周りを見回そうと思ったらサイドブレーキをかけわすれていたため、車が急に後ろに動き出した!
後ろには深い溜池が!

人生最大のピンチでバカ力を発揮し、車を手で押さえ込み、運転席を開けサイドブレーキを引っ張った!

なんとか車は止まったが、再び車から降り、後ろを確認すると、あと5cmのところで野池にジャボン!だった。

しばらく呆然としながら脱出方法を考えた。

サイドブレーキとアクセル、そしてハンドルをちょこまか切り返す事2時間。

なんと!奇跡的に脱出に成功!引田天功!

千秋楽のDOMMUNE SETOUCHIに無事間に合い、ボアダムスのアイちゃんとも久々に会え

瀬戸内芸術祭最後にふさわしい素晴らしい時間を楽しむ事ができた。

 

しかし、自然を舐めていると酷い目に遭う。
登山や水辺は危険がいっぱいだ。

しかしながら、私は香川県が大好きだ。
おおらかな人柄。

耳のいい人も集まっている。

さらにうどんがうまい。

野池も星の数ほどある。

galcidの実家もある。

正直、永住したいとも考えている。

もう少しおじいさんになったら、引っ越すかもしれない。

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