THE YELLOW MONKEYは進化するために戻って来た、そのことを確信したツアーを振り返る【さいたまスーパーアリーナ Day1】

レポート
音楽
2019.9.24
THE YELLOW MONKEY 撮影=Mikio Ariga

THE YELLOW MONKEY 撮影=Mikio Ariga

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THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2019 -GRATEFUL SPOONFUL-
2019.7.6(土) 埼玉 さいたまスーパーアリーナ

9月21、22日、グランメッセ熊本にて『THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2019“GREATFUL SPOONFUL” 』がファイナルを迎えた。活動休止、解散、再集結を経て19年ぶりにリリースしたニューアルバム『9999』を引っ提げて、4月27、28日に静岡エコパアリーナから始まった長い旅は、祝福と歓喜の中で華やかに幕を下ろした。今回のツアーのポイントは、「♦」「♥」「♣」「♠」の4つに分けられた、全く異なるセットリスト。多くのファンと同じように、筆者もコンプリートを目指したのだが、残念ながら叶わなかった。が、素晴らしかったツアーを永遠に記憶に残すべく、さいたまスーパーアリーナで行われた7月6日(♦)と7日(♥)の2公演について、頭の中に刻まれた映像をもう一度再生してみよう。

さいたま初日、「♦」公演のオープニング。暗転と共に鳴り響いたSEは、「ボナペティ」。陽気なカントリー調のハーモニカとタンバリンに誘われ、思わず立ち上がったところへ降り注ぐ、神々しいほどに美しいエレクトリック・ギターの旋律。左右に突き出した2本の花道から、天に向かって伸びる幾本もの光の柱。吉井和哉(Vo)が「ようこそ、さいたま!」と高らかに叫ぶ。壮大かつ重厚な「この恋のかけら」から始まったライブは、一気にギアをトップに入れ、アッパー&ファンキーな「ロザーナ」「熱帯夜」へ、黄金のライブチューンを連ねて疾走する。吉井を筆頭に、エマ(Gt:菊地英昭)とヒーセ(Ba:廣瀬洋一)もよく動く。「熱帯夜」ではエマがステージに跪き、恍惚のソロを決めた。早くもいいライブになる予感がぷんぷん匂う。

THE YELLOW MONKEYにとって第二のふるさと、埼玉へ帰ってきました!」

吉井の声がはずんでいる。くしくも、明日7月7日はバンドの最初の解散の日で、6年前にロンドンから「もう一回バンドをやりたい」と、吉井がメンバーにメールした日でもある。「この2日間をスペシャルナイトにしたい」という発言は本音だろう。アルバムからの「砂の塔」は、洗練された大人のダンスロック、そして「Breaking The Hide」は、アニー(Dr:菊地英二)の叩くヘヴィなドラムのグルーヴが、のけぞるほどにかっこいい。再集結後のアニーとヒーセのリズム隊は、よりソリッドによりタイトに、平たく言えば凄みを増した。目立たぬようにはしゃがぬように、バンドを支えるサポートキーボード、鶴谷崇のプレイもキラリと光る。

THE YELLOW MONKEY 撮影=Mikio Ariga

THE YELLOW MONKEY 撮影=Mikio Ariga

過去の楽曲にも新たなグルーヴが吹き込まれる。「聖なる海とサンシャイン」も、「Tactics」も、とびきりキャッチーで開かれた曲とは言えないが、装飾をそぎ落とした玄人好みのアンサンブルに、ぐんぐん引き込まれる。そんな中盤のハイライトとなったのが「天国旅行」だ。とてつもなくダーク、なおかつ甘美、サイケデリックに歪んだ音像の中で、イントロからアウトロまで延々と、生き物のようにのたうつ吉井のリードギターは凄まじいのひとこと。さらに、モノクロの月のアニメーションをバックにした、切なくソウルフルなスローワルツ「Changes Far Away」から、永遠の名曲「JAM」へ。2万人の“Good Night”が、スーパーアリーナを揺るがす。「♦」公演の肝になるのは、間違いなくこの3曲だ。暗く、リアルで、切なく、情熱的で、グルーヴ豊かな、これがTHE YELLOW MONKEYのディープインサイド。

たぶん、歌詞に出てくる麝香猫だろう。可愛らしいアニメ映像から「Balloon Balloon」へ、軽快なロックンロールで再びギアを一段高く入れ直すと、「SPRAK」が始まるやいなや、吉井とエマがこの日初めて花道へと進入。通常の花道とは違い、先端がスロープ状に低くなっているため、寝転がって歌いまくる吉井が完全に客席の中にいるように見える。もちろんオーディエンスは大はしゃぎだ。そのままMCタイムへ繋げ、「THE YELLOW MONKEYのブルースを」と前置きして歌った「Love Homme」の、オールドロック調のシンプル&タイトな演奏に聴き惚れる。スクリーンでは、憎らしい顔つきのサルが歯をむき出して笑ってる。猛烈ハードに突っ込んでゆくロックンロール「天道虫」では、爆音と共にステージで火花が散る。気がつけば、ライブももう終盤だ。

THE YELLOW MONKEY 撮影=Mikio Ariga

THE YELLOW MONKEY 撮影=Mikio Ariga

解散から再集結に至るまでの心境を、友達に話すように、吉井がざっくばらんにしゃべっている。若気の至りの解散だったこと。ロンドンから送ったメンバー宛ての再結成希望メールは、なぜかガラケーだったこと。エマの返事が「じぇじぇじぇ」だったこと。ずっとTHE YELLOW MONKEYが好きだったこと。そこらから3年かけて、素晴らしいアルバムが完成したこと。そしてTHE YELLOW MONKYの新しい、“ちゃんとしたアルバム”は、次の10枚目だと思っていること――。

「僕も、メンバーも、みんなも、いろんなことがあったと思うけど。またこの始まりの歌を、一緒に歌いたいぜ!」

追いかけても、追いかけても、逃げていく月のように――。2万人の大合唱から始まった「バラ色の日々」は、これまでとこれからを、バンドとファンとを繋ぐ絆の歌。吉井が「愛してます、ずっと!」と叫ぶ。エマが魂のソロを決める。そして最後はやはりこの曲、「悲しきASIAN BOY」が始まると、爆音と炎と共に巨大なセットが回転し、ギラギラ輝く電飾が現れた。最後にこんなド派手な演出を隠していたとは、なんと贅沢なツアーだろう。アニーが笑顔でビートを司り、エマとヒーセが花道をのし歩き、吉井はスピードをつけてステージを駆け抜ける。「We are No.1 R&R band of asia! 」ずっと変わらない吉井の叫びが、あの頃と今とを一気に繋ぐ。生きていて良かったと、冗談じゃなくそう思う。

THE YELLOW MONKEY 撮影=Mikio Ariga

THE YELLOW MONKEY 撮影=Mikio Ariga

アンコール。「Titta Titta」で使われた、宙に浮かぶ光の輪っかのようなライトが可愛い。「太陽が燃えている」では、吉井がカメラクルー(男性)にちょっかいを出す。ヒーセがマイクに向かい「埼玉最高!」と絶叫してる。「SUCK OF LIFE」の間奏で、吉井がエマにセクハラ、もとい、スキンシップ過剰なパフォーマンスを仕掛けて客席から悲鳴が上がる。「THE YELLOW MONKEY is my life!」吉井の叫びが、ここにいる2万人の思いを代弁している。

「本当に、みんなをここに立たせたい。THE YELLOW MONKEYで歌うのは最高です」

この日のラストを飾ったのは、復活したTHE YELLOW MONKEYの新しいグルーヴを象徴する1曲、「I don’t know」だった。このタイトさ、シンプルさ、ファンキーさ、派手な音色は一個もないのに、ハッとするほど鮮烈なロックンロール。このグルーヴを生み出すために、この3年間、いや、結成から30年以上の年月がかかったのかと思うと、感動が倍増する。

THE YELLOW MONKEY 撮影=Mikio Ariga

THE YELLOW MONKEY 撮影=Mikio Ariga

THE YELLOW MONKEYは、進化するために戻って来た。それを感じられただけでも、ここに来て良かったと思う。メンバーが去ったステージに一人残ったアニーが、笑顔で万歳三唱してる。明日はどんなロックショーを見せてくれるのか。お楽しみは20時間後へと続く――。

取材・文=宮本英夫 撮影=Mikio Ariga

ライブ情報

THE YELLOW MONKEY 30th Anniversary DOME TOUR
2019年12月28日(土) ナゴヤドーム OPEN 15:00 / START 17:00
2020年2月11日(火・祝) 京セラドーム大阪 OPEN 15:00 / START 17:00
2020年4月4日(土) 東京ドーム OPEN 16:00 / START 18:00
2020年4月5日(日) 東京ドーム OPEN 15:00 / START 17:00
 
詳細】
指定席 9,900円(税込)
*6歳以上はが必要(但し、6歳未満でも座席が必要な場合は必要)

 
<OFFICIAL FUN CLUB BELIEVER.二次抽選受付>
受付期間:2019年10月7日(月)12:00〜10月20日(日)23:59
券種:指定席

<OFFICIAL FAN CLUB BELIEVER.会員限定「30th Anniversary Memorial Gift」>
結成30周年を記念して製作されたネーム入り仕様の特別な贈り物をBELIEVER.会員を対象に会場にてお渡しいたします。
※詳細は『DOME TOUR特設サイト』にてご案内しております。

 
オフィシャルサイト: https://theyellowmonkey.jp
DOME TOUR特設サイト:https://theyellowmonkeysuper.jp/feature/30th

リリース情報

『30th Anniversary『9999+1』–GRATEFUL SPOONFUL EDITION–』
(読み:サーティース アニバーサリー フォーナインプラスワン -グレイトフル スプーンフル エディション-)
2019年12月04日(水)発売 WPZL-31703〜4/¥7800(税別)
■Disc1収録予定内容
M1.ボナペティ-OPENING-
M2. この恋のかけら
M3. 天道虫
M4. Love Homme
M5. Stars (9999 Version)
M6. Breaking The Hide
M7. ロザーナ
M8. Changes Far Away
M9. 砂の塔
M10. Balloon Balloon
M11. Horizon
M12. Titta Titta
M13. ALRIGHT
M14. I don't know
M15.ボナペティ-ENDING-
M16.ダレカニ-demo-
M17.eien-demo2015-
 
■Disc2 収録予定内容
「THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2019 -GRATEFUL SPOONFUL-」@宮城・セキスイハイムスーパーアリーナ(2019年8月3日)
M1. この恋のかけら
M2. ロザーナ
M3. 熱帯夜
M4. 砂の塔
M5. Breaking The Hide
M6. 聖なる海とサンシャイン
M7. Tactics
M8. 天国旅行
M9. Changes Far Away
M10. JAM
M11. Balloon Balloon
M12. SPARK
M13. Love Homme
M14. 天道虫
M15. バラ色の日々
M16. 悲しきASIAN BOY
M17. Titta Titta
M18. 太陽が燃えている
M19. SUCK OF LIFE
M20. I don’t know
 
■豪華ブックレット
初日の静岡公演から、全エリアを追いかけたカメラマン/横山マサト氏による200P以上に及ぶ豪華ブックレット
 
先着購入特典:GRATEFUL SPOONFULオリジナルトランプ
※特典には限りがございます。なくなり次第終了となりますので予めご了承ください。
※一部取扱いのない店舗もございます。特典の有無に関するお問い合わせは直接各店舗へご確認下さい。
 
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【「30th Anniversary『9999+1』–GRATEFUL SPOONFUL EDITION–」購入URL】

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