海外の熱狂的ミュージカルファンの心理に迫るドキュメンタリー『Repeat Attenders』、Vimeoにて有料配信
『Repeat Attenders』公式サイトより
ブロードウェイやウエストエンドなどで執拗に観劇を繰り返す、海外の熱狂的ミュージカル・ファンの心理に迫るドキュメンタリー映画『Repeat Attenders』が、米国時間2020年5月16日(土)0:00(日本時間:5月16日(土)13:00)より、Vimeoにて有料配信が開始される。
『Repeat Attenders』は、製作期間5年以上を経て完成した長編ドキュメンタリー。オーストラリアの映画製作者マーク・ドゥーリー(Mark Dooley)がプロデュース・監督を務めたもので、2017年にニューヨーク・ドキュメンタリー映画祭(DOC NYC)でワールドプレミアを迎えた。
「リピート観劇者たち」といった意味のタイトルを冠した本作品では、ブロードウェイやウエストエンド、あるいはドイツ、オーストラリアなど世界各地で好きなミュージカルのために大枚をはたき、同じ作品を何十回、何百回と繰り返し観劇する熱狂的ファンの生態を追い求める。彼らを駆り立てているもの、そして彼らが情熱を傾ける理由はどこにあるのか。その背後にある心理を掘り下げていくドキュメンタリーだ。
『レ・ミゼラブル』を2週間ごとに観劇するため4万ポンドを費やしたロンドンのファン。『キャッツ』関連グッズを蒐集し世界最大規模のコレクションを有するカリフォルニアのファン。一方、『スターライト・エクスプレス』をこよなく愛し、キャラクターのコスプレをするドイツの女性ファンのストーリーの裏には、子ども時代から「“女優になる”夢には決して届かない」と両親に言われ続けてきた苦しみも見えてくる。
Repeat Attenders | Official Trailer [HD]
今回の配信にあたり、製作・監督のマーク・ドゥーリーは「『Repeat Attenders』はもともと劇場ファンへのラブレターのつもりで制作しましたが、世界中の劇場が閉鎖されている今、違った役割を担っています。COVID-19以前の世界で“劇場へ行く”という経験がどういったものであったのか、それを記録するものです。劇場での経験がこれから先できなくなれば、人々の幸福に多大なる影響を及ぼすでしょう。ただ、COVID-19による現状は、過去の思い出まで奪うことはできません。作品を見て、劇場で体験した大切な思い出や瞬間を思い出してください。『Repeat Attenders』が劇場や舞台芸術に触れられない現在の安らぎになることを願っています」とコメントしている(英シアター関連メディア「WhatsOnStage」)。
本作は、2020年6月にアメリカ、イギリスにて劇場公開が予定されていたが、コロナ禍により上映中止に。代わりにVimeoでの配信が決定したという。日本円857円で購入後は48時間再生が可能。おそらくこちらは日本語字幕なしではあるが、今ではみることができない、人で賑わうブロードウェイの様子や満員の劇場、終演後ステージドア前で『ハミルトン』のジョージ3世役・ジョナサン・グロフにサインを求める観客たちなど、トレーラーを見るだけでも懐かしく、同時に、世界が数か月前とガラッと変わってしまった現実を改めて突き付けられ、胸が締め付けられるような、少し苦い感情も残す。我が国における熱烈な舞台ファンたちにとっても、けっして他人事とはいえない内容であるはず。要チェックだ。
公式サイト
■Instagram: http://instagram.com/repeatattenders
■Twitter: http://twitter.com/repeatattenders
■Producer: Mark Dooley
■Cinematographer: Colin Morvan, Maximilian White, Jared Levy, Michael Galinsky, Warren Tiedgen
■Editor: James Cranwell