主演・内田理央が笑顔で語る舞台『星の数ほど星に願いを』「役作りの参考は話題の銀行ドラマです!」
内田理央
2020年8月27日(木)より、東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて、舞台『星の数ほど星に願いを』が上演される。ナンセンス演劇の鬼才・ブルー&スカイが作・演出を務める本作で主演を務めるのは雑誌「MORE」の専属モデルをはじめTVドラマや映画などで活躍する内田理央。倒産寸前の町工場に融資の回収のためにやってきた銀行員役を演じる事となるが、「まったく固くなく、くだらない話です」と笑顔で語り出した内田に、どのような世界を作ろうとしているのか話を聴いてみた。
――まず、この作品に出演するという話をいただいた時、そして初主演となりますが、座長としてどのような気持ちになりましたか?
そういえば初主演ですね、今気が付きました(笑)。舞台経験があまりないので「来たか!」という気持ちになりましたね。最初は主演という事で人一倍頑張らないとというプレッシャーと、共演者のみなさんどなたも舞台で活躍されている方だったので、緊張していました。稽古が始まると、ソーシャルディスタンスを保ちながら、ということなので、稽古終わりの食事会などもできませんし、芝居中も普段通りのコミュニケーションは取りづらい状態なので、今徐々に親交を深めている最中です。
内田理央
――内田さんが演じる役柄について詳しく聞かせてください。
演じるのは銀行員のナナ役ですが、私自身、銀行に行くと受付の方としか接する機会がないので、某有名な銀行ドラマの「倍返しだ!」のイメージでやらせていただいています(笑)。そのドラマは昔リアルタイムで視聴していたんですが、この舞台のためにシーズン1からDVDを全部レンタルして観ました。ブルー&スカイさんも「この場面はドラマのあの場面みたいに」と何度か話をされていた事もあって……。全部視聴したら「銀行って怖いな」って印象を持ってしまいました(笑)。そして銀行員の立ち振る舞いも勉強にもなりましたね。
ナナは最初は冷たい感じなんですが、誰よりも工場の再建を願っている一生懸命な女性なので、最初の印象と本質のギャップが見どころとなると思います。
――ブルー&スカイさんの演出はいかがですか?
すごく面白い方で、内なる面白さがにじみ出ているんですが、物静かな方なので、マスクした状態で喋ると何を言っているか聞き取れない事もあって(笑)。でも言っている事は天才的に面白くて「鬼才ってこういう人の事を言うんだ」って思いました。ブルー&スカイさんとはナナの一生懸命な性格についていっぱい話し合いましたね。今のところ厳しさなどはないんですが、これから味わうのかな? 今のところは優しいです!
内田理央
――共演者からはどのような刺激を受けていますか?
芸達者で個性的な方ばかりなので、毎回稽古場で違う演じ方などにチャレンジしているのを見て「稽古は挑戦する場所なんだ」って事を改めて感じ、今はとにかく思いついたらやってみようと思って取り組んでいます。あ、でも今は稽古で皆さんの演技にうっかり笑いそうになるのを必死でこらえるのが大変ですね。
私はメンタルが弱いので、縮こまってしまってうまくいかない事もあったんですが、最近は失敗を恐れない精神やチャレンジしてみる気持ちを共演者の方から学んでいます。
――個性豊かな共演者の中でも特に目を奪われるのは誰ですか?
大堀こういちさんです! 工場の社長役なんですが、ものすごく動き回る役なので大堀さんの体力が心配です(笑)。でもなんでこんなに面白くこの台詞を言えるんだろうって思いながら見ています。
内田理央
――本作は、「何でも願いが叶う石」を工場の皆が一生懸命作っている、というストーリーですが、内田さんご自身も雑誌の最後のページに載っているその手の広告に思わず興味を持ったそうですね。
はい(笑)。女性の物だと10kg痩せるとか胸が大きくなるとかちょっと胡散臭い広告に心惹かれ、学生時代にモテる香水を買ってしまいました。その結果は……ご想像にお任せします(笑)。
――願い事が叶うなら何を願いますか?
世界平和かなあ。そして舞台が最後まで上演できるように、ですね。
――最後に楽しみにしているお客さんにメッセージをお願いします。
この作品はコメディなんですが、いい意味でくだらなく、台詞の楽しさがある作品。演じながら楽しませていただいています。明るくて、悩みなんてどうでもいいや!と思える舞台なのでこのコロナ禍の時代に笑い飛ばせる芝居となると思いますよ!
内田理央
取材・文=こむらさき 撮影=池上夢貢
公演情報
■出演:
内田理央 田村健太郎 安澤千草 吉増裕士 師岡広明 水野小論 神谷圭介 ・ 大堀こういち
■料金:
前売・当日 6,800円(全席指定・税込) ※未就学児入場不可
会場内ではマスクの着用を必須とさせていただきます。必ずご持参ください。
物語の舞台となるのは町工場・高見沢製作所。
かつては、河原で拾ってきた石ころを「どんな願いも叶う神秘の石」としてインチキ占い師たちに売りつけることにより財をなしていた工場なのだが、悪質な霊感商法の評判もすっかり広まり、インチキ占い師も激減、銀行からの融資も絶え、資金繰りに窮する毎日。
そんな中、銀行から融資の回収の命を受けて高見沢製作所にやってくる銀行員のナナ(内田理央)。彼女は工場の看板商品「神秘の石」が本当に「どんな願いも叶う力」を持てば工場の業績が回復するだろうから、がんばって石の品質を向上してほしいと無茶苦茶な要求を突きつける。
工場の誰一人として石の力などもともと信じていない中、ナナの作戦は功を奏するのか……。