三島由紀夫に刺激を受ける4人の演出家が、それぞれの視点で『橋づくし』『憂国』『真夏の死』『班女』を上演することが決定

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2020.8.20
三島由紀夫没後50周年企画『MISHIMA2020』

三島由紀夫没後50周年企画『MISHIMA2020』

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2020年9月より日生劇場にて、三島由紀夫没後50周年企画『MISHIMA2020』を上演することが発表された。本公演では、“三島由紀夫”をテーマに、演出家や映像作家として活躍中の才能溢れる4名のクリエイターが、それぞれの目線で演出する三島作品を、オムニバス形式で公演する。

2020年、戦後の日本文学界を代表する作家、三島由紀夫が自決した衝撃的な事件から50年。彼の人生、作品、思想は、世代や国境をも超えて、人々に大きな影響を与えてきた。今でも世界各国で三島文学は多くのクリエイターたちを刺激し、生き続けている。本企画は、そんな三島文学に刺激を受ける4名の演出家が集い、それぞれの感性で三島由紀夫の新たな魅力を創出。半世紀を経てなお人々を魅了し続ける三島作品と、若い世代によって生み出される新しい感覚を融合させ、日本の純文学を現代にいきいきと蘇らせ創造的かつ視覚化した作品を目指している。

日程と作品は、2020年9月21日(月・祝)~22日(火・祝)に『橋づくし』と「『憂国』(『 死なない 憂国 』)」 。9月26日(土)~27日(日)に『真夏の死』(『Summer remind』)と「『班女』(近代能楽集より)」を上演する。

『橋づくし』(左から)伊原六花、井桁弘恵、野口かおる、高橋努

『橋づくし』(左から)伊原六花、井桁弘恵、野口かおる、高橋努

『橋づくし』は満月の夜、7つの橋を無言で渡りきるという願掛けをする4人の女性の物語を描いた原作を、小説からは想像もつかない女たちの肉体のほとばしりを中心に作品を再構築。優美さとタフさで新しく疾走する三島ワールド。作・演出は、劇団・快快 (ファイファイ)に旗揚げより所属、国内外で幅広く活躍する振付家で演出家の野上絹代が、これまでとは全く異なる切り口で三島の世界を表現。4人の女性には、全国的に有名になった登美丘高等学校ダンス部の元キャプテンで女優の伊原六花、モデルで女優としても数々の映像作品に出演する井桁弘恵、個性派女優として長年活躍する野口かおる、確かな演技力と存在感で、多くの演劇・映像作品に出演する高橋努が女中役を務める。

「『憂国』(『(死なない)憂国』)」(左から)東出昌大、菅原小春

「『憂国』(『(死なない)憂国』)」(左から)東出昌大、菅原小春

「『憂国』(『 死なない 憂国 』)」は、仲間から決起に誘われなかった中尉が、叛乱軍とされた仲間を逆に討伐せねばならなくなった立場に懊悩し、妻と共に心中する「憂国」が、2020年版として新たな設定で蘇る。時は令和、コロナ禍でライブハウス消滅の危機に瀕した夫妻が、三島の「憂国」のインフルエンサーとして大胆なメッセージを放つ。作・演出は、映画監督、映像作家として活躍する長久允。初めての舞台演出作品となる。夫、信二役を、数々の作品に主演し、熱列な「三島ファン」として知られる東出昌大、妻、麗子役を、世界的ダンサーで、昨年の大河ドラマでの初演技が注目を集めた菅原小春が務める。

「『真夏の死』(『summer remind 』)」(左から)中村ゆり、平原テツ

「『真夏の死』(『summer remind 』)」(左から)中村ゆり、平原テツ

「『真夏の死』(『Summer remind』)」は、実際に伊豆で起きた海難事故を題材に、二人の子供と義理の妹を失った女性の心情を、巧みな心理描写で描いた小説「真夏の死」を原作に、新作戯曲として日本初演。作・演出は、学生時代から構成作家として活動を始め、脚本、監督、演出とマルチに才能を発揮る平成生まれの新進気鋭・加藤拓也が手掛ける。子を亡くす母役に、確かな実力で映像、舞台と幅広く活躍する中村ゆり、その夫を、存在感ある演技が光る平原テツが務める。

「『班女』近代能楽集より」(左から)麻実れい、中村蒼

「『班女』近代能楽集より」(左から)麻実れい、中村蒼

「『班女』近代能楽集より」は、「近代能楽集」に収録され、海外でも高い人気を誇る『班女』。男が残した扇を大事に抱きながら、再会を待ち続ける花子の愛と、花子を独占することに喜びを感じる実子の愛。女性の情念の深さを描く戯曲が、舞台で蘇る。演出は熊林弘高。実子役には、圧倒的なオーラを放ち、数多くの演劇賞受賞歴のある麻実れい、花子の思い人である吉雄を、華やかなルックスと表現豊かな演技で魅了する中村蒼が務める。

さらに、今回、劇場+舞台映像配信+ドキュメンタリー映画の三本柱で挑む初のプロジェクトが実施されることとなった。現在世界を取り巻くコロナ禍の中で、本公演の制作過程を追い、三島を通して「今」をとらえるドキュメンタリー映画を製作。手掛けるのは、広告映像ディレクターとして国際的なクリエイティブアワードで多数の受賞をし、近年では、映画監督としても活躍する関根光才。公開は2021年を予定。ソーシャルディスタンスが演劇に求められる今、劇場半数の客席と舞台映像配信でのダブル上演で新たな演劇スタイルでお届けする。

上映情報

三島由紀夫没後
50周年企画『MISHIMA2020』
※公演映像の配信を予定
 
■日程:20209月21日(月祝)~22日(火祝) 3公演
■会場:日生劇場
 
『橋づくし』 
作・演出:野上絹代
出演:伊原六花 井桁弘恵 野口かおる/ 高橋 努
 
「『憂国』(『死なない 憂国』)」
作・演出:長久允 
出演:東出昌大 菅原小春
 
■日程:2020年9月26日(土)~27日(日) 3公演
■会場:日生劇場
 
「『真夏の死』(『summer remind』)」
作・演出:加藤拓也 
出演:中村ゆり 平原テツ
 
「『班女』近代能楽集より」
演出:熊林弘高 
出演:麻実 れい 中村蒼 他
 
料金:S席 8,000円/ A席 6,000円
一般発売:9月13日(日)
 
企画・制作・主催:梅田芸術劇場
 
公式ウェブサイト https://www.umegei.com/mishima2020/
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