SUPER BEAVER、バンドをとりまく環境の変化の中で今一度伝えたい想いを表した楽曲「突破口 / 自慢になりたい」を語る
SUPER BEAVER 撮影=森好弘
SUPER BEAVERがメジャー再契約後、「ハイライト / ひとりで生きていたならば」に続き、シングル「突破口 / 自慢になりたい」をリリースした。7月には無観客ライブ&ドキュメント映像『SUPER BEAVER 15th Anniversary 都会のラクダSP~LIVE document~』を配信し、10月3日(土)には東京・日比谷野外大音楽堂にて『SUPER BEAVER 15th Anniversary 都会のラクダSP~ラクダビルディング&ビルディング~』を開催した。以前のようなライブはまだ完全に取り戻したわけではないが、この状況下のなかで一歩ずつ、SUPER BEAVERは「あなた」に向けて発信し動き出した。今回SPICEのインタビューでは前回に続き、FM802 DJ加藤真樹子(『UPBEAT!』(月〜木11:00〜14:00))がシングル「突破口 / 自慢になりたい」の話を中心に、彼らの近況を訊いた。
上杉研太(SUPER BEAVER / Ba)
ーーお久しぶりです。元気でしたか?
上杉:元気です!
柳沢:めっちゃ元気です。
ーーメジャー再契約して、ライブとか全国の会いたい人になかなか会いにいけない状況ですが、聴いてくださるファンの方の存在というのはバンドにとって、改めてどういう存在でしたか。
渋谷:大きく認識を改めたことはなくて。もちろんこういう状況だからこそ、よりファンの方の存在を大きく感じるのが当たり前だと思ったんですけど、そもそも最初からそのレベルで思っていたので、この時期になって、その存在の大きさに改めて気がつくみたいなことはなかったですね。
上杉:受け取ってもらえる機会が少なくなると、やっぱり寂しいという気持ちとありがたみを感じるのはありますけど、バンドの姿勢としては基本的には特に変わらないですね。
渋谷:ライブに関してだけですね。やっぱり面と向かってた時間がなくなってるというのは正直あるので、1対1で向き合ってきてたからこそ、そこに関しては思うことはありますね。
藤原”32才”広明(SUPER BEAVER / Dr)
ーー7月に配信で『SUPER BEAVER 15th Anniversary 都会のラクダSP ~LIVE document~』をドキュメンタリーとライブという形で届けてくれたのはSUPER BEAVERらしいなと私は受け止めました。
渋谷:ライブを観てくださる方、会場に来てきてくれたりとか、その空気を一緒に作る人がいない時点で、果たしてライブと呼べるだろうか……と少し考えるところがありました。なので、1番最初の配信ライブは4人で向かい合ってライブをしました。そもそも4人が一方を向いて演奏したり、歌ったりするのは、聴いてくださる方が対面にいるからこその陣形だと思うんですよね。
ーーなるほど。
渋谷:だからそこに対する、一方向に向かって演奏することの不自然さを感じましたし、バンドの意味もそうだと思うんですけど、4人が同じ方向を向ける環境というのは、やっぱり向かう先に人がいるからなんだなというのを改めて感じました。
ーーあの期間に見せてもらったことが、ファンの方は嬉しかったと思います。その一方で生配信企画『自宅のラクダSP ~自慢のラクダ~』との振り幅がすごいですね(笑)。
柳沢:4月から自宅から生配信をやってきて、先日、『自宅のラクダSP ~自慢のラクダ~』をやりましたけど、正直、この状況があっての副産物だと思ってます。ライブをしていたら、ライブに特化していたと思いますし、個人的には新しい見せ方というよりも、ライブに対してずっと諦めてないところがありますし、元どおりのライブができるかはわからないですけど、諦めたくない気持ちが正直あります。ただその間にずっと黙ってるのも面白くないよねという気持ちはあって、単純に笑えるコンテンツがあっても良いんじゃないかなという気持ちがメンバーの中にもあったと思うので、音楽ではないですけど、何か一つの楽しみのコンテンツになったら良いなという気持ちはずっとありました。
ーー何か楽しいことを、この先に置いてくれるというのは、すごく救われます。
渋谷:そういうふうに思ってくださるから、自分たちが楽しいことをやれるというのが結構大きいですね。そうじゃないと俺たちもやる意味ないような感じがしてるので。自分たちがやれる範囲で誰かに楽しんでもらいたいですね。
SUPER BEAVER
ーーそしてメジャー再契約後、2枚目のシングル「突破口 / 自慢になりたい」が10月21日(水)にリリースになります。「突破口」は歌詞に<挑まないと 味わえないや 過去一番に楽しいこと>とありますが、これこそSUPER BEAVERらしさが出ている曲だなと思いながら聴かせていただきました。
柳沢:今回、「突破口」はTVアニメ『ハイキュー!! TO THE TOP』第2クールのオープニングテーマでもあったので、個人的には原作とのリンクする部分を探しつつ、その中で「今」というものへの執着、「今」と向き合う一瞬のキラメキを、このアニメ作品とSUPER BEAVERの今までの歩みとすごくリンクするなという思いが最初にありました。なのでこれまでのメンバーの歩みを書けば、自ずと『ハイキュー!! TO THE TOP』にハマるなと思ったので、スムーズに書けました。
ーー渋谷くんは歌ってみてどうでしたか。
渋谷:「突破口」は歌っていて気持ちいいです。自分たちの15年の歩みが露骨に出ている曲だし、分かりやすいなと思いました。SUPER BEAVERっぽいというか、自信満々に歌える曲でもあります。
ーーステージでの爆発力もすごい曲になるんだろうなという印象もあったので、早く体感したいなと思いました。
上杉:そうですね。この曲を聴いた時、ライブでドカンとやりたいなというのが第一印象で、今までの歩みとこれからどういうところを僕たちが見ているのかというのが、歌詞や曲の雰囲気に出ているなと。なのでリリースしてライブでの反応とか、演奏していくなかで育てていく感じとか、いろいろ楽しみな1曲がまたできたなと思っています。
藤原:テンポ的にはこの曲はすごく早くて、SUPER BEAVERの曲のなかでも2番目か3番目に早い曲かもしれないですね。
柳沢亮太(SUPER BEAVER / Gt)
ーー両A面の「自慢になりたい」。もうタイトルからグッときてしまって。この言葉は誰かがいて、その人のことを思うからこそ出てくるものだと思うんですよ。それこそ、バンドがずっと「あなた」を大事にしてきたからこそ、出てきた言葉がこの曲になってるんじゃないかと思ったんです。
柳沢:この曲自体は2019年のちょうどメジャー再契約の話が現実味を帯びていた頃にできた楽曲なんです。バンドをとりまく環境の変化があったり、その変化に伴う人の想いも何度も何度も味わうなかで、そういう人たちの想いに今一度触れて、「自慢になりたい」という気持ちを歌にしたかったんです。4人でバンドを始めて、あらゆる面で4人で喜んできた部分というのが根本にあって。それがいつしか自分たちの喜びを同じように喜んでくださる人がすごく増えて、その喜んでくださってる人の顔を見るのが自分たちにとっても、バンドをやっていて何よりの喜びになっているんです。その積み重ねを言葉にするならと思った時にこのワードが出てきたんです。
ーーそれはファンの方にとってもすごく嬉しい言葉だと思うんですよね。ちなみにバンドの「自慢」ポイントを教えてください。
渋谷:やっぱり人に恵まれていることです。これは他のバンドよりも負けないんじゃないかなと思います。自分たちが活動していく上で、ラジオに出させていただいたり、インタビューをしていただくこともそうですし、ライブ1本にとってもライブハウスの人たちであったり、スタッフ、地方のイベンターさんとか。友人関係もそうだと思いますし、どこをピックアップしても逆に自慢したくなる人が多いというのは、このバンドは負けないんじゃないかな。
柳沢:自分たちのストーリーを共有してくれてる人がすごく多いなと思いますね。例えば「ビーバーがついにここでライブをするのか」とか、大阪で言うとBIGCATからずっとそれの連続だと思いますし、見てくれてる人が多いんだなというのは渋谷の言う通り。あらゆるところで居てくださるのは嬉しいですね。
渋谷龍太(SUPER BEAVER / Vo)
ーー本当にこれからが楽しみなSUPER BEAVERですが、こうやってシングルが2枚リリースされて、きっとまだ曲があるのでは? と、その先を楽しみにしてる方もいると思います。
柳沢:曲はめちゃくちゃありますね。SUPER BEAVERとしてはかなりいろんな曲がある状態じゃないかなと思います。
渋谷:僕たちの今までの歩みを見ていただけたら、分かると思います! 順当に楽しみにしていただけたら、裏切ることはないです。2021年!
藤原:楽しみはこれからです!
ーー分かりました。楽しみに待ちたいと思います! 今日はありがとうございました。
SUPER BEAVER
取材=加藤真樹子(FM802 DJ)文=kawabeyumi 撮影=森好弘