怪盗ジャックが盗んだものとは？　大崎捺希・髙木俊ver.の舞台『錦田警部はどろぼうがお好き』ゲネプロレポート

舞台『錦田警部はどろぼうがお好き』はかんばまゆこによる漫画作品 (小学館 少年サンデーコミックススペシャル刊）を舞台化したもの。2021年3月11日（木）より始まった本作舞台は、怪盗ジャック（＝アンリ巡査）、錦田警部（＝死んだ目の錦田）ともにWキャストとなっている。

今回の記事では大崎捺希・髙木俊による公演をレポートする。

怪盗ジャックが盗んだもの、それは錦田警部の……

今日も鮮やかな手口でお宝を盗む怪盗ジャックと、彼を追う錦田警部。予告状に記されたお宝を守るため、多くの警官たちとともに万全の警備で迎え撃つが、いざ怪盗ジャックを目の前にするとちょっとモジモジしてしまう。その様はまるで恋する乙女。そう、錦田警部は“心”を盗まれてしまったのだ！

怪盗ジャックに対してはちょっと乙女な錦田警部を演じるのは髙木俊。低めの声とがっしりとしたかっこいい肉体。明るく爽やかな笑顔、鋭い観察眼と頼れるところのある警部は見ていて安心すらあるが、対して怪盗ジャックに見せる照れや恥じらい……32歳の警部が乙女を発揮しているさまはちょっと引いてしまう面すらある。

錦田警部の下で働くアンリ巡査を大崎捺希が演じる。警部の怪盗ジャックに対する乙女心や、警官たちの言動などに呆れ、戸惑いながらも、怪盗ジャックとして何度も相対していて――。小柄な身体を生かし、マントを翻しては警備の網を潜り抜け、予告したお宝を盗み出す。

錦田警部のパートナー的な存在であるアンリ巡査をライバル視している緑島栄助（大隅勇太）や、所持するお宝がことごとく怪盗ジャックに狙われてしまう宝ノ持クサレ（酒井敏也）、そして個性豊かな警官たちにも注目だ。錦田警部を支えたり、ともに喜んだり、怪盗ジャックを捕まえるために奮闘したり、逆に翻弄されたり、鮮やかに舞台を演出している。

“ゆるふわ追いかけっこコメディ”

何度見ても笑える繰り返しの「お約束」シーンも、観ている側が恥ずかしくなってしまう（!?）場面も、キャラクターの可愛さも、コミカルでくすっと声が漏れてしまう楽しさがある。錦田警部がなぜ怪盗ジャックに心を奪われたのかの理由がわかると、だんだん怪盗ジャックに対する一途な想いを応援したくなってしまうことだろう。

さらに最後には歌とダンスのシーンがあり、応援うちわやペンライトを持って応援することができる。歌詞、曲ともに楽しい一幕なので、手拍子をしてリズムに乗りながらこの空間を堪能しよう。

舞台『錦田警部はどろぼうがお好き』は、怪盗ジャック＝廣野凌大・大崎捺希（Wキャスト）、錦田警部＝藤田玲・髙木俊（Wキャスト）の計4通りの組み合わせで、3月21日（日）まで品川プリンスホテル クラブeX（東京都）にて上演される。

取材・文・写真＝松本裕美