Ryu Matsuyama×LIVE HOUSE FEVER“hands”、Bialystocksを迎えての第二夜は先鋭的かつ洗練された音に包まれた

レポート
音楽
2022.7.10
Ryu Matsuyama

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Ryu Matsuyama×LIVE HOUSE FEVER“hands” 2022.6.19 新代田FEVER

Ryu Matsuyamaと新代田FEVERがタッグを組んで5月から行なっている、3ヵ月連続のツーマンライブイベント『hands』。NakamuraEmiを迎えた記念すべき初回に次いで、第2回となる公演が6月19日(日)に開催された。

このたび対バン相手に指名されたのは、Bialystocks。もともと今年2月に新代田FEVERでライブをする予定だった両者だが、Ryu Matsuyamaの新型コロナウイルス罹患によって残念ながら共演が見送りに。今回はそのリベンジの意味も込めたツーマンだ。第1回と同様、MOND And PLANTSが場内の装飾を担当。ステージ前方やフロアの片隅、バーカウンターなどの各所には、さまざまな植物がいい感じに置かれている。

Bialystocks

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開演時刻になると、まずはBialystocksがステージへ。映像作家の甫木元空(Vo&Gt)とジャズピアニストの菊池剛(Key)による新進気鋭のバンドは、サポートに朝田拓馬(Gt)、越智俊介(Ba)、小山田和正(Dr)を従えた5人編成で登場。美しいファルセットやメロディが際立つ「花束」、ソウルフルでありながら激情的にも迫る「コーラ・バナナ・ミュージック」など、のっけからRyu Matsuyamaとの共通性もふんだんに感じさせ、集まった大勢のオーディエンスの心を鷲掴みにしていく。

さらに、ジャズボーカル曲の味わいを湛えた優雅なバラード「またたき」、なんでもない日常の尊さを伝えてくれる「ごはん」と、2021年にリリースした1stアルバム『ビアリストックス』からのナンバーをゆるやかに披露。そのフォーキーで奥深いアプローチには、思わずほっこりとした気持ちにさせられ、甫木元が紡ぐ変幻自在の歌声に寄り添う、間を存分に楽しんでいるようなスローテンポのピアノやドラムもたまらない。

Bialystocks

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ここまで聴いて、Bialystocksは音源に負けず劣らず、ライブが想像以上に素晴らしいのだということに気付く。ハンドマイクで堂々とした歌いっぷりを見せる甫木元のハイ&ローが十分に出た耳にやさしいボーカルをはじめ、演奏には程よい落ち着きがあって、生ならではのアレンジや熱量もある。結成3年のキャリアとは思えないほど、すでに揺るぎない世界観を確立しているように感じられた。

また、緻密に構築した原曲を同期に頼るのではなく、バンドの人力でパワフルに表現していた点が新鮮だった。その中核を担うのが菊池で、状況に応じて鍵盤の音色を使い分けながら、鉄壁のサポートメンバーを含めて全体をリード。細かいコーラスまで時にエフェクトをかけてはしっかりと歌っていて、ハモリも上手い。そんな彼らの強みが顕著に出ていたのが超絶プログレッシブな代表曲「I Don't Have a Pen」だろう。菊池の流麗なピアノメロに甫木元のスポークンワード的な高速ボーカルが掛け合わされ、フューチャーソウル調の華々しいサウンドスケープが目まぐるしく魔法のように広がれば、もう居ても立っても居られない感じでフロアは大いに沸き上がる。

Bialystocks

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休日のお昼どきにハマりそうな甘い耳当たりの「Over Now」、ポップさと爆発力をもって駆け抜けた「Nevermore」までをノンストップで届け、「我々がRyu Matsuyamaさんを招く形での対バンはできなかったんですけど、今日は逆に呼んでくださって。こうやって無事に開催できて、こんなにたくさんのお客さんに来ていただけて嬉しいです!」と共演の喜びを語った甫木元。「その日は急遽僕らだけで長い尺をやることになってめちゃくちゃ喋らなきゃいけなかったんですが、ありえない感じの空気にしてしまいまして……すみませんでした(笑)」と場を和ませるシーンも。

Bialystocks

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「Nevermore」以降は甫木元がエレキギターを弾いて歌う曲も増え、「光のあと」「Winter」をよりエモーショナルに奏でたBialystocks。ラストはドラマ『先生のおとりよせ』のエンディングテーマとしても話題の最新曲「差し色」を温かく聴かせ、大きな拍手を受けて5人はステージを後にした。

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