Ryu Matsuyama×LIVE HOUSE FEVER“hands”、Bialystocksを迎えての第二夜は先鋭的かつ洗練された音に包まれた

レポート
音楽
2022.7.10
Ryu Matsuyama

Ryu Matsuyama

Ryu Matsuyamaはいきなり新曲のミッドナンバー「snow」からスタート。淡くオートチューンがかかったRyu(Vo&Pf)のピアノ弾き語りに、やがてJackson(Dr&Cho)がドラム、Tsuru(Ba&Cho)がベースの音を重ね、ゆっくりと丁寧に自分たちの空気を作り上げていく幕開けに、前回の『hands』と同じくホッとさせられる。初めて聴く曲でも絶対的な安心感があるのは、伸びやかな歌声とたおやかなリズムを活かした、この3人ならではのグルーヴのおかげだと思う。

続く「Under the Sea」はライブアレンジを加味しつつ、きりりと締まったアンサンブルで魅了。初回と大幅に変えてきたセットリストにも気合のほどが窺え、Jacksonのきめ細かなビートと5弦ベースに持ち替えたTsuruのスラップ弾きが冴えわたる「Sane Pure Eyes」では、一段とフィジカリティに富んだダイナミックな演奏を見せた。そして、フロアタムの連打から始まった「Crazy」。ここでも向かい合う3人が繰り出すフレーズの絡みがキレッキレで、RyuのボーカルはFEVERの天井を突き抜けていきそうなくらいに瑞々しい。

Ryu Matsuyama

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場内を歓喜の渦に巻き込んだあとは、「お待たせしました! Ryu Matsuyama『hands』第2回、念願のBialystocksさんですよ。あのアメリカンというか、ジャズ味を感じさせるような音楽性がもう好きすぎてね……!」と興奮冷めやらぬ様子で話し出すJackson。「ベースの越智くんとは過去に対バンしたこともある」などといつになく饒舌に語る彼に、「ドレッドのおじさんが急に喋り始めてびっくりした(笑)」とRyuが続き、「まずは2月にBialystocksさんの企画に呼んでもらったのに、僕ら3人ともコロナになってしまい、本当に申し訳ございませんでした。そして、今日は出演していただきありがとうございます!」と挨拶した。

「さっきBialystocksさんのステージを観ていて、“こりゃあ売れる”って偉そうに言ってました」(Ryu)、「いっしょに売れよう!」(Jackson)――そんな微笑ましいやり取りを経て届けられたのは、mabanuaをプロデューサーに迎え、ドラマ『オールドファッションカップケーキ』の主題歌として書き下ろした最新曲「blue blur」。初夏の清々しさにハマる、このウキウキと胸躍るポップなラブソングもまた、オーディエンスにヒットの可能性を感じさせてくれた。さらに、同じくmabanuaとの共作曲「Blackout」を併せて披露。アーバンで洗練されたサウンドからは、ジャンルに縛られない彼らの柔軟な姿勢が見えてきたりもする。

Ryu Matsuyama

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その後も、Ryuのファルセットがひときわ神秘的に響いた「Light」。チェンバーポップ感がありつつ、シガー・ロスなどの北欧系をも彷彿とさせる「That Mad Rad Tale」と、情景が自然と浮かび上がるシネマティックな音像を生み出し続けるRyu Matsuyama。あくまで歌とメロディのよさを軸に、聴く側を清々しいほどナチュラルに惹き付けてくれるのがいい。そうした方向性もBialystocksと共鳴し得るポイントと言えよう。

「本当に大変なときに手を取り合ってきた仲間と、これから作っていくであろう大切な仲間と、この企画を通して手を組んでいきたい想いを『hands』というタイトルに込めました。Bialystocksさんははじめましてなんですけど、僕らとどこか同じような空気を感じています」

本公演の趣旨をRyuがそう告げて、新曲「hands」が奏でられる。曲入り前の凛としたシャウトからグッとくる感じで、人肌の温かみに似た抑揚のあるアンサンブルも胸を打つ。“特別な君と 特別な時間を過ごしていきたい”という歌詞では、かけがえのない存在を深く意識できる渾身のラブバラード。コロナ禍の生活とリンクする内容だけに、音源のリリースが待ち遠しいところだ。

Ryu Matsuyama

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3人のハーモニー+ストリングスのサウンドで壮大に彩った「Afterglow」で本編を、フロアからハンドクラップが起こる最高のムードとなった「Footsteps」でアンコールをドラマティックに締め括ったRyu Matsuyamaは、当日の世界観を作ってくれたMOND And PLANTSにあらためて感謝を伝え、「Bialystocksさんとまたやりたいです!」と充実の表情を浮かべた。ネクストブレイクが期待される2組の先鋭的かつ普遍的な音楽性が体感できたという点で、とても意義深いイベントだったのではないかと思う。

Ryu Matsuyama×新代田FEVERによるツーマンライブイベント『hands』のラストとなる第3回は、7月18日(月・祝)にPolarisを迎えて開催される。


取材・文=田山雄士 撮影=Takeyoshi Maruyama
 

セットリスト

Ryu Matsuyama×LIVE HOUSE FEVER“hands”
2022.6.19 新代田FEVER
〈Bialystocks〉
01.花束
02.コーラ・バナナ・ミュージック
03.またたき
04.ごはん
05.I Don't Have a Pen
06.Over Now
07.Nevermore
08.光のあと
09.Winter
10.差し色
 
〈Ryu Matsuyama〉
01.snow
02.Under the Sea
03.Sane Pure Eyes
04.Crazy
05.blue blur
06.Blackout
07.Light
08.That Mad Rad Tale
09.hands
10.Afterglow
En01.Footsteps

ライブ情報

Ryu Matsuyama × LIVE HOUSE FEVER  “hands”
7月18日(月祝) Ryu Matsuyama × Polaris
会場:新代田FEVER
17:00 OPEN / 17:30 START
代 4,000円+1D
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