連日満員となった話題作、『星の王子さま』が待望の再演決定 森山開次(演出・振付・出演)&島地保武(出演)が魅力を語る
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■新メンバーを迎えての楽しみな再演
前回公演の様子(C)Maiko MIyagawa
――今回、7名のアンサンブルのダンサー(浅沼圭、五十嵐結也、池田美佳、薄田真美子、川合ロン、水島晃太郎、南帆乃佳)のうち池田さん、水島さん以外の5名が初出演ですね。
森山:遠慮せず自分を出してほしいし、それに応えられるように僕も導いていきたいです。この間、ウズベキスタンに行って、砂漠にいたんですよ。それで『星の王子さま』みたいな光景だなと思って。砂漠は風が強くて「精神の風が粘土の上を吹くと人となる」みたいなサン=テグジュペリの別の本の言葉があって、その言葉を考えながらやっていたなと思い出しました。女性たちがメインとなって踊る抽象的なものは何なのか?みたいなのを考えたなかで、この作品でしかできないダンスの風を『星の王子さま』として吹かせられるんじゃないかなと思っています。僕も粘土となり、砂となり、風となって、新しいメンバーと接していきたいです。
それから五十嵐くんは濃いキャラクターなんだけど、美しいダンスも踊ってもらいたい(笑)。
島地:イガちゃんには僕の作品に出てもらっているので、好きというかファンで(笑)。開次さんと彼と一緒の現場でやるのは楽しみです。
――美術(日比野克彦)・衣裳(ひびのこづえ)にも新たなアイデアが加わるそうですね。
森山:こづえさんとは本当によくご一緒しています。こづえさんの衣裳には動き難さとかデコラティブな面もあるんですが、そんなのをもろともせず、パジャマだくらいの感じで踊りたいといつも思っています。克彦さんに関しては、「ウワバミの絵が帽子に見える」という話じゃないけれど、アートの原点を持っている方。ともすれば、幼稚園の時に遊んだ粘土細工や紙遊びを思い起こすようなところもあります。段ボールアートで一世を風靡されましたが、工作男子のような雰囲気が今も健在、いや、むしろ増している感じなので、作品の大きな力になります。
――あらためて意気込みをお聞かせください。
森山:最後は自分の話を。蛇をやるので、皆さんを星空へ届けるくらいの蛇をやりたい(笑)。
島地:やるのみです。ダンサーとしていい時期・おもしろい時期にきていると自分でも感じるので、思う存分やりたいですね。ストーリーはあるんですけれど、ストーリー以外の、それこそ粘土が出てきたみたいな、あるいはブラックホールに見えるとか、そんな踊りがしてみたいです。そこにモノが無くても魅せられるという舞踊ならではのことをしてみたいですね。
森山:その意味で舞踊に合っているというか、舞踏だからこそサン=テグジュペリの感覚に近いものができると思っています。自由な感性を殺さずに楽しんでやりたいです。
取材・文=高橋森彦
公演情報
美術:日比野克彦
衣裳:ひびのこづえ
音楽:阿部海太郎
出演:アオイヤマダ 小㞍健太 酒井はな 島地保武/坂本美雨
浅沼圭 五十嵐結也 池田美佳 薄田真美子 川合ロン 水島晃太郎 南帆乃佳
演奏:佐藤公哉 中村大史
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会
神奈川公演 2023年1月21日(土)~29日(日)KAAT神奈川芸術劇場〈ホール〉
滋賀公演 2023年2月4日(土)、5日(日) 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 中ホール
広島公演 2023年2月8日(水) JMSアステールプラザ 大ホール
熊本公演 2023年2月12日(日) 熊本県立劇場 演劇ホール