2016年はCDデビュー10周年!松田理奈が再登場 第八回 “サンデー・ブランチ・クラシック”12.27ライブレポート
松田理奈(Vln) 撮影:平田貴章
2015年もあと数日となった、日曜日の渋谷。12月27日(日)に、2015年最後を締めくくる「サンデー・ブランチ・クラシック」がLIVING ROOM CAFE(リビングルームカフェ)by eplusで行われた。第八回目となるこの日は、第二回目にも登場してくれたヴァイオリニストの松田理奈が再登場した。
この日の会場は、相席も出るほどの超満員!一同、美味しいブランチを食べながら、松田の演奏を今か今かと待っていた。そんな空気の中、登場した松田も「皆様、こんにちは!すごいですね、たくさんのお客様が来てくださって・・・」と、満員の会場に驚いた様子。目を丸くしながらも、お決まりの「もちろん、今日も靴を脱ぎます!」と”裸足”宣言をすると、客席からは和やかな笑いがこぼれた。(松田がどうして裸足で演奏するのかは、前回の登場時の第二回”サンデー・ブランチ・クラシック”のレポートにてご確認を!)
「今日はちょっと寒くなってきたということで・・・」と今回、松田が掲げたのは”冬に聴きたくなる曲たち”というテーマ。「皆さん、じっと聴かなくて大丈夫ですからね(笑)食べて飲んで、温まってください」と呼びかけつつ、1曲目には、ピアニスト・小森谷裕子の伴奏に乗せ、ストラヴィンスキー作曲『イタリア組曲』より3曲を披露してくれた。この曲は、バレエ音楽であった『プルチネルラ』をヴァイオリンとピアノのために編曲したもの。全6曲で構成される組曲だが、演奏後に松田は「今日は音符の少なめな曲を選んで演奏しました」と選曲のポイントを明かした。確かに、冬の寒さに身を委ねながら音の温度を感じるのにぴったりの3曲であり、改めて今日のテーマを印象づけた。
松田理奈(Vln) 小森谷裕子(ピアノ) 撮影:平田貴章
続いて演奏されたのは、松田が「いつも冬になると聴いている曲」だというカルロス・ガルデル作曲『想いの届く日』。こちらは、1935年に公開された同名映画のテーマ曲であり、もともとはギターで演奏されている曲である。「これまで何か枠に囚われている自分がいた」という松田。「でも今年は、自分がいいメロディだと思った曲を、ヴァイオリンで演奏したいんだ!と思えた年だったんです」と振り返るように、松田の”弾きたい、聴いてほしい”という気持ちが全身から迸っているようで、まさに”想いの届く”一曲となっていた。
松田理奈(Vln) 撮影:平田貴章
そんな気持ちの変化を聴かせてくれた松田だが、2016年はCDデビュー10周年の年となる。それに向けて、いろいろ企画があるそうで、春先から夏にかけては、全国数ヶ所で無伴奏ヴァイオリンリサイタルが行われ、秋からはヴァイオリンの名曲ばかりを演奏するコンサートを開催する予定だという。その他にも、2016年5月28日(土)には東京シティフィルハーモニック管弦楽団との共演や、2016年7月2日(土)には所属事務所であるジャパン・アーツの40周年感謝のコンサートへの出演も決定している。気持ち新たに、10周年のはずみをつけた松田の演奏を、2016年もたくさん耳にすることができそうだ。スケジュールの詳細は、公式ホームページにてご確認を。
「というわけで、ちょっとここで『イザイ』を弾いてみたいと思います」と、『イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 作品27』より第2番 イ短調 1-Obsessionを弾いてくれた。ここまでのほっこりしたカフェの空気が一変するような、松田の超絶技巧が生み出す鋭い旋律。演奏されたのは第2番の第1楽章のみだったので、“もっと聴きたい・・・!”と思ったが、続きは10周年イヤーのリサイタルやコンサートを楽しみにしたい。
松田理奈(Vln) 撮影:平田貴章
「冬らしい曲に戻っていきたいと思います(笑)」と、『イザイ』によって研ぎ澄まされた雰囲気を、やんわりとしたMCで再びほっこりとした空気に戻すのも、松田の魅力だ。4曲目に選んだのは、レハール作曲オペラ『メリー・ウィドウ』より『メリー・ウィドウ・ワルツ(唇は語らずとも)』。オペラが大好きで、ドイツに住んでいる頃は毎日のように劇場に通っていたという松田。「いつか、オペラの素敵な曲たちをヴァイオリンで弾いてみたいなと思っていた」そうで、最近はよくプログラムに取り入れているという。ヴァイオリンの奏でる美しい優雅なメロディを聴きながら、”オペラではどう表現されている曲なんだろう?”、”オペラも観てみたい・・・”という興味が湧いてきた。演奏者が既存の楽曲に違うアプローチで取り組むということは、楽器自身の新しい魅力、そして音楽に対する聴衆の興味の幅が広がるきっかけになるのではないだろうか。
最後には、「まだまだ弾きたい曲があるし、いろんな楽器と演奏したりもしてみたいな~なんて思います」と、早くも次回出演を期待してしまう発言も!マスカー二作曲『カヴァレリア ルスティカーナ』より間奏曲で深いビブラートを繊細に効かせ、気持ちのいい演奏で締めくくってくれた松田に、観客からは「ブラボー!!」の声が飛んだ。
松田理奈(Vln) 撮影:平田貴章
第二部では、同じく”冬に聴きたくなる曲たち”のテーマで、コルンゴルト作曲『ゆきだるま』、フォーレ作曲『子守唄』、パラディス作曲『ドゥシュキン:シチリアーノ』、バッハ作曲『グノー・アヴェマリア』、プッチー二作曲オペラ『ジャンニ スキッキ』より『私の愛しいお父さん』などを演奏。松田のパーソナルな部分が垣間見えるような、あたたかい音色がカフェに響いた。
今回、再登場した感想を伺ってみると、「よりたくさんのお客様にいらして頂いたのと、空間に慣れたこともあって、前回よりも楽しんで弾けたと思います」と笑顔で答えてくれた松田。さらに、「好きな曲を弾くことについて、お客様からの反応で”いいものはいいんだ!”と後押しをしてもらえるすごく嬉しい空間でした。お子さん連れでも聴いて頂けるし、もっと広めていきたいですね」とカフェの取り組みに大きな意義を見出してくれたようだ。
松田理奈(Vln) 撮影:平田貴章
2016年は、松田にとってCDデビュー10周年という特別な年になるということで、「まず、納得のいくコンサートをできるように、自分の核となるコンサートプログラムを精進していきたいと思います。その上で、10周年という特別な年ではあるんですけど、スタンス変わらず目の前のことに、ひとつひとつ丁寧に取り組んでいきたいなと思います」と抱負を語ってくれた。10周年の円熟を迎える松田の今後が、楽しみで仕方がない。
2015年の9月から始まった“サンデー・ブランチ・クラシック”も、回数を重ねる度に盛り上がりを見せている。2016年は、どんなアーティストが登場し、どんな音楽と出会わせてくれるのだろうか。乞うご期待!
松田理奈(Vln) 撮影:平田貴章
ライブの模様
松田理奈(Vln) 撮影:平田貴章
松田理奈(Vln) 撮影:平田貴章
松田理奈(Vln) 撮影:平田貴章
■日時:12月27日(日)第1部13:00~、第2部15:00~
■会場:「LIVING ROOM CAFE by eplus」
■出演:松田理奈(ヴァイオリン)
松田理奈(まつだりな)
東京芸術大学音楽学部附属音楽高等学校卒業後、桐朋学園大学ソリスト・ディプロマコースにて研鑽を積み、2006年ドイツ・ニュルンベルク音楽大学に編入。2007年、同大学を首席にて卒業。2010年、同大学院を首席にて卒業。
日本とドイツでコンサート活動する傍ら、ニュルンベルク音楽大学にて教授アシスタントを勤めた。
1997年、第7回日本クラシック音楽コンクール全国大会小学生の部第1位。
1998年、第52回全日本学生音楽コンクール大阪大会中学校の部第1位。
1999年、初ソロリサイタル開催。
2001年、第10回日本モーツァルト音楽コンクールヴァイオリン部門第1位(同コンクール史最年少優勝)
2002年、トッパンホールデビューコンサートシリーズにて「16才のイザイ弾き」というテーマでソロリサイタル開催。2004年、第73回日本音楽コンクール第1位。併せてレウカディア賞、鷲見賞、黒柳賞受賞。
2007年、サラサーテ国際コンクールにてディプロマ入賞。
これまでにNHK交響楽団、読売日本交響楽団、東京交響楽団、東京都交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、 札幌交響楽団、群馬交響楽団、京都市交響楽団、兵庫芸術文化センター管弦楽団、日本フィルハーモニー交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、神奈川フィルハーモニー管弦楽団、広島交響楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団、日本センチュリー交響楽団(旧大阪センチュリー交響楽団)、関西フィルハーモニー管弦楽団、大阪交響楽団、九州交響楽団、山形交響楽団、愛知セントラル交響楽団、桐朋アカデミーオーケストラ、ニュルンベルク音大オーケストラ、ヤナーチェクフィルハーモニー室内管弦楽団、ベトナム交響楽団など国内外数々のオーケストラ、指揮者と共演。
2011年第12回ホテルオークラ音楽賞
2013年第23回新日鉄住金音楽賞受賞
これまでに、小林庸男、田中みちる、田中裕、村上直子、小栗まち絵、堀正文、元ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団コンサートマスターのダニエル・ゲーデの各氏に師事する。
■日時:3/15(火)
■会場:サントリーホール 大ホール (東京都)
■出演:
本名徹次(指揮)
松田理奈(ヴァイオリン)
コンサートマスター:小森谷巧(読売日本交響楽団コンサートマスター)
司会進行:小森谷徹
東京シティ・フィル第45回ティアラこうとう定期演奏会 指揮:高関健 ヴァイオリン:松田理奈
■会場:ティアラこうとう 大ホール (東京都)
■指揮:高関 健
■管弦楽:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
次回 「サンデー・ブランチ・クラシック」vol.9 田村麻子 <予告>
■会場:LIVING ROOM CAFE by eplus(渋谷区) http://livingroomcafe.jp/
■出演:田村麻子(ソプラノ)
ピアノ:直江香世子
■予定曲目:
シューベルト:アヴェ・マリア
岡野貞一:朧月夜
プッチーニ:「ラ・ボエーム」より 私が街を歩くと(ムゼッタのワルツ)
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■料金:ミュージックチャージ500円、別途カフェ通常利用料(飲食代)
※演奏中に食事もお喋りもOK。
※お子様もご入場可。
※予約の受付はなし。
※飲食代の他に、お一人様につき一律500円のミュージックチャージ。
※混雑状況によっては、ステージが見えづらい場合や相席のお願いをする場合あり。
※満席の場合は入店できない場合あり。