ミュージカル『FACTORY GIRLS』で再び主演! 柚希礼音が語る、再演への熱い思い

インタビュー
舞台
2023.4.1

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自由と平等を求めて戦った女性たちを正面から描いた日米合作ミュージカルとして大きな話題を呼び、2019年度第27回読売演劇大賞優秀作品賞を受賞するなど高い評価を得たミュージカル『FACTORY GIRLS〜私が描く物語〜』が、2023年6月に東京・東京国際フォーラム ホールCで待望の再演の幕を開ける(のち、全国ツアー公演予定あり)。

ミュージカル『FACTORY GIRLS〜私が描く物語〜』(以下『FACTORY GIRLS』)は、アメリカ・ブロードウェイで活動するクレイトン・アイロンズとショーン・マホニーが作詞・作曲。「社会派エンターテイメント」を掲げて、小劇場芝居から大劇場のグランドミュージカルまで幅広い活躍を続ける板垣恭一が脚本・演出を担当した作品。柚希礼音演じる19世紀半ばにアメリカで起った労働争議を率いた実在の女性サラ・バグリーと、ソニン演じるサラと固い友情を結びながらも、編集長として活躍しているが故に雇い主との板挟みで苦しむハリエット・ファーリーを中心に、女性が文章を書けるとは思われてもいなかった時代に、自由と平等を求め、剣ではなくペンで闘った女性達の物語を描いたロックミュージカルだ。

そんな作品の待望の再演で、再び主人公サラ・バグリーを演じる柚希礼音が、再び出会う作品への熱い思いを語ってくれた。

全員でとことん意見を出し合って作り上げていった初演

──待望の再演となりますが、まず再演決定を聞かれた時の気持ちから教えていただけますか?

『FACTORY GIRLS』は、初演の時には、「本当にこれはすごい作品になるんじゃないか?」という手応えを感じながらみんなで作っていたんですね。特に女性の働き方の話なので、お客様に伝わって響くものがたくさんあるだろうとは思っていたんです。それが結果として読売演劇大賞優秀作品賞をいただくこともできて、皆で本当に喜びあい、それぞれ次の仕事に向かっていったので、今回の再演は心から嬉しいです。時代も初演当時とはずいぶん変わっていると思うので、より多くの方に届くように、初心にかえって、もう一度ゼロから作り上げていきたいと思っています。

──日本でこんなに素晴らしいミュージカルが生まれたことに感動した初演でしたが、実際に初演を立ち上げていった日々を振り返っていただくとすると?

海外の作詞、作曲のクリエイターの方達が題材を探し、プロットを立てて、楽曲も書かれていたけれども、実際にはまだ上演されておらず、上演台本もないというものを、日本で初演する為に、板垣恭一さんが上演台本を書かれ、足りない楽曲をまたオリジナルのクリエイターに発注して、日米合作でひとつの作品を作り上げていくというのがまず、すごく新しい取り組みだなと思いました。

また、いまは少しずつそうした作品も増えていっているかな?と思うのですが、初演当時に日本で上演されているミュージカルには、やはり恋愛のものがとても多かったところに、この作品は女性たちが職を得て自立し、男性と変わらない待遇を受ける為に奮闘していく物語で。その題材が本当に素晴らしいと思いましたし、楽曲も様々なテイストのものがあり、やっているうちに私たちも白熱してきて、稽古場の熱気がすごかったんですね。板垣さんの演出も本当に熱くて、キャストがちょっとでもやりにくそうなところはすぐにキャッチして、どんどんお芝居をしやすくしていってくださるので、全員がやる気に満ちている現場でした。ですから板垣さんとまた稽古できるのがとても楽しみですし、個人的には宝塚の稽古場みたいだなと感じたほどの熱気でした。

──柚希さんがトップスターを長く務められた宝塚星組は、宝塚のなかでも特に熱い稽古をする組だと伺ったことがあります。

そうなんです。すごく熱血だったから、外の舞台を様々に経験してもちろん皆さん熱いんですが、でもどこかで冷静というか、大人なやりとりだなと思っていました。ですが、この『FACTORY GIRLS』では、クライマックスの場面などは、みんなで何度も何度も稽古して、話し合って、やっぱりこっちの方がよく見えるんじゃないかとか、とことん意見を出し合って最後の最後まで稽古をし続けたので、まるでひとつの劇団のように団結した集まりでしたね。今回はそこに新たなメンバーが加わるので、更にどんな化学反応が生まれるのかを、今から楽しみにしています。

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