OSK日本歌劇団『大阪・関西万博2025』キックオフ公演目前、トップスター楊琳「日舞レビューが上演されること自体が喜び」
楊琳 撮影=ハヤシマコ
2022年に創立100周年を迎えたOSK日本歌劇団。大阪文化の一翼を担い続けた劇団が次に見据えているのが2025年の『大阪・関西万博』だ。7月14日(金)より大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールにて『レビュー Road to 2025!!』を上演。『大阪・関西万博』と同じ赤と青をテーマカラーに、伝統的な日本舞踊をショーアップした「日舞レビュー」と、世界中の音楽を豊かなダンスとともに魅せる「洋舞レビュー」の豪華2本立てで、エンターテイメント都市・大阪を盛り上げる。出演は、トップスターの楊琳をはじめ総勢30人の劇団員に、特別専科の桐生麻耶も登場する。SPICEでは公演を目前に控えたトップスター楊琳(やんりん)の単独インタビューが実現。『レビュー Road to 2025!!』の見どころや、トップスターとしての思いなどを聞いた。
楊琳
――キービジュアルの和装姿が素敵ですね。
若衆という元禄時代の装束を纏っています。着物を着ると、自分たちも引き締まる感じがするので、キリッとしますよね。この若衆の格好は、桐生麻耶さんのお披露目公演『レビュー春のおどり』(2019年)以来、約4年ぶりです。「ザ・日本物のレビューショー」な定番のお衣装です。日舞のレビューショー自体、2年ぶりくらいで。久々なので劇団員もすごく喜んでいますし、お客様も「待ってました」と楽しみにしてくださっていると思います。
――2年ぶりに日舞のレビューができるとわかった時は、どんなお気持ちになりましたか?
やっぱり嬉しかったですね。以前はコンスタントに大阪松竹座さんなど大きな劇場で「第一部は和物、第二部は洋物」という定番でお届けしていました。その機会が少なくなっていたので、上演されること自体が喜びでした。
楊琳
――第一部は日本舞踊 上方舞 山村流 六世宗家家元 3代目山村友五郎さんの演出・振付による日舞レビュー「春・夏・秋・冬」です。どんなコンセプトになりますか?
題名の通り、日本の春、夏、秋、冬を場面ごとに表現します。春は華やかに始まって、ちょっとした狂言仕立ての場面があるので、そこもコミカルに楽しんでいただけます。夏は大阪ならではの『天神祭』をモチーフに、秋は「観月祭」という題名で、私と椿(りょう)くんの二人立ちで勤めさせていただきます。平安時代をイメージしたお衣装で雅な場面を演じます。そして冬に道行をさせていただき、最後は客席も一体となり盛り上がれる、万博らしい特別企画もあります。私たちの公演を通して万博に向けてのワクワク感を高められたらと思います。
――元禄若衆と娘たちによる煌びやかな幕開きで、春はコミカルなストーリー仕立て、夏は祭り、秋は舞楽、冬は幻想的な世界で、日本の四季を描いた場面を次々と展開すると。夏は『天神祭』のイメージということですが、楊さんは『天神祭』は行かれたことはありますか?
あります! お仕事で船渡御に参加させていただきました。いつも船から参道周辺の屋台の方を拝見しては、すごい人の列に驚いていたので、そちらにもいつか行ってみたいです。出身地の横浜にも海はありますが、大きな川はなくて。なので、川に船を浮かべて、そこから花火を観るとか、船同士ですれ違うときに「打ーちましょ」と手打ちをするとかが新鮮で、いろんなことが「夏だなー!」と思いました。
――大阪の伝統的なお祭りを、船から観られるというのはうらやましいです。山村友五郎先生のご指導で、印象に残っているお言葉はありますか?
四季を大切にされているので、その移り変わりが見えるようにとおっしゃっていました。冬の道行ではしんしんとした冬の寒さを、「観月祭」の二人立ちは雅楽から始まるので雅な感じを出すなど、場面場面の風景や温度などを大切にして欲しいとおっしゃっていました。
――日本舞踊のレビューで、踊る時に大事にされていることなどはありますか?
いくら激しく動いても着崩れないように、動き方は考えています。日本舞踊は着物が綺麗に見えるような動きになっているので、その基本を崩さずにお届けしたいと思います。洋舞と日舞をやっていると、ダンスをしている分、どうしても洋舞寄りになってしまいますが、日舞の基礎を守って動きたいなと思いますし、常に品を感じていただける装いでありたいと思っています。
楊琳
――第二部は俳優としても活躍する平澤智さんが演出・振付を手掛ける洋舞レビュー「HEAT!!」です。どのようなレビューになりますか?
本当にヒート、熱いです! 踊りっぱなしですね。畳み掛けるようなダンスで、私含め31名の出演者全員で踊る場面が多いので、迫力はあると思います。OSKならではのパワフルな「ジャストダンス」もお届けします。
――楽しみですね。ゴスペルにも挑戦されるそうですが、お歌の方はいかがですか?
歌詞がキャッチーでおもしろいので、そこにクスっとしてもらえたら嬉しいです。平澤先生独特の感性で、変に飾らないからこそ直球に飛び込んでくるという感じがしますね。「ジャストシング」という場面で歌うのですが、飾り気のない想いを歌っていて、この瞬間を大切に生きるという思いを感じます。
――第二部では、どんな衣装が登場しますか?
スーツや白燕尾、女の子はスパンコールがついた煌びやかなものや白へドレスなど様々です。「ジャストシング」では、男の子はシャツスタイルにネクタイ、女の子もパンツスタイルで、そのまま「ジャストダンス」に突入します。あとは真っ赤なドレスと尻尾が変わった変形燕尾とか、私と千咲(ちさき・えみ)さんのデュエットダンスは真っ青な衣装で、フィナーレは黒燕尾とか、色彩豊かに目まぐるしく変わっていきます。『大阪・関西万博』のテーマカラーの赤と青をふんだんに取り入れています。
楊琳
――楊さんは昨年のインタビューで、OSK創立100周年イヤーにトップスターを勤める巡り合わせに「なんて星の元に生まれたんだ」とおっしゃっていました。2023年は大阪松竹座開場100周年の記念公演もありましたし、『大阪・関西万博2025』に向けても走り出し、こんなにたくさんの節目に立ち合われるトップスターはOSKの長い歴史でも楊さんだけではないかと思います。「なんて星の元に……」というお気持ちに変化はありましたか?
秋からはNHKでOSKの大先輩である笠置シヅ子さんがヒロインのモデルとなるNHK連続テレビ小説『ブギウギ』も始まります。そのつながりで、もしかしたら『NHK紅白歌合戦』に出られるかもしれない! と思ったり(笑)。2025年に大阪で万博がなかったらこの公演もないでしょうし、「本当にすごい星の下に生まれたんだな」と思います。私は『ブギウギ』には出演していませんが、劇団員の翼(和希)くんが橘アオイ役を勤めますし、劇団員も多数出演しますので、翼くんたちに頑張ってもらいたいと思います。
――この公演はインバウンドも視野に入っていると思いますが、訪日観光客に向けてどんなアピールしていきたいですか?
レビューは言語の壁を越えると思っていて。表情や雰囲気は必ず伝わるじゃないですか。ダンスにも音楽にも言葉はいらないので、グローバルにハマっていただきたいと思います。1回観ればOSKにハマってもらえると思うので、外国人の方はもちろん、日本の方々にも一歩を踏み出して、劇場に観に来ていただけたらと思います。また、『レビュー Road to 2025!!』を機に関西以外の方にも「大阪で万博をやるんだよ」とアピールしたいです。
――楊さんご自身の2025年に向けた目標はありますか?
OSKが万博で活躍するのが目標です。ダンスは言葉の壁がないので、万博の期間中、毎日、会場内のステージでOSKの公演ができたらと思っています。
――では最後に、『レビューRoad to 2025!!』に向けて意気込みをお願いします。
今回は客席に降りて踊ったり歌ったりのパフォーマンスもふんだんに取り入れているので、お客様の近くに行けるのが楽しみですし、お客様にも喜んでもらいたいと思います。客席参加型のナンバーもあって、YouTubeで振付のレクチャー動画を配信しているので、ご来場の前にぜひチェックしてください! 和物と洋物レビューの豪華2本立てを、思う存分楽しんでください!
楊琳
取材・文=Iwamoto.K 撮影=ハヤシマコ
公演情報
【観劇料】S席 8,000円(プレミアムシート 9,000円(舞台写真引換券付き))
【発売日】5月23日(火)10時
<主催>OSK日本歌劇団
<共催>大阪府、大阪市、大阪商工会議所、大阪文化芸術事業実行委員会
<後援>2025年日本国際博覧会協会
OSK日本歌劇団 TEL:06-6251-3091(10:00~17:00 土日祝休)