OSK日本歌劇団 翼和希×千咲えみ「互いに絶対負けない」、同期でトップを飾るふたりが『レビュー 春のおどり』前に明かす強い絆

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2025.6.3
翼和希、千咲えみ

翼和希、千咲えみ

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6月14日(土)より大阪松竹座で始まるOSK日本歌劇団『レビュー 春のおどり』。OSKの生まれ故郷である大阪松竹座で、なおかつ松竹創業130年のメモリアルイヤーに、いよいよ翼和希トップスターお披露目公演が幕を開ける。大阪市内で同公演の記者会見が行われ、OSK日本歌劇団のメンバーのほか、演出等を手掛ける花柳寿楽、中村一徳らが登壇。その模様を伝えつつ、トップスター翼和希と娘役トップスター千咲えみの同期コンビによるインタビューをおくる。

第一部は、花柳寿楽構成・演出・振付による和ものレビュー「翔~Fly High~」。寿楽はこう意気込む。「翼和希さんの魅力満載な日本もののショーにできたらいいなと思って、今、いろいろと練りつつ、またそれらを固めつつ、進めております。自分が見たい日本舞踊の新しいショーを作れたらなと思っています」。

第二部は中村一徳(宝塚歌劇団)・演出の洋ものレビュー「The Legendary!」だ。中村がOSKの洋ものレビューを手掛けるのは8年ぶりとなる。「8年間は観客としてOSKを観ておりましたけれども、いろんなことを考えていました。これまでOSKのショーを作って来られた先生方に負けない作品になるよう、一歩でも近づきたいなと思っております。ただ、一流の先生方よりもOSKの公演を一番よく観ているのはおそらく私だと思っております。OSKの皆さんから発せられる感動やエネルギー、喜びを一番わかっている演出家は私だと思いますので、感謝の気持ちを糧にこれから稽古に入りたいと思います」と語った。

翼和希

翼和希

昨年9月にトップスターに就任し、約半年間、国内外各地で劇団員とともに公演を重ねてきた翼。大阪松竹座の舞台に立つことに、こう喜びを表す。「松竹創業130周年という大変おめでたい年に、OSK日本歌劇団員としてまた舞台に立てることを、心より嬉しく思っております。寿楽先生、中村先生、振付の先生方、そしてスタッフの皆様のお力をお借りして、この作品をキッカケにOSKのことを知っていただき、広く深く愛してもらえる劇団となりますよう精一杯努めてまいります」。

娘役トップスターの千咲えみは、「大阪松竹座での『レビュー 春のおどり』は、私たちOSKにとってとても特別で、大切な公演でございます。本年も松竹様のお力添えをいただきまして、上演させていただきます。一人でも多くの皆様に劇場にいらしていただいて、翼和希を中心とした新しいOSKのスタートを見ていただけたらと思います」と話した。

千咲えみ

千咲えみ

白藤麗華は「今日改めて、この記者会見で翼和希の背中を見ることによって新しい時代になったんだなと実感しております。華やかな舞台がお届けできるように、特別専科の桐生麻耶さんと朝香櫻子さん、そして翼和希を筆頭に、みんなで稽古を頑張りたいなと思います」と挨拶。一方、華月奏はワクワクしているという。「劇団員みんな、どんな『春のおどり』が出来上がるんだろう、どんな翼和希のお披露目公演になっていくんだろうとワクワクしていると思います」。城月れいは、「たくさんの上級生の方がつないでくださった大阪松竹座『春のおどり』を、今年も公演することができて、とても嬉しく思います。劇団員が一丸となって、「楽しかった」とお客様に思っていただける公演になるよう頑張りたいと思います」とやる気を示した。

登堂結斗は新しいOSKの幕開け公演と位置付ける。「来てくださったお客様全員に、しっかりと愛をお届けできるように頑張ってまいりたいと思います」。「下級生のみんなと力を合わせて諸先生方、上級生の方々についていけますよう、微力ながらも精一杯お稽古に励んでまいります。(同演目で8月に『夏のおどり』として上演する)新橋演舞場まで、諦めることなく、より良い舞台を求めて一所懸命やっていきたいと思います」と天輝レオは意欲を見せた。壱弥ゆうは大阪松竹座での『春のおどり』に出演することは一つの目標であるという。「今回は翼さんのトップお披露目ということで、出演できることを本当に光栄に思います」。最後に唯城ありすは次のように話した。「翼さんの大きな大きなお背中を追いかけながら、全員で一致団結して、劇場にお越しのお客様にもう一度『レビュー 春のおどり』を見たいと思ってもらえるような舞台をお届けできるよう、精一杯精進してまいります」。

続いて、翼和希と千咲えみのインタビューをお届けしよう。

翼和希、千咲えみ

翼和希、千咲えみ

――昨年10月の『レビュー in IWAKUNIからトップスター就任記念公演が始まり、国内外で公演をされました。この間、新生OSKと言えるような変化はありましたか?

翼:半年間、似たメンバーで回っていたこともあって劇的に何かが変わったということはありません。でも劇団員同士でコミュニケーションを取る機会が増えたような気がします。いい意味でおしゃべりできる関係性が増えてきたような。下級生に舞台についての意見を聞いた時も、自分なりの言葉で言ってくれるようになりました。その関係性は普段の会話から生まれると思うので、今回の『春のおどり』でも見えてくるのかなという気がします。

千咲:今、隣で話を聞きながら、確かにそうだなと感じていて。以前からそうだったのかもしれませんが、翼が持ち前の明るさでみんなに投げかけてくれるので、受け身にならず、自分たちも一緒に作るという意識が少しずつ芽生えている気がします。また各公演でリーダーや主演をする子が増えたので、ここ数日のお稽古で「頼もしくなって帰ってきたな」と思いました。

――千咲さんはお隣で見ていて、翼さんをどのように感じていらっしゃいますか?

千咲:プライベートで連絡する時や、お食事をしている時は、十何年前に出会ったままです。でも舞台上の姿を見ると、自分がこれまで見てきたトップの方々とどこか重なる部分があって、「トップさんなんだな」と感じることもあります。先日の南座で初めて、パレードで真ん中に立ってパラソルを回す姿や、上級生が着ていらっしゃった総スパンの衣装を着ている姿を見て、トップになったのだなと私自身も実感してきました。

翼和希

翼和希

――パラソルのパレードの時は、トップスターさんは劇団員の皆さんを見守る存在ですね。南座でその位置に立たれて、いかがでしたか?

翼:絶対に(劇団員の)みんなと目を合わせたいと思っていました。そこだけはお客様にすみませんと思いながら練習していて。

千咲:トップさんと目が合ったら嬉しいんですよね。

翼:首がなくなるんじゃないかっていうくらいに回して、皆の目を見ていました。

――大阪松竹座でのレビュー『春のおどり』は、寿楽先生も、中村先生も「翼」をキーワードにされています。

翼:もう感謝しかないですね。すごい芸名をつけたなと思ったんです。歌劇で翼ってよく出るやんと。「翼」という字にこだわりを持ってつけた分、先生方が思われる翼をモチーフにした作品に出会えること、そして具現化してくださることが嬉しいです。だからこそ、先生方が思い描いてらっしゃる作品に近づけたいし、寿楽先生もおっしゃっていたように、白い翼で挑みたいと思います。場面によって、いろんな色に染まるようなものをお届けできたら。お歌に関しても、中村先生がおっしゃったように曲によって世界観が変わるような、いろんな翼をお届けできたら。初舞台生も含めて劇団員みんなが翼を広げて羽ばたいていける作品になったらいいなと思っています。

千咲えみ

千咲えみ

――千咲さんは娘役トップスターとして単独になりましたけども、心境の変化はありましたか?

千咲:舞美りらさんがご卒業されて、背負うものは大きくなったのかもしれませんが、本当に伸び伸びとさせていただいてまして……。でも、それはきっと同期の翼がドカンと横にいてくれるから、心配事がないのだろうと思います。翼と一緒に新たなポジションにつけていただいた感覚でもあります。もしも翼がいない時に一人だったら、もしかしたらくじけたりしていたんじゃないかなと思うほど、翼の存在は大きいですね。

翼:千咲もそうですけど、娘役さんに伸び伸びやってもらうことがOSKにとっていいことなのではないかなと。OSKの娘役さんは、男役さんと踊った時でも華麗でありながら対等であることがすごく良くて。対等にできるからこそ、余計に男役さんがカッコ良く見える。七変化できるのがOSKの娘役さんのカッコ良さだと思うので、千咲には天井知らずで伸び伸びやってもらった方が、私も「ああ、来た! 来たね!!」となって、いいかなと思います。

千咲:翼は同期だからこそ、いい意味でライバル視しています。たとえば翼率いる男役さんの場面があったら「娘役も絶対負けない!」みたいな(笑)。

翼:先生から「娘役さんも男役さんばりにカッコ良く踊って」と言われたら、こっちもピク!っとなりますね。「なんだって!?」と。ライバルじゃないですけど、お互いに「絶対負けない」というのがモチベーションになっていると思います。

翼和希、千咲えみ

翼和希、千咲えみ

――会見では寿楽先生が「僕の知らない翼さんを見てみたい」とおっしゃっていました。「これは誰も見たことがないだろう」というお互いの一面を教えてください。

翼:千咲はたくさんあって(笑)、知られていないというよりも、見せられない。でもその延長には、とにかく人を楽しませることが大好きという千咲の明るさがあふれています。千咲はエンターテイナーなんです。歌劇の娘役でありながらエンターテイナーの血が全身に駆け巡っています。以前、寿楽先生の演出で小坊主をやりまして、そういうこともできちゃう。そんな千咲の一面は、過去のOSK作品をご覧いただいたら、垣間見ることができると思います。

千咲:皆様が知らない翼の一面……。どうでしょう……、ここ1年ぐらいで割と出ているかなという感じはしますが、奥底からのど真面目さは出ているかもしれません。翼は誰よりもいろんなことに気を張って、いろんなことが気になっていて、お客様に対しても、スタッフの方に対しても、お一人お一人に対しての思いが本当に深いです。皆さんが想像している以上に真面目で、でもちょっと脆いところがあって。時々、母性をくすぐられるような、なんとかしてあげたいと思うような、大事にしとかないと何かがぽろっと欠けてしまうような、ちょっとやわらかな部分が見える男性の役を演じる翼が私は好きです。お客様も気づいていらっしゃるかもしれませんが、実はそういう繊細な部分もすごくあります。

――入学からずっとご一緒にされてきたお二人が、今、男役、娘役でトップになられました。この現実を前に、下級生の頃のご自分になんと声をかけてあげたいですか?

翼:「諦めないで、腐らず、そのまま走りなさい」。諦めないのが良かったんだと思うんです。壁なんていくらでもあったし、どうしましょうと思うこともよくあったけど、「このままじゃ嫌や」と、「自分はこうありたい、自分はこうなっていきたい」と諦めへんかったから今、ここにおるんやと思うし。根本にはやっぱり舞台が好き、歌と踊ることが好きという気持ちがあるからだと思うので、「めげそうなことがあったとしても、諦めずに腐らないでね。そのままやり続けなさい」と言いたいです。

千咲:継続あるのみですよね。下級生の頃には頭の片隅にもなかった現実が今、起きていて。誰もが悩むと思うんです。もう辞めてしまいたいと誰もが何度も思ったことがあると思いますが、「継続することには意味がある」と言いたいですね。あと、「将来、頼もしいパートナーが隣にいるので、そのまま安心して進みなさい」と当時の自分に言ってあげたいです。

翼和希、千咲えみ

翼和希、千咲えみ

――心が折れそうになった時もあると思いますが、そういう時はご自身をどう奮い立たせて来られましたか?

千咲:そういう時は、「(OSKを)卒業する自分を想像できる?」と自分に問うんです。そしたら、「絶対、まだ嫌だ」と思って、「よし、頑張ろう」と。「舞台に立たない選択肢を取る?」「いや、絶対それは取れない!」と、いつも自分自身に問いかけて、もう泣くだけ泣いて「よし!やろう!」と立ち直りますね。

翼:辞めちゃったら戻れないよね。

千咲:はい、そのことを考えたら全然、頑張れます。

翼:上辺ではそう思っていても、1回も本当に辞めたいと思ったがことないですね。

千咲:歌劇の世界を目指して、OSKに入りたいと思った頃を思い出したら、もう……。

翼:その時の純粋な自分を守ってあげたいなと思います。

取材・文=Iwamoto.K 撮影=ハヤシマコ

公演情報

『翼和希トップスターお披露目公演「レビュー 春のおどり」』
【公演日時】2025年6月14日(土)~24日(火) ※14日15時30分公演はイープラス貸し切り
【劇場】大阪松竹座(大阪市中央区道頓堀1-9-19)
【出演者】翼和希・千咲えみ・白藤麗華・華月奏・城月れい・登堂結斗・天輝レオ・壱弥ゆう・唯城ありす・羽那舞・京我りく・紫咲心那・琴海沙羅・水葉紗衣・有絢まこ・知颯かなで・空良玲澄・舞音ことは・璃音あかり・梅名希歩・柊湖春・南星杜有・鼓珀響・桜乃ひとみ・香幸信帆・初音くらら・陽向だいち/桐生麻耶(第二部のみ)・朝香櫻子/OSK日本歌劇団第101期生(初舞台生)
【観劇料】一等席(1・2階)10,000円/二等席(3階)5,000円
 
<e+貸切公演>ならでは
【独自席種・独自価格】
☆e+貸切公演は一部を「独自席種」で、全席を「独自価格」で販売いたします。
プラチナ席=¥12,500(1階9列までの5番~20番)※大阪松竹座オリジナルグッズ付(当日入口受付にてお渡し)
1等席(1階)=定価¥10,000 → ¥8,800
1等席(2階)=定価¥10,000 → ¥5,500
2等席(3階)=定価¥5,000 → ¥3,500

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※撮影は、スマホ静止画のみです
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