遊び心満載の家具を生み出したデザイナー倉俣史朗、京都で25年ぶりの回顧展『記憶のなかの小宇宙』開催

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2024.1.22
倉俣史朗「硝子の椅子」 1976年 京都国立近代美術館蔵 撮影:渞忠之 (c) Kuramata Design Office

倉俣史朗「硝子の椅子」 1976年 京都国立近代美術館蔵 撮影:渞忠之 (c) Kuramata Design Office

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6月11日(火)~8月18日(日)の期間、京都国立近代美術館にて、代表作や初公開資料など200点超を展示する大回顧展『倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙』が開催される。

1991年に56歳という若さで急逝した、日本を代表するデザイナー倉俣史朗。没後5年に企画され世界を巡回した『倉俣史朗の世界』展以降、25年を経て、再び京都に倉俣史朗の代表作が帰ってくる。東京、富山を巡回した同展は、京都会場で幕を閉じる。

倉俣史朗「ミス・ブランチ」 1988年 富山県美術館蔵 撮影:柳原良平 (c) Kuramata Design Office

倉俣史朗「ミス・ブランチ」 1988年 富山県美術館蔵 撮影:柳原良平 (c) Kuramata Design Office

倉俣史朗(1934–1991、東京生まれ)は、銀座のランドマークとなる商業施設「三愛ドリームセンター」の店内設計で注目を集め、1965年にはクラマタデザイン事務所を設立して独立。高度経済成長とともに変化し続ける都市を舞台に、インテリアデザイナーという、当時はまだ曖昧な認識しかなかった領域で活躍した。透明なアクリルを使用して、まるで商品が浮いているようにみえる棚、光そのものに形を与えたかのようなショーケース。華やかで移り変わりの激しい商業空間を、倉俣は永続性のない幕間劇にたとえた。

一方で、商品化を前提とせず、自主的に制作した家具を発表し続けた。遊び心を感じさせる変型の引出し、板硝子を貼り合わせ最小限の構造を突き詰めた椅子、造花のバラが浮遊するアクリルブロックの椅子。1981年にエットレ・ソットサスに誘われて、イタリアのデザイン運動「メンフィス」に参加すると、一躍国際的な評価を高めた。倉俣が「言葉で語れない部分を形で言おう」とした家具たちは、大切に保管されて受け継がれている。

当時の雑誌には、毎月のように倉俣のインテリアや家具、そしてその時々の言葉が紹介されていた。彼の話は、デザインと一見関係のないような、幼少期の思い出や、夢に見たことにまで広がっていった。同展では、こうした倉俣自身の言葉を辿りながら、創作の源泉ともいえる夢日記、友人への書簡、愛三のレコードなどの資料とともに、倉俣の素顔に迫る。

『倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙』は6月11日(火)から、京都国立近代美術館にて開催。

イベント情報

展覧会『倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙』
【開催期間】 2024年6月11日(火)~8月18日(日)
【開館時間】 午前10時~午後6時(金曜日は午後8時まで)※入館は閉館の30分前まで
【休 館 日】 月曜日(ただし、7月15日(月・祝)、8月12日(月・祝)は開館)、7月16日(火)、8月13日(火)
【会 場】 京都国立近代美術館[岡崎公園内](〒606-8344 京都市左京区岡崎円勝寺町)
【主 催】 京都国立近代美術館、朝日新聞社
【特別協力】 クラマタデザイン事務所
【協 賛】 竹中工務店
【お問合せ 】 075-761-4111
[美術館公式HP] https://www.momak.go.jp/
※詳細は公式HP等で随時お知らせさせていただきます
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