『最高の高城れに』を味わって! パルコ・プロデュース 2024『最高の家出』初日会見&ゲネプロレポート

レポート
舞台
2024.2.5
舞台『最高の家出』初日会見 (左から)三浦直之、板橋駿谷、祷キララ、高城れに、東島京、尾上寛之

舞台『最高の家出』初日会見 (左から)三浦直之、板橋駿谷、祷キララ、高城れに、東島京、尾上寛之

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パルコ・プロデュース 2024『最高の家出』が、2024年2月4日(日)~24日(土)に東京・紀伊國屋ホールにて上演される(その後、高知・大阪・香川・宮城・北九州を巡演)。

本作は、自らが主宰する劇団「ロロ」をはじめ、ドラマ、映画等の脚本や外部作品の演出を手掛けるなど幅広く活躍する三浦直之による書き下ろし最新作で、ももいろクローバーZのメンバーで、今回、単独での舞台初出演となる高城れにが主演を務める。

初日に先立ち行われた会見とゲネプロの様子をお伝えする。

初日会見

会見には、出演者の高城れに(ももいろクローバーZ)、祷キララ、東島京、板橋駿谷、尾上寛之、作・演出の三浦直之(ロロ)が登壇した。

舞台『最高の家出』初日会見 (左から)三浦直之、板橋駿谷、祷キララ、高城れに、東島京、尾上寛之

舞台『最高の家出』初日会見 (左から)三浦直之、板橋駿谷、祷キララ、高城れに、東島京、尾上寛之

初日を迎える今の気持ちを問われると、三浦は「この作品は2年以上前から準備してきたので、こうやって初日を迎えることができて本当に嬉しい。客席が埋まってたくさんの人たちに見てもらえることを楽しみにしている」、高城は「みんなで無事に初日を迎えられて、とっても幸せな気持ちです。私個人としては初めてのことだらけだったが、素敵な仲間にたくさん支えてもらいながら今日を迎えることができた。私は三浦さんの紡ぐ言葉が大好きなので、その言葉を今日からしっかりと皆さんに届けられるように頑張りたい」、祷は「三浦さんの書くキャラクターが全員等しく愛おしくて、すごく楽しい作品になっていると思う。長い公演なので、支え合いながら最後まで駆け抜けたい」、東島は「僕はこの劇場も初めてだし、キャストの皆さんも初めてだし、ストレートプレイも初めてで、すごく未知が多かったが皆さんに支えてもらいながらここまで来られたので、信じて飛び込もうと思う」、板橋は「自分は三浦くんと一緒に『ロロ』という団体に所属しているが、ロロは今年で15周年。旗揚げした時からパルコプロデュースでロロをいつかやってみたい、という話をしていて、今ここに立てる幸せと、これだけ豪華な(出演者の)メンツと、そして皆さん(と報道陣を示して)がこんなに来てくれるとは思ってもいなかったので、こんな嬉しいことはない。ただただ、楽しいものを届けられるように頑張りたい」、尾上は「(板橋)駿谷くんが雰囲気を作ってくれて、稽古場がすごく楽しかった。毎日稽古に行くのが楽しみで、そうやって楽しんで作った作品はとてもいいものになると僕は信じている。早くこの熱量と思いをお客様に届けたい」とそれぞれ意気込みを語った。

三浦直之

三浦直之

高城れに

高城れに

稽古場での思い出を聞かれると、三浦は「この作品は日常とはちょっとかけ離れた世界の物語なので、その世界観をどのように立ち上げていくのか、脚本を書いた段階からすごく難しいなと思っていた。不思議な人たちが不思議な世界で暮らすという世界観がちゃんとお客さんに届けば、きっといい作品になると思いながら稽古で試行錯誤を繰り返す中で、その世界観を作り上げてくれるのは俳優たちだというのを何度も感じた。奇天烈でキュートでおかしくて面白いキャラクターたちが作ってくれた世界観が観客に届くことを願っている」、高城は「日々勉強することばかりで、特に(祷)キララちゃんとは一緒のシーンが多いので、キララちゃんが「ここはこうした方がいいんじゃない?」とかアドバイスしてくれて、お芝居のことを真剣に話し合うのは楽しいなと改めて思った」、祷は「新年明けて最初の稽古日に、稽古場でささやかな新年会をやった。篠崎大悟さんがパンを焼いてきてくれて、そのパンを食べながられにさんとハイボールで乾杯したことや、皆さんとの親睦を深める会だったので、ロロのメンバーが心を配ってくれたこととかがすごく楽しかった」、東島は「フィジカル的なことで大変だったのが、今回ストレートプレイということで、ダンスも歌もないのでそこまでしんどくないだろうと思っていたのに、気づいたらダンスシーンがあったということと、初っ端かられにさん演じる箒に追いかけ回されるシーンがあって、そこでステージング1日目にして全身筋肉痛になって、ちょっと『やっていけるかな?』とは思った」、板橋は「三浦くんの作品に出演するのは3年ぶり。ロロは基本的に荒唐無稽で、どうしてそうなるのかなんて理由を探していたらきりがないくらい、わけわかんないものがいっぱい出てくる状態の世界観。これをどうやってやるんだろう、と思っていたら、ロロの劇団員の篠崎大悟、亀島一徳、島田桃子と、ロロによく出演している重岡くんが、(稽古の最初から)わけのわかんない状態のキャラをあたかも普通のようにやってるのが、なんかすごいなと思った。それに他の出演者たちがついていく様も素敵だった」とそれぞれ答えた。

舞台『最高の家出』初日会見 (左から)三浦直之、板橋駿谷、祷キララ、高城れに、東島京、尾上寛之

舞台『最高の家出』初日会見 (左から)三浦直之、板橋駿谷、祷キララ、高城れに、東島京、尾上寛之

尾上は「三浦さんが稽古中に新たにセリフを追加することも多々あった。僕とかは一言増えるくらいだったが、高城さんに3行くらい長台詞が追加されたことがあって、でも高城さんはそれを一瞬で覚えて『もう大丈夫です』と言って台本を持たずにやっていた。それはどういう頭になってるんですか?」と高城に質問を投げかけた。高城は笑いながら「なんですかね、私もびっくりしました」としつつ、「三浦さんの台本をもらったとき、物語自体はちょっと難しかったりもしたんですけど、言葉自体はすごくわかりやすいものが並んでいて、普段の生活で聞きなじみのある言葉だったり、新たな“三浦語”みたいなのが生まれるときもあるんですけど(笑)、それもすごくインパクトがあって耳心地がよくて、相性が合ったのかなとは勝手に思っている。ロロも15周年、ももクロも15周年なので、素敵な縁を感じている」と答えた。

祷キララ

祷キララ

東島京

東島京

稽古期間を経て主演の高城にどのような変化が見られたか、と聞かれた三浦は「セリフ覚えがめちゃめちゃ早くて、段取りを修正したときの対応の早さにも驚いた。高城さんは今回初めてのことばかりで不安になることも多かったと思うが、箒というキャラクターも日常生活にちょっと疲れて家出をして、いろんな悩みとか不安を抱えながら最初出てくる。それが物語を通じてだんだん箒が笑えるようになっていくのだけど、箒が笑う瞬間と高城さんが笑う瞬間がぴったり重なったと感じることが稽古の後半にすごく増えていって、何度も感動した。本番を通じて高城さんにたくさん笑ってもらえたらなと思う」と答えた。

板橋駿谷

板橋駿谷

『最高の家出』にちなんで、自分の思う『最高の〇〇』を教えて、という“お題”を振られると、三浦は「今作は宮城県の実家でずっと書いていて、その間ずっと支えてもらっていたので『最高の感謝』ということで、両親と姉と弟に感謝を捧げたい」、高城は「私は『最高の食べ物』ということで、ココイチのカレー。稽古期間もことあるごとにココイチを楽しみに稽古を頑張ってカレーと共に過ごしてきたので、『最高のココイチ』です」、祷は「『最高の魚』として忘れられないのが、地方公演で高知県に行ったときの藁焼きのかつおが本当に美味しかった。今回高知公演があるので、最高の魚をもう一度、今回は最高のお酒と一緒に味わえることを楽しみに地方公演まで頑張りたい」、東島は「『最高の瞬間』で、公演が終わるごとのカーテンコールでお客さんから拍手をいただいたとき。公演中は役に入ってしまってお客さんが見えなくなってしまうが、自分として最後に出て来て、お客さんの顔を見る瞬間がすごく好き」、尾上は「僕の『最高の休日の過ごし方』は、演劇を見た後に劇場の近くの銭湯に行って、ゆっくり何も考えずに過ごして、あがった後にビールを一杯飲む」とそれぞれ答えた。板橋が「今回の舞台は『最高の高城れに』ということで、皆さんに味わってもらえれば」と答えると、それを受けて高城は「そんな『最高の高城れに』は(登壇者たちを示して)『最高の皆さん』がいたからですよ」とニッコリ。板橋も「そういうことだよな! いい返しだ! これ書いておいてください!」と報道陣にアピール。高城もさらに「『最高の舞台』にしましょう!」と呼びかけた。

尾上寛之

尾上寛之

公演を楽しみにしている観客へのメッセージを求められた高城は「この舞台を皆さんにとっての家出だと思って、いろんなものを吸収していただけたらいいなと思う。家出には『逃げる』という印象があると思うが、決して逃げることが悪いことではなくて、逃げた先で誰と出会ってどんなことを感じてどんなものを持って帰れるか。皆さんがこの作品を見てどんなことを思うのかを楽しみながら、私たちも精一杯伝えていきたいなと思う」と答え、会見を締めくくった。

舞台『最高の家出』初日会見 (左から)三浦直之、板橋駿谷、祷キララ、高城れに、東島京、尾上寛之

舞台『最高の家出』初日会見 (左から)三浦直之、板橋駿谷、祷キララ、高城れに、東島京、尾上寛之

ゲネプロ

結婚生活に疑問を感じ、家出をした立花箒(高城れに)は、無一文になり途方に暮れていたところ、偶然出会った藤沢港(東島京)に「住み込みの働き手を探している劇場がある」と聞き、そこを訪れる。

舞台『最高の家出』ゲネプロ

舞台『最高の家出』ゲネプロ

舞台『最高の家出』ゲネプロ

舞台『最高の家出』ゲネプロ

その劇場ではたったひとりの観客のために、7か月間をかけてひとつの物語を上演しているのだが、港が家出をしたので箒がその代役を務めることになる。舞台の主演の蒔時アハハ(祷キララ)は、相手役が港じゃないといやだ、とゴネるが、舞台の幕は上がり、箒とアハハはチグハグな関係のまま芝居をすることになる。

奇妙で愉快な面々に振り回されながら、次第に劇場での暮らしに心地よさを覚え、アハハとの友情を深めていく箒だったが、ある日劇場に箒の夫・向田淡路(尾上寛之)が現れて……。

舞台『最高の家出』ゲネプロ

舞台『最高の家出』ゲネプロ

舞台『最高の家出』ゲネプロ

舞台『最高の家出』ゲネプロ

様々なカルチャーを織り交ぜた“ミクスチャー演劇”とも言うべき世界観で高い評価を得ている三浦が手掛けた本作は、アイドル×劇団のミクスチャーを超えた先に見える「希望」の演劇だ。本作における高城は、アイドルとしてキラキラと輝く姿とはまた違う、汗にも泥にもまみれた姿をさらけ出すひとりの俳優として力強い光を放っている。劇中劇という構造にしたことも効果的で、舞台を見るうちに「箒を演じている高城れに」ではなく「静男を演じている箒」を見守っている気持ちになり、そこにいるのが高城れにであることを一時忘れて物語の世界観に没入することができる。

舞台『最高の家出』ゲネプロ

舞台『最高の家出』ゲネプロ

舞台『最高の家出』ゲネプロ

舞台『最高の家出』ゲネプロ

最初のうちは、次々と自分に襲い掛かる予想外の出来事に戸惑うばかりだった箒が、劇場で過ごすうちにみるみる表情が変わって行くところが、高城の表現力と三浦の演出力がガッチリかみ合って展開されていく。荒内佑(cero)の音楽と、中村蓉によるステージングが賑やかながらも温かな空気を生み出している。三浦の作品への理解が深いメンバー(板橋駿谷、亀島一徳、篠崎大悟、島田桃子、重岡漠)が三浦の描く世界観をしっかりと支えることで、高城、祷、東島、尾上がより自由さを手に入れて力強く暴れ回ることができている。

舞台『最高の家出』ゲネプロ

舞台『最高の家出』ゲネプロ

舞台『最高の家出』ゲネプロ

舞台『最高の家出』ゲネプロ

箒の持つ芯の強さを腰の据わった演技で見せる高城、アハハの無垢さをクルクル変わる豊かな表情で天真爛漫に演じる祷、港の自由さと弱さを飄々と軽やかに演じる東島、淡路の不穏さを明るい狂気を持って演じる尾上と、それぞれがエキセントリックなおかしみを滲ませる。決してステレオタイプにはならないキャラクターの緻密な描き込みは三浦の真骨頂でもある。

舞台『最高の家出』ゲネプロ

舞台『最高の家出』ゲネプロ

公演に先立ち行われたインタビューで、三浦が「エンターテインメントの場に足を運ぶというのは、短い家出みたいだ」という趣旨の発言をしていた。こうした舞台を鑑賞するために足を運ぶのも、非日常を求めた小さな家出なのかもしれない。「家出」の先で何を見つけるのか。観客一人ひとりがこの舞台からきっと何かを受け取って帰路につくことができるだろう。

舞台『最高の家出』ゲネプロ

舞台『最高の家出』ゲネプロ

取材・文・撮影=久田絢子

公演情報

パルコ・プロデュース2024
『最高の家出』
作・演出:三浦直之(ロロ)
音楽:荒内佑(cero)
出演:高城れに(ももいろクローバーZ)  祷キララ  東島京  板橋駿谷  亀島一徳  篠崎大悟  島田桃子  重岡漠  尾上寛之
 
企画・製作:株式会社パルコ
公式HP:https://stage.parco.jp/program/iede
ハッシュタグ:最高の家出
 
【東京公演】
日程:2024年2月4日(日)~24日(土)
会場:紀伊國屋ホール
入場料金(全席指定・税込):9,000円
U-18=2,500円 [観劇時18歳以下対象]
U-30=4,500円 [観劇時30歳以下対象]
※U-18・U-30:一般発売日より先着販売/要身分証明書/当日指定席券引換 
※未就学児入場不可
に関するお問合せ:サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(平日 12:00~15:00)
公演に関するお問合せ:パルコステージ 03-3477-5858 https://stage.parco.jp/
 
【高知公演】
公演日程:2024年3月6日(水)
会場:高知県立県民文化ホール オレンジホール
入場料金(全席指定・税込):9,000円
U-25=4,500円(観劇時25歳以下対象、当日座席指定、要身分証)※未就学児入場不可
主催:デューク ピクニック 
お問合せ:デューク高知 088-822-4488(平日11:00~17:00)
 
【大阪公演】
日程:2024年3月9日(土)
会場:森ノ宮ピロティホール
入場料金(全席指定・税込):9,500円
U-22=3,800円(観劇時22歳以下対象、当日座席指定、要身分証) ※未就学児入場不可
主催:サンライズプロモーション大阪 
お問合せ:キョードーインフォメーション 0570-200-888(11:00~18:00※日祝休業)
 
【香川公演】
日程:2024年3月14日(木)
会場:レクザムホール(香川県県民ホール) 小ホール
入場料金(全席指定・税込):9,000円
U-25=4,500円(観劇時25歳以下対象、当日座席指定、要身分証)※未就学児入場不可
主催:デューク ピクニック 
お問合せ:デューク高松 087-822-2520(平日11:00~17:00)
 
【宮城公演】
日程:2024年3月20日(水祝)
会場:仙台電力ホール 
入場料金(全席指定・税込):9,000円
U-25=4,500円(観劇時25歳以下対象/当日指定席券引換・座席数限定・要本人確認書類)
U-20 =2,500 円(観劇時20歳以下対象/当日指定席券引換・座席数限定・要本人確認書類)
※未就学児入場不可
主催:キョードー東北 
お問合せ:キョードー東北022-217-7788 (平日13:00~16:00 土曜日10:00~12:00 ※祝日を除く)
 
【北九州公演】
日程:2024年3月23日(土) 
会場:J:COM北九州芸術劇場 中劇場
入場料金(全席指定・税込):9,000円
U-25=4,500円(観劇時25歳以下対象、当日座席指定、要身分証)※未就学児入場不可
主催:ピクニック 
お問合せ:ピクニックセンター 050-3539-8330(12:00~15:00)
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