オペラ界の"新女王"、アスミク・グリゴリアンが日本で初の単独コンサート開催

ニュース
舞台
2024.4.23

画像を全て表示(4件)


音楽ファンの聖地といわれるザルツブルクにすい星のように現れ、以来、ウィーン、ロンドン、ミュンヘン、スカラ座、バイロイトなど欧州の主要歌劇場や音楽祭で活躍、たちまち“オペラ界の新女王”となった話題のスーパー・ソプラノ、アスミク・グリゴリアンが、2024年5月、日本で初の単独コンサートに臨む。

リトアニア生まれのアスミク・グリゴリアンは、可憐な妖精、ファム・ファタールから倒錯の王女サロメまで、あらゆるキャラクターを歌いこなす美声、テクニックと美貌の持ち主だ。一昨年にR.シュトラウスの『サロメ』(東京交響楽団、演奏会形式)で初来日し、評論家や聴衆の間で大きな話題となったが、今回のコンサートで歌うのは、彼女自身が「私の個性をもっとも感じていただける曲目を選んだ」と語るプログラム。ドヴォルザーク『ルサルカ』、チャイコフスキー『エフゲニー・オネーギン』『スペードの女王』、プッチーニ『マノン・レスコー』『蝶々夫人』『トゥーランドット』の名アリアや『サロメ』を含むR.シュトラウスのオペラまで。キャラクターも表現も違う多彩なラインナップを自身の「ベストプログラム」と言ってしまうところが、グリゴリアンのスーパー・ソプラノたるゆえんだ。

グリゴリアンが来日を前に、コンサートに向けた単独インタビューに答えた。

私はドラマを「表現しよう」としているのではなく、音楽を通して"私"を表現している

photo: Olivia Kahler

photo: Olivia Kahler

――あなたは、舞台上での役柄への没入感、強烈な表現力に定評があります。あなたにとってオペラの舞台で物語を表現することは、どんな意味をもつのでしょうか?

私はドラマを「表現しよう」としているわけではないのです。あえて言えば、音楽を通して"私"を表現しているのです。私自身を表現し、私の「個人的な物語」を描き出している、と言えると思います。それはオペラであったり、違うタイプの音楽だったり、私が人生ですることのすべてにおいてです。私は何も表現しようとはしていないのです。私はただ自分の人生を生きているだけ。

――どのように役柄をつくられますか? インスピレーションはどこから出てくるのでしょう?

歌っている役柄は自分自身のなかから見つけることができます。私という個人の存在も日々成長していますし、インスピレーションはすべてのことから感じています。いままで、役柄のインスピレーションを特別になにかから探したことはありません。私は今も自分が成長できるように努めていますし、すべての役柄は自分自身のなかにあると言えると思います。
私の人生の経験や、出会うことのできた素晴らしい、大変興味深い人たち、それらが私の人生を形成し、舞台上で表現することに役立っているのです。舞台上の役柄は私自身であるとともに、出会った人たちや物事からも影響される。インスピレーションはあらゆるところにあるのです。

photo: Timofei Kolesnikov

photo: Timofei Kolesnikov

――あなたが演じる悲劇のヒロインは、ステレオタイプの演技や歌ではなく、観客がハっとするような新しく新鮮なものを表現していると感じさせます。特にプッチーニのヒロインたち、『蝶々夫人』、『マノン・レスコー』、最近は『トゥーランドット』を歌われましたが、すべてが刺激的です。これらのプッチーニのヒロインについてどのように感じていらっしゃいますか?

私が思うに、プッチーニが私にとってどうか、というのではなく、彼は感情を音楽で表現する名人であり、彼の生み出した音楽は私自身やすべての感情を表現しやすいものなのです。
私がユニークだとするならば、私がヒロインを解釈しようとするのではなく、他にはない私自身の物語を舞台上で表現することが、観客の皆さまに興味深いと感じていただけることであり、私自身の個性になっているのだと思います。私がプッチーニを表現したり、それらのヒロインがどうあるべきかを知っているかのように振る舞うのではないのです。私はあくまでも私自身であり、作曲家が記した楽譜のすべてを尊重する。そのあとは私自身の個人的な物語なのです。

――最後に、日本の観客に向けてメッセージをお願いします。

私は日本にすっかり魅了されているのです。日本はとても美しい国、すべてが美しいと感じています。ですからもう一度コンサートで戻れることを本当に嬉しく思っています。私が心から美しいと思うこと、観客のみなさまが美しいと思われることを、コンサートを通して共有したいと思っています。

photo: Timofei Kolesnikov

photo: Timofei Kolesnikov

※インタビュー全文は、NBS NEWS WEBマガジンvol.492にてご確認ください。

公演情報

『アスミク・グリゴリアン ソプラノ・コンサート』
 
会場:東京文化会館(上野)
指揮:カレン・ドゥルガリャン
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
 
Aプロ ロマンティック・アリアの夕べ  
2024年5月15日(水) 19:00
 【第一部】
ドヴォルザーク:歌劇「ルサルカ」より、“月に寄せる歌”/チャイコフスキー:歌劇「エフゲニー・オネーギン」より、タチアーナの手紙の場 “私は死んでも良いのです”、歌劇「スペードの女王」より、“もうかれこれ真夜中...ああ、悲しみで疲れ切ってしまった”/ティグラニアン:歌劇「アヌッシュ」より、“かつて柳の木があった”
 
【第二部】
プッチーニ:歌劇「マノン・レスコー」より、“捨てられて、ひとり寂しく”、歌劇「蝶々夫人」より、“ある晴れた日に”、歌劇「ジャンニ・スキッキ」より、“わたしのお父さま”、歌劇「トゥーランドット」より、“心に秘めたこの愛は“~“氷のような姫君の心も”
 
Bプロ ドラマティック・アリアの夕べ  
2024年5月17日(金) 19:00
  【第一部】
ドヴォルザーク:歌劇「ルサルカ」より、“月に寄せる歌”/チャイコフスキー:歌劇「エフゲニー・オネーギン」より、タチアーナの手紙の場 “私は死んでも良いのです”、歌劇「スペードの女王」より、“もうかれこれ真夜中...ああ、悲しみで疲れ切ってしまった”/ティグラニアン:歌劇「アヌッシュ」より、“かつて柳の木があった”
 
【第二部】
R.シュトラウス:楽劇「エレクトラ」より、クリソテミスのモノローグ “私は座っていることもできないし、飲んでいることもできない”、楽劇「サロメ」より、サロメのモノローグ “ああ! ヨカナーン、お前の唇に口づけをしたわ”
 
※グリゴリアンの歌唱曲のみ。演奏順不同。表記のプログラムは2024年4月22日現在の予定です。
 
■入場料(税込)
S席:¥18,000 A席:¥15,000 B席:¥13,000 C席:¥11,000 D席:¥8,000 U25シート:¥4,000
※ペア割引[S,A,B席] 2枚で1,000円引き。NBSのみで発売
※未就学児童のご入場はお断りします。
 
◇インタビュー全文はこちら(NBS NEWS WEBマガジンvol.492)https://www.nbs.or.jp/webmagazine/articles/opera/20240417-01.html
シェア / 保存先を選択