YENTOWN、LANA、SIRUP、BMSG POSSEらが神戸で魅せた一体感『KOBE MELLOW CRUISE 2024』2日目レポート

レポート
音楽
2024.7.13

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『KOBE MELLOW CRUISE 2024』2024.5.26(SUN)兵庫・神戸メリケンパーク内 特設会場

「文化を発信してきた港町・神戸を象徴するポートタワーの麓、メリケンパークで開催する新たな都市型音楽フェス」として2022年にスタートした『KOBE MELLOW CRUISE 2024』が、5月25日(土)・26日(日)の2日間にわたり行われた。2日目の出演者はYENTOWN(Awich、JNKMN、kZm、MonyHorse、PETZ、U-LEE)、BMSG POSSE(SKY-HI、Novel Core、Aile The Shota、edhiii boi、REIKO)、CHICO CARLITO、.ENDRECHERI.、JP THE WAVY、JUMADIBA、Kaneee、LANA、MFS、OMSB、SIRUP、Skaai、STUTS、MARIA(O.A.)。14組が「URBAN STAGE」と海の近くにある「SEASIDE STAGE」で、最高にアツいライブパフォーマンスを繰り広げた。本記事では、2日目の模様の一部をレポートする。

2日目も夏先取りの天気に恵まれた『KOBE MELLOW CRUISE 2024(以下、『メロクル』)。会場の神戸メリケンパークは海を間近に望み、神戸海洋博物館やオリエンタルホテルなど、神戸のランドマークが多く建つ人気の観光スポット。昨年は改修中だった神戸ポートタワーも、3年間の改修を終えて今年の春にリニューアルオープン。真っ青な空に映える鮮やかな赤色がカムバックした。昨年から声出し&アルコールも解禁になり、ようやく完全なる形での『メロクル』が整ったような感覚だ。

太陽がじりじりと照りつける中、時折吹き抜ける潮風が気持ち良い。入場ゲートをくぐると、ミラーボールや中華街を想起させる提灯の装飾が目に飛び込んでくる。会場にはフードやアパレルを楽しめるエリアが用意され、お祭り感満載で来場者を迎えてくれた。

『メロクル』は、ファッション感度の高いオーディエンスが集うことでも有名だ。今年も神戸や関西を中心に全国から集まった人気アパレルショップが14店舗出店。古着をはじめ、Tシャツやキャップ、サングラスなどのファッショングッズがお手頃価格でずらりと並ぶ。訪れた人は皆楽しそうに足を止めて買い物を楽しんでいた。オーダーメイドのファブリックミストをその場で制作できるTHE FLAVOR DESIGN®︎ STORE “KOBE”の側を通ると良い香りが鼻をかすめる。他に神戸発のストリートブランド・SUPPLIERも協賛しており、特設ブース内は多くの人々で賑わっていた。

オフィシャルグッズには神戸発のアパレルブランド・APARTMENTや、廃材や廃棄寸前の素材、余剰在庫に様々な加工を施すことで新たな価値を付与した一点モノのグッズを生み出すアートユニット・HOME ECONOMICS EXPERIMENT、ガジェットアクセサリーブランド・A SCENEとのコラボ商品が登場。どれもハイセンスで、思わずコンプリートしたくなるほどのアイテムが揃っていた。

開演の時が近付く中、「URBAN STAGE」にはオープニングアクトのMARIAが登場。チルな空気からトラックを重ねてじわじわと熱を上げ、終盤は「この世ってウチらのためにあるよね」と力強い言葉でオーディエンスの心を掴み、高揚感を高めていた。

JP THE WAVY

DAY2の幕を切って落としたのは、JP THE WAVY。DJのYUTOが「Cho Wavy De Gomenne」を流すとイントロからフロアは熱狂! 颯爽と登場したJP THE WAVYはキレのあるフロウをたたみかけ、ミリタリー柄の衣装のダンサーは躍動感のあるダンスでダイナミックにステージを彩った。ライミングが気持ち良い「Neo Gal Wop」に続き、「Okay」で早口ラップをお見舞いすると、現在京都市京セラ美術館にて開催中の現代美術家・村上隆の『もののけ 京都』展に書き下ろした「Mononoke Kyoto」を特別に披露。ビジョンには村上隆の生み出したキャラが映され、しばし村上アートの世界にトリップした。

中盤では昨年の『メロクル』でもコラボしたボーカル&ダンスグループ・PSYCHIC FEVERを呼び込む。更に華やかになったステージで「Hotline(Remix)」を披露すると、続く「Just Like Dat」ではJP THE WAVYも共にラップを繰り出す。お互いのリスペクトと絆が感じられるパフォーマンスでフロアを湧かせると、JP THE WAVYのソロステージでラストスパート。最後は「BUSHIDO」でどっしりと締め括った。

BMSG POSSE

BMSGに所属するSKY-HI、Novel Core、Aile The Shota、edhiii boi、REIKOによるBMSG POSSEは『メロクル』初登場。個々がソロシンガーとして活躍していることから、その存在感は抜群。ライブは5月29日リリースの第1弾シングル「Girlfriend」からスタート! SKY-HIが勢いよくラップを放ち、次々にマイクリレー。サビではREIKOが美しく歌声を響かせる。SKY-HIは「1曲もリリースしてないのに出させてもらっちゃってありがとー!!」と叫び、続けざまにリリース前の第2弾シングル「MINNA BLING BLING」を投下。現役高校生のedhiii boiはがなるようなラップを披露し、全身で放つヒリヒリとしたパフォーマンスは見る者の心を鷲掴む。さらに「Name Tag」では5人のクリエイティブが融合。大迫力でフロアの熱をぐんぐん引き上げていく。

「Villains」ではNovel CoreとAile The Shota、edhiii boiがステージから飛び降り、柵に足をかけてオーディエンスの近くで熱唱。言わずもがなの熱狂で会場を巻き込み、終盤のフリースタイルでは大盛り上がり。特にNovel Coreのラップは秀逸で、客席からは大喝采が贈られた。ラストはSKY-HIとNovel Coreが手がけた「Brave Generation Remix」で締め括り、BMSGのチームとしての軌跡と未来を指し示した。

SIRUP

初年度以来2度目の出演となったSIRUPは、バンドメンバーとともにのっけから最高にグルーヴィな雰囲気を作り上げた。気合いたっぷりにステージに走り込むと「Pool」の華やかなサウンドでフロアをガンガン踊らせ、「Superpower」では後方まで心地良く巻き込んでいく。「FINE LINE」では客演にSkaaiが登場し、より一層熱をアップ。

MCでは2度目の出演を喜び、「政治と繋がってない音楽なんてどこにもないので、俺ははっきり言いますけど、マジで腐敗した政治、皆でぶっ倒しませんか? そういう政治が続いたら、こういう場所から奪われていくと思う。でもさ、音楽めっちゃ大事やん。俺ら音楽からは逃げられへんから、マジでちゃんと考えていこうぜ」と熱い想いを伝えた。「See You Again」まで全7曲。音楽の素晴らしさはもちろん、純粋に音楽を楽しめる環境や暮らしの大切さに目を向けるキッカケをくれたSIRUPだった。

STUTS

『メロクル』皆勤賞のSTUTSは、武嶋聡(sax.fl)と高橋佑成(key)を迎えたトリオ編成で登場。まずは華麗にMPCを操りドラムソロを披露して、神戸出身のtofubeatsとのコラボ曲で、STUTS自身がボーカルをつとめる「One」へ。2番でSTUTSがハンドマイクでステージ前方に出ると、フロアの熱はさらに上昇する。かと思えば、SIKK-Oと鈴木真海子をフィーチャーした「Summer Situation」でクールダウン。ロケーションにマッチしたフルートとピアノの音色があまりに気持ち良く、オーディエンスも大きく身体を揺らす。

ここからは豪華客演タイム。「Canvas」では「SEASIDE STAGE」のトッパーをつとめたKaneeeが登場。歓喜に湧いたフロアは見事なシンガロング! さらにSIRUPを呼び込み、ライブ会場ではほぼ初披露だという「Need You Bad」を最高にメロウにプレイ。「心」ではOMSBが登場。歌い終えたOMSBが「これが心!」と言うとSTUTSは嬉しそうに笑顔を見せた。そして最後は5月17日にリリースしたばかりで、PUNPEEとスチャダラパーを客演に迎えた最新曲「Pointless 5」。夕陽に染まる空をバックに、同曲のレコーディングにも参加した武嶋と高橋の生演奏で、贅沢に締め括った。

CHICO CARLITO

「SEASIDE STAGE」には、神戸初ライブ、沖縄県那覇市出身のラッパー・CHICO CARLITOが登場。フロアに詰め掛けた大勢の人々の様子から、期待値の高さがうかがえる。1曲目は「23時30分」。<全員手をあげろ!>の合図で、瞬く間に後方エリアまで手が挙がる。続いて「Ryukyu Style」を投下すると、<イーヤーサーサー>のコールアンドレスポンスも。一体感と熱量を受けて「最高じゃないすか!」と笑顔を見せると、早口ラップで「The Best Kid」を叩き込み、さらに実力を証明する。リリース前の新曲「YOKUBARI」に続く「LONGINESS REMIX」では、フロアを練り歩きながら熱唱する展開にオーディエンスは大熱狂。

ここでラッパー/シンガーの柊人が登場して「Let Go」を披露した後は、柊人がひとり「影で頑張る全ての人たちへ!」と「好きなこと」を力強く歌う。CHICOはそんな柊人の姿を優しく見守る。最後にCHICOは「去年はフェスに1回もお声がかからず。柊人が言ったみたいに、やり続けてたら1年で変わることもある」と述べ、ラストチューン「Day by Day」へ。サビの一体感は素晴らしく、初の神戸でのライブを大成功に終えたCHICO CARLITOだった。

LANA

トリ前は湘南生まれのラッパー・LANA。この日会場で最も多く彼女のグッズを持っている人を見かけたと思う。特にティーン世代の女子からの支持が高く、ライブ前のフロアの高揚はすさまじかった。4人のダンサーとDJに続き、Y2Kファッションに身を包んだLANAが登場すると大歓声! 「BASH BASH」「Twerk(Jersey Ver.)」「Huh?」とクールかつダイナミックに楽曲を連続で披露する。ハスキーで甘い歌声は唯一無二で、オーディエンスもすっかり夢中。彼女の醸し出す雰囲気は目が離せないものがある。「Almost 20」「TURN IT UP」、5月1日にリリースされた新曲「MY LIFE」までを一気に投下。

MCでは「今すごい幸せなんですけど、昔からこうだったわけじゃなくて……お金もなくて学校の先生からお米とかもらってたんです。でもそんな私が今明るい部屋に立ってます」と、実の兄でありラッパーのLEXとの兄妹コラボ曲「明るい部屋」を、これまでにない一体感で盛り上げる。そして上京した18歳から現在の20歳までの気持ちが歌われた「For bbys」、ダンスチャレンジで話題を呼んだ「24/7 YOU…」など、全力でステージを動き回り、思い切りパワフルに全11曲を走り抜けた。

YENTOWN

2日間の大トリを飾ったのは、ラッパーのAwich、JNKMN、kZm、MonyHorse、PETZ、DJのU-LEEからなるYENTOWN(プロデュースはChaki Zulu)。オープニング映像が流れ、スモークの中でkZmが「不幸中の幸い」のバースを力強く紡ぎながらステージに現れると、満員のフロアは手を挙げて大熱狂。PETZ、JNKMNと順に登場し、AwichとMonyHorseは「銀色に反射するYENの旗」を手に、ステージの両サイドに設置された巨大な山台の上から姿を現した。高さを利用したド派手な演出にオーディエンスは興奮して大歓声を上げる。ものすごい熱気に包まれた会場に「洗脳」「バグり」「TAMAROU」「Never Stop」とそれぞれのトラックを投下して、フロアとの距離をぐんと近付ける。『メロクル』にとっては常連とも言えるYENTOWNの面々ゆえに、完全にホームの雰囲気だ。

Awichはメンバーの名前をひとりずつ呼んで紹介し、「最後までブチ上がる心意気のある奴どんだけいますか!」と煽る。MonyHorseも「今から火点けるけど、まだまだいけるか!?」と叫び「UP IN SMOKE」へ。すると特効の炎が飛び出し、既にお祭り騒ぎのような会場はさらにボルテージを増す。DJ TATSUKIがプロデュースし、『メロクル』1日目にも出演したIOとMonyHorseをゲストに迎えた「City of Dreams」でも炎が吹き出し、オーディエンスは一体に。

この勢いは止まることなく、中盤では千葉雄喜の「チーム友達(青森 Remix)」を大合唱。さらに美空ひばりをサンプリングした「TOKYO KIDS」、kZmが柵前に飛び降りた「DOSHABURI」、Awichのまくしたてるフロウが熱いエネルギーを生み出した「GILA GILA」と、アンセムソングの連続で会場全体を大迫力で包み込む。そしてPETZの「BLUE」で少し熱を冷ますように、メロウな雰囲気に。喰らいつくフロアを見て「調子良さそう」と満足げな顔を浮かべたメンバー。Awichは「今日は最後まで付き合ってくれてありがとうございます! 本当に色んな奴らが集まったクルー、それがYENTOWNです。皆違うスタイルがあるし、それぞれのカッコ良さがある。今日までそれぞれの色を出してきて、いよいよYENTOWN、集結してアルバム出します。お前ら楽しみにしとけよー!」と叫び、アルバムに収録予定の新曲「Y.E.N」を堂々と響かせた。ここで毎年恒例の花火が打ち上がると盛り上がりは最高潮に! 

こうして今年も『メロクル』は大団円で終了した。ビジョンには「SEE YOU NEXT KOBE MELLOW CRUISE」の文字。毎年この現場でしか味わえない景色を見せてくれる『メロクル』で、来年もまた会おう。

取材・文=久保田瑛理 写真=『KOBE MELLOW CRUISE』提供(撮影:渡邉一生、オイケカオリ、Hiroto Yorifuji


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