舞台『ノンセクシュアル』シングルキャストの立道梨緒奈、神里優希、小柳心が公演や共演者について語りつくす
(左から)小柳心、立道梨緒奈、神里優希
2025年2月7日(金)~2月12日(水)横浜赤レンガ倉庫1号館にて、舞台『ノンセクシュアル』が上演される。本作は、コメディー、サスペンス、恋愛模様、そのすべての要素が同時に絡み合って展開していく舞台。加害者が被害者であり、被害者が加害者でもあり、加害者がいつの間にか被害者になっている。作品全体に<紙一重><表裏一体>という<愛と狂気><泣きながら笑う><怖すぎてひきつった笑い浮かべる>複雑な想いと事象をちりばめたストーリーだ。
出演者は、【O=Ornithorhynchus anatinus -かものはし-】の新井將(村山蒼佑 役)、星元裕月(藤木瑛司 役)、立道梨緒奈(浅井塔子 役)、神里優希(富永秀樹 役)、小柳心(秋野侑李 役)と【A=Aonyx cinerea -コツメカワウソ-】の松村龍之介(村山蒼佑 役)、加藤ひろたか(藤木瑛司 役)、立道梨緒奈(浅井塔子 役)、神里優希(富永秀樹 役)、小柳心(秋野侑李 役)の2チーム。
この度、シングルキャストの立道梨緒奈、神里優希、小柳心の座談会が実施された。
ーー今、稽古が始まって、初めて台本を読んだ時と、何か変化がありますか?
小柳心(以下 小柳):本読みと立って動いてみた時では全然違うよね。特に二人は。相手がいて初めてという感じがあるじゃない? どうです? やってみて。やっぱ人をビンタするの気持ちいいなとか(笑)。
立道梨緒奈(以下 立道):台本読んで、ほんと単純な考えなんですけど、やっぱりそういう描写があると「おっ?」と思うじゃないですか。私自身も事後の描写があったりとか、馬乗りになったりとか、やっぱりそういう部分だけを捉えちゃって「おおなるほど~、ディープだ」と思ったりしてたんですけど、本読みして、実際人とやっていくと、塔子のシーン、意外とそこまでエッチじゃないな、みたいな。ギャグだな。ギャグシーンだなっていう変化がありましたね
小柳:うんうん。
立道:本当にこの作品のテーマですけどお互いの「執着」の度合いが人によって全然違ったりするし、そう部分が見えてきて楽しいなって。
神里優希(以下 神里):わかります! 僕もデパートの外商の役だから、かっちりきっちりしている人なのかなって。それは瑛司に対してもちょっと堅い接し方をしちゃうのかなって思ってたんですけど、立ち稽古をして発見したというか、感じたのは…。
(左から)小柳心、立道梨緒奈、神里優希
小柳:キミに関してはね、もう「出ちゃってる」。だいぶ(瑛司に対しての愛が)溢れちゃってるから。
神里:出ちゃってますか? 最初は硬くいこうと思ってたんですけど。
小柳:それはもちろんわかるよ。でも、それが最高なんだよ?
神里:あ、それは嬉しいです。瑛司に対して真っすぐだからこそ出ちゃうチャーミングさみたいな、とか。
小柳:そのチャーミングさが、一番前に来てるからね、今。素敵だなと思って。
神里:(秀樹が)最初のイメージと違うなと思ってて。それをあざとく狙ってやるとかじゃなくて、瑛司に対して真っすぐだからこそ出ちゃえばいいかなって最近は思ってます。
小柳:稽古してて、最初の方の秀樹の作り方というか持っていき方っていうか、もう一秒ごとに(瑛司に対しての愛が)溢れてきちゃって、どんどん変わっていっちゃって、康介(演出家:鯨井康介)それ見てゲラゲラ笑ってて、「もういいかもしれない、そのままで」って言ってるんだから面白いよね。そうすると、周りもちゃんと変化していってくれるのがいいよね、って思いますね。ちなみに最初の塔子のシーンで、初めての本読みの時に、僕いっこ前(の作品)から知ってるんですけど、席が隣だったんですよ。この素敵なハスキーボイスで、低い声でボソッと「私、エッチなシーンあるんですよね」って(爆笑)。俺、なに言ってんだ、コイツと思って。「それ、言い方じゃない?」って。
立道:言われました、それ。
小柳:言い方だから、それ、今後言わない方が良いと思うよって(笑)。
立道:そのチョイスやめたほうがいいよ、って言われましたね(笑)。
小柳:僕はやっぱり読んでみて、僕だけずっとなんにも情報を提供してないんだなぁっていうのを改めて感じるというか(笑)。
神里:結構、喋ってますもんね。
小柳:ずっと喋ってるんだけど、ここでバタバタしてるだけで、俺のとこ、一歩も進まないのよ。カロリーだけ消費してどこにもいかないっていうのが。これは読んでもそうだったし、やってみてもそうだった。
立道:でもお客さんからしたら、見ている方もすっごいカロリー使うから、なんか、安心します。
立道梨緒奈
小柳:だから、出てきたら最悪トイレ行ってもらってもいいと思う(笑)。「あ、まだ侑李出てるんだ」って思って。帰ってきても話はあんまり変わってないから大丈夫です、みたいな。でも、その役割みたいなものは最初に台本を読んだ時と比べても、あんまり変わらなかったなとは思いますね。
ーーそれぞれの役柄を演じるにあたり、心がけていることはありますか?
神里:秀樹は、自分の言動とか行動を起こしたことに対して、後悔しないように生きている人なのかなって。自分の生き方に誇りをもっている。真面目に仕事もしているし、真っすぐに瑛司のことも想ってるし、そういう部分を大事にしたいなと思っています。
立道:塔子は、頭がいい、キャリアウーマン。自分が正解だと思ってる人。これは鯨井さんにも言われて、自分でも思っていることなんですけど「もっと自分勝手でいい」って、(笑)。これは課題なので頑張りたいと思います。瑛司を掻き回していけたらなって思ってます。
小柳:僕が心がけていることは、この二人にしてもそうですし、ほかのキャラクターにしても、パズルの形としたらすごく鋭利にというか、形をもって作られていると思っているんですね。そのピースがはまっていく、ってなった時に、たぶん、どこかにはまらない場所があるんですよ。それを探してるっていうことをずっとやっているんですよ。足りない色とか、足りないテンションとか、足りない音とか。そういうのがうまくはまるような位置にいけたらいいなと思って全体を、全員の仕事をずっと見ているというのが、全体として心がけたいなと思っていることです。さっきの話にも戻るんですけど、究極、特に進んでないキャラってことは、情報として特に大きく何かを与えていないキャラということ。(他のキャラとは)やれることが違うんだと思うんですよね。前じゃなくて、背景なのか、なんなのか。どこか別の部署で活躍できるキャラクターなんだろうなと思っていて。侑李個人を演じるという点に於いて気を付けていることはなにもないです。ただ喋ってる。(笑)。
ーーシングルキャスト同士だからこそ生まれた関係性などありますか?
小柳:二人は舞台上で会うんだっけ?
神里:会わないですね。
立道:オープニングにシンメで動くくらいです。
小柳:俺も会わないよね。話には出てくるけど会わないんだよね。
立道:そうなんです。
小柳:だから、関係は何も生まれないんです(爆笑)。
神里:こんなこと言っちゃなんですけど、稽古場でもあんまり話すことがないというか(笑)。
小柳:悪い意味じゃなくて、話すことがないんだよね(笑)。
(左から)小柳心、立道梨緒奈、神里優希
神里:「このシーンどうする?」とかがないから。
小柳:見て「面白いなぁ」って。
神里:こっちも「面白いなぁ」って。
立道:各々が(笑)。
小柳:だから今、「そういう思いであのシーンやってたんだぁ」って俺がインタビューの記事を読んでる気分だもん。
立道:この機会は貴重ですよ。だって私、初めて目があったかもしれない(真顔で神里を見る)。
神里:僕もです(真顔で見返す)。
小柳:もう、それぐらいなんだっていう。
立道:初めてお話ししますよね。
神里:初めまして。
立道:初めまして(一同爆笑)。
小柳:だって、誰と話す?
神里:僕は基本、瑛司。と、蒼佑。
立道:私も瑛司と、後半だけ蒼佑。
小柳:いいなぁ、二人もいるんだ、喋れる人が(笑)。俺、基本、瑛司とマンツーだからさ。
ーーカモノハシVer(星元裕月・新井將)はどのような印象ですか?
神里:僕が秀樹として、ゆづ(星元裕月)が演じる瑛司の好きなところは、目かなって。なんか、すごく吸い込まれそうなんですよ。これまで台本持ちながらやっていたから、あんまり目が合うことなかったんですけど、最近、目が合うことがあるんですけど、すごく吸い込まれそうになりますね。だから、言ってる事とかやっている事で、こいつクズだなって思うけど、目を見ると「うわぁ、やっぱ好きだわ」って思っちゃうのが瑛司の魅力かなって。で、(新井)將くんは、やっぱ圧がすごいですね。あの体格も、自分できっと理解してるし、その体の使いかた含めてすごいなって思います。
神里優希
小柳:わかる。すごいわかる。
神里:また、あの体格差もいいですよね。もう一方のチームにはない。
立道:本当に殺されそう。あの体格差。心配になる。
小柳:わかる。心配になる。語弊を恐れずに言えば、ゆづちゃんの可愛さと、あの將くんのでかさが、怖いよね、見てて。もう片方にはない、本能的な恐怖を感じる所があるというか。で、またゆづちゃんも可愛くてあっけらかんとしてるから。
立道:言ってることを全部躱していくんですよ。
小柳:怖いんだよなぁ。「そっち行って大丈夫?」みたいな感じに見えるっていうか。ですね。
神里:見た目から違いますからね。
小柳:だから、本番に化けるというか、衣裳着て、また髪型とかメイクとかが入った時に、どうなるかわからないのはこっちのチームっていう感じはしますね。
ーーコツメカワウソver(加藤ひろたか・松村龍之介)はどのような印象ですか?
小柳:まあなんか特に言うことないなっていうか(笑)。
神里:僕はあります!(笑)また秀樹目線なんですけど、(加藤)ひろたかくんの瑛司の好きなポイントは、なんか、甘え上手な感じ。
小柳:わかる。
神里:台詞というか、言葉を巧みに使って甘えてくる感じとか、ギュンってくるし、だからこそ、ちょっと隙があるようなところも見えて、それはこっちの座組の魅力かなと思います。
小柳:ああいうクズっているよなぁって思わない? ひろくんの瑛司って。人たらしっていうか、甘え上手っていうか、いるな~って。
(左から)小柳心、立道梨緒奈
立道:あきれるけど、かまっちゃう。キレて呆れるのにかまっちゃうみたいな。ほっとけないんだよねぇ。
神里:のすけ(松村龍之介)くんは、鯨井さんも言ってたんですけど、笑顔が怖い。それは僕も感じるし。洗脳されそうな感じになります。どんどん心を持っていかれそうな感覚があります。
小柳:あ~、洗脳されそうっていうのはわかるな。ふたりとも期せずしてさ、ちょっと教祖っぽいんだよね。なんかしら洗脳されそうな喋り方っていうか空気っていうか、二人とも違うやり方なんだけど。やっぱり顔が整ってる人がさ、顔が整ってるっていうだけでもう優勝じゃん(笑)。それがさあ、ちゃんとお芝居してさ、笑っただけであんな怖えぇかねっていうことに、なるっていうのはやっぱり、大きい。だから俺、まだ稽古してる段階で、始まってもいないのに言うのもナンだけど、ちょっとゆづちゃんとのすけの回とかみたいもん。
立道:あ~。
神里:わかります。
小柳:見た目的にというか、可愛いと綺麗がこれをやってるとどうなるんだろうって。とか、あの將くんの圧をひろくんがどれだけのらりくらり躱せるんだろうって、ちょっと見てみたいと思うよなぁ。
≫シングルキャストで出演することについて