少年社中×東映 舞台プロジェクト『パラノイア★サーカス』 小澤亮太★井俣太良、スペシャル対談
小澤亮太と井俣太良 撮影=坂井美碧織
ファンタジーな世界観で高い評価を受ける劇団・少年社中。日本のヒーロー界を牽引する東映。両者による舞台プロジェクト『パラノイア★サーカス』が、2月26日~3月6日、サンシャイン劇場で開幕する。「江戸川乱歩」の作品群をモチーフにした「推理×冒険ファンタジー」と聞くだけでも、ワクワクせずにはいられないが……物語の主軸となる「小説家」演じるのが、『海賊戦隊ゴーカイジャー』が出世作となった小澤亮太。『仮面ライダードライブ』の追田現八郎役で知られる井俣太良は、明智コゴロウとして、小澤に対峙する!? 実は、この対談が「きちんと話すのは初めて」という2人。初めてとは思えない、2人の軽妙なやりとり、ぜひ観劇前にご一読を!
――取材時点ではまだ台本はできあがっていないそうですが、今聞いている限りで、どんなところが見どころになりそうですか?
小澤 :江戸川乱歩の作品のいろいろなキャラが登場すると聞いています。江戸川乱歩を知っていると、より楽しめるんじゃないかなと。
井俣 :乱歩を知らなくても、粒だったキャラばかりなので、十分楽しめそうだよね。異質で新鮮で、エログロディープ(笑)なキャラクターに期待してください。
小澤 :個性豊かなキャラに刺激をもらって、どんどん変化するような演技ができたらな、と思っています。……って、台本知らないんですけど、合ってますかね、この説明?(笑)
井俣 :大体合ってるんじゃない?
小澤 :じゃあ、50点くらいということで(笑)
――それぞれの役どころについては、どんなふうに伺っていますか? 小澤さんは、小説家役とのことですが。
小澤 :いろいろな影響を受け、変化していく役どころだそうなので、そこが面白いんじゃないかなと。新鮮な気持ちで、初めての役を受け止めたいです。
井俣 :もう少しネタバレすると、小澤くん演じる小説家が、自らが生んだキャラクターに翻弄される展開です。自分が作った世界を、自分のキャラクターによって崩されていく……その展開が、すごく面白くなりそうです。
――そこで登場するのが名探偵・明智コゴロウで、井俣さんが演じるわけですね。
井俣 :そうです。ただ、20面相に“謎”を盗まれてしまい……
小澤 :なんにもできない明智コゴロウなんですよね。
井俣 :“ポンコツコゴロウ”なんです。いいポンコツ具合で、主人公たちを翻弄していきたいなと(笑)。大体、僕自身がポンコツキャラだしね。
小澤 :え、そうなんですか!?
井俣 :うん。根っこがポンコツなの(笑)
小澤 :本物のポンコツが、ポンコツを演じるのかー(笑)
井俣 :正確に言うと、カッコつけてるポンコツ、かな。いわば今回の役は、当て書きなんだよね。毛利(亘宏/脚本・演出)さんって、必ずどこかで当て書きを入れてくる。小説家役も、亮太にあわせて、書いてくると思うよ。その役者が何ができるか、見抜く力がすごいんだから。そこは、同じ劇団の人間として、信頼してます!
小澤 :すごいなあ……脚本が書けるっていうだけでもすごいのに。
井俣 :ホントだよね。登場人物もストーリーも全部頭に入れて、さらに役者の個性も入れて、掘り下げていくんだから。
小澤 :なっ、すごいよな。
井俣 :なになに? 急に語尾がチャラいんだけど(笑)
小澤 :素が出始めちゃった(笑)
――すでに息ぴったりという感じのおふたりですが、共演経験は……?
小澤: いえ、今日がほぼ初対面です。
井俣: 僕のイメージで、小澤くんといえば、やっぱり『海賊戦隊ゴーカイジャー』。『ゴーカイジャー』が好きって友達が、僕のまわりにたくさんいて。今回の芝居のこと話すと、「すごいね!」って喜ばれるんだよ。
小澤: それはうれしい。
井俣: 俺の親友も、保育士をやっていて、子どもの気持ちを理解するために戦隊シリーズを見始めたんだけど。『ゴーカイジャー』でドハマりして、今じゃゴーカイレッドのコスプレをしてるんだよ。
小澤: へー!
井俣: そういう話を聞いてたから、人を魅了する華がある、カッコいい俳優さんなんだなって思ってたんだよね
小澤: 背筋を伸ばして、もっとちゃんとしなきゃって思いますね……
井俣: でも、語尾はチャラいままなんでしょ?(笑)
小澤: そうっすね(笑)
――では、小澤さんから見た井俣さんは、どんな印象ですか?
小澤: うーん……まとめるのがヘタかなあって?(笑)
井俣: そのとおり、よくわかるね!(笑) まとまりないまま、とめどなく話し続けちゃうんだよ。
小澤: 俺もそうだからわかります。だんだん何の話だったかわからなくなっちゃう。
井俣: トーク力不足という、共通点が見つかった(笑)
小澤: ラジオで4年も、自分の番組をやってるのになぁ……
井俣: えっ、そうなんだ(笑)。あ、そういえば、顔合わせの日が、亮太の誕生日に近いよね? サプライズ、用意しとくから
小澤: サプライズって、事前に言っちゃうもんですか?
井俣: 我慢できないの。だって末っ子だもん♪
小澤: 末っ子関係ないから!(笑)
井俣: ……で、何の話でしたっけ?
――井俣さんの印象の話です(笑)
井俣: ホラ、忘れてるでしょ?(笑)
小澤: 井俣さんは、“しっかりスキを作っている大人”だなあと思いますね。
井俣: ん、どういうこと?
小澤: スキがあるおかげで、年上ですけどとっつきやすくて、年下から愛される人なんだろうなと。
井俣: まあ、大体、下手に出るからね(笑)
小澤: それができるのが、そもそも大人なんですよ。勝てないなって思います。
パラノイア★サーカス出演の小澤亮太と井俣太良 撮影=坂井美碧織
――ところで小澤さんは、初舞台が7年前ですよね。7年前と比べて、成長したと思うのは、どんな部分ですか?
小澤: そうですね……。勘だけじゃ生きていけない、考えることが大事な世界だと気づいたことかな。あとは、リセットも大切だなと。休みも寝る時間もバラバラだから、切り替えが早くなくちゃいけない。映像なら一発でいい芝居を決めなきゃいけないという意味でも、そうですね。気持ちの切り替えが大切な仕事です。
――では、小澤亮太流の、スイッチの切り替え方は?
小澤: 緊張しいなので、人前に立つと、自然とスイッチが入るんです。力を抜くほうもうまくなって、バランスよく成長していけたらいいな、と思っていますが……。安定と刺激、どちらを望むかと言われたら、やっぱり刺激。いろいろ経てきたなかで、やっぱりこの仕事しかないな、と感じています。
――先輩の井俣さんから見て、俳優・小澤亮太は、今後どこに向かっていくと思いますか?
井俣: 華を持って生まれた人間は、それを咲かすための努力をする義務があると思うんです。選ばれた人間なんだから。磨けば磨くほど華はきれいに咲くので、今回の舞台がその一歩になればいいなと。僕も、そのサポートをしていきたいです。
小澤: 華、華ってホメ殺してますけど、人生には浮き沈みもありますから(笑)。でも、逆境も成長するうえで大事な過程だと思って、次の舞台、がんばります!
井俣: 光る人間は違うから、大丈夫だよ。磨けば磨くほど、光るから。
小澤: 今度は光ですか!(笑)
――井俣さん自身は、長く舞台で活躍してきた一方で、『仮面ライダードライブ』の出演で、映像でも脚光を浴びました。今後の役者としての方向性は?
井俣: 昔からこんな感じなので、成長してるのかしてないのか、自分でもよくわからないんですよね(笑)。『少年社中』という劇団名どおり、大人になれない少年のまま、ここまで来た感じです。もっと大人になるべきなのか、子どものままの自分を守り続けるべきなのか、それとも両方なのか、悩み続けているところですが。年をとると、新たな見方が出てくると思うので、いい年の重ね方をしていきたいですね
小澤: いやいや、さっきも言いましたけど、井俣さんは大人っすよ。
井俣: そうなの?
小澤: スキのある大人、です。
井俣: 『スキある大人、井俣太良』って、これからキャッチフレーズにしようかな?
小澤: ぜひ使ってください(笑)
――キャッチフレーズができたところで(?)、最後に、舞台『パラノイア★サーカス』の見どころをお願いします!
井俣: 少年社中の人間として、大きな舞台に立たせていただけることになり、まず東映さんに感謝しています。ここまで来るのに、時間がかかりましたが……気負うことなく、でも『絶対いいモノ見せてやる!』という自信に満ち溢れていますので、ぜひ劇場までお越しください!
小澤: お世話になっている東映さんと、あの有名な少年社中さんのめずらしいコラボ舞台ということで、僕自身、とても楽しみです。ゴールに向かってまとまって、よりよい表現ができたらと。緻密なトラップを数々仕掛けて、お客さんの頭のなかをパラノイアにします!
井俣: おっ、いいコト言ったね!
小澤: 英語使っちゃいました。帰国子女なんで♪
井俣: うそつけー!(笑)
小澤亮太、井俣太良 撮影=坂井美碧織
インタビュー・文=荒川陽子
日時:16/2/26(金)~16/3/6(日)
会場:サンシャイン劇場
出演者: 井俣太良/岩田有民/堀池直毅/廿浦裕介/加藤良子/長谷川太郎/杉山未央/
山川ありそ/内山智絵/竹内尚文/川本裕之
小澤亮太/松田 凌/松田 岳/白又 敦/松本寛也/唐橋 充/吉井 怜/鈴木勝吾