ピアニスト・岩崎洵奈、バレンタインに愛のこもった演奏!第14回 “サンデー・ブランチ・クラシック”2.14ライブレポート

レポート
クラシック
2016.2.26
岩崎洵奈(ピアノ) 撮影=岡崎雄昌

岩崎洵奈(ピアノ) 撮影=岡崎雄昌

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バレンタインも「サンデー・ブランチ・クラシック」!岩崎洵奈の“愛”ある演奏に酔いしれた日曜日の午後

2月14日といえばバレンタインデー、男女問わず、誰かに何かを贈りたくなる日。LIVING ROOM CAFE(リビングルームカフェ)by eplusでは、この日も「サンデー・ブランチ・クラシック」が開催され、豊かな音色とゆったりとしたくつろぎ時間が流れた。この日、登場してくれたのはピアニストの岩崎洵奈。まさに、この日のためのとっておきのプログラムで、訪れた観客に“愛”を届けてくれた。

第一部では赤いドレスに身を包み、笑顔で登場した岩崎。この日、岩崎が1曲目に選んだのは、エルガー作曲『愛の挨拶』だった。エルガーが階級の壁を超え結婚した8歳年上の妻に捧げたというこの曲は、まさにこの日にぴったりピアノの音色とともに、温かな空気がカフェを満たしていった。

岩崎洵奈(ピアノ) 撮影=岡崎雄昌

岩崎洵奈(ピアノ) 撮影=岡崎雄昌

実は、当日の午前中は激しい雨に見舞われたため、どうなることかと心配していたという岩崎だが、たくさんの観客を目の前にし「悪天候の中、こんなにお集まり頂けてとても嬉しいです」と感謝の気持ちを述べた。そして、「ご自宅にいるような感じで、リラックスして、この素敵な空間で一緒に音楽を楽しんで頂けたら」と挨拶。

続く、2曲目にはショパン作曲『ノクターン 第2番』を選曲した。1956年公開のアメリカ映画『愛情物語』で人気を博したこともあり、岩崎は「愛に密接した、とても魅力的な曲です」と紹介してくれた。この曲は、2014年のソチオリンピックで浅田真央選手がフリーの演技で使っていた楽曲としても、記憶に新しい方も多かったのではないだろうか。

岩崎洵奈(ピアノ) 撮影=岡崎雄昌

岩崎洵奈(ピアノ) 撮影=岡崎雄昌

「さて、続いてなんですが…」と、岩崎は後ろを振り返り、何やら小さな袋を手にして見せた。「今日はこうしてお顔の見える距離なので、ここからは皆さんと一緒にプログラムを決めたいなと思います」と、袋から取り出したのは数枚の封筒。

「今日はバレンタインデーということで、ラブレターを書きました」

封筒の中に入っているのは、岩崎からのメッセージカードと曲名を書いたピアノのハンマー。なんと、それを3名の方にくじ引きで引いてもらい、その場でプログラムを決めるという。サプライズに会場は驚きに包まれた。

「このくじ引きをやってくださる方はいらっしゃいますか?」と岩崎が問いかけると、小さなお子さんからお父さんまで、早速あちこちから手が上がる!各回選ばれた3名は、袋の中からそれぞれ1通ずつ封筒を選ぶ。封筒を開けた人は、みんなニコニコ顔。ラブレターをもらうというのは、いくつになっても嬉しいものだ。

岩崎洵奈(ピアノ) 撮影=岡崎雄昌

岩崎洵奈(ピアノ) 撮影=岡崎雄昌

第一部で選ばれたのは、ドビュッシー作曲『アラベスク 第1番』、ガーシュイン作曲『アイ・ガット・リズム』、ガーシュイン作曲『Fascinating Rhythm 魅惑のリズム』の3曲、第二部では、ドビュッシー作曲『アラベスク』ショパン作曲『子犬のワルツ』、ショパン作曲『幻想即興曲』の3曲がそれぞれ選ばれた。偶然にも、第一部はガーシュイン中心、第二部はショパン中心のプログラムとなった。

「素敵なプログラムを選んで頂いてありがとうございました。とても楽しく弾かせて頂きました!」と、演奏者である岩崎も、偶然が生み出した特別なプログラムに、観客と気持ちを共有して楽しんだ様子だった。

岩崎洵奈(ピアノ) 撮影=岡崎雄昌

岩崎洵奈(ピアノ) 撮影=岡崎雄昌

時が過ぎるのは早いもので、あっという間に最後の曲に。ラストは、リスト作曲『ラ・カンパネラ』を披露した。“ラ・カンパネラ”とは、イタリア語で「鐘」のこと。哀愁を含むメロディに乗せ、巧みな技でピアノが思いきり響く。ダイナミックな演奏に、会場は大いに湧いた。

演奏を終えた岩崎に、感想を伺ってみると、「すごく心地よかったです!とてもリラックスして演奏できました」と晴れやかな笑顔で語ってくれた。「お客さんがすごく集中して聴いてくださっているのが嬉しくて。目が合ったり、そういうコミュニケーションをとれる空間であることを感じられることが、とても楽しかったです」と、カフェでの演奏という、気軽な雰囲気を存分に味わいながらの演奏となったようだ。

岩崎洵奈(ピアノ) 撮影=岡崎雄昌

岩崎洵奈(ピアノ) 撮影=岡崎雄昌

また、プログラムをくじ引きで観客に決めてもらうというサプライズについては、「コンサートの雰囲気によって、時々企画するんです。いつもはピアノのハンマーだけなんですが、今日はバレンタインデーという特別な日でしたから一緒にメッセージも書いてお渡ししました」と岩崎。

ちなみに、メッセージにはその曲に対する想いや、一緒に音楽を楽しみましょうという岩崎の想いのこもった言葉が綴られていたそう。当日、くじ引きを引くことができた幸運な3名のお客様には、ぜひこの日の想い出とともに大切にして頂きたい。

岩崎洵奈(ピアノ) 撮影=岡崎雄昌

岩崎洵奈(ピアノ) 撮影=岡崎雄昌

岩崎は、2月から4月にかけて様々なスタイルのコンサートを控えている。まず、2月27日(土)にかつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホールにて『百花繚乱~オールチャイコフスキープログラム~』に出演。西本智実の指揮のもと、神奈川フィルハーモニー管弦楽団と共演する。3月13日(日)にはベーゼンドルファー東京にて『岩崎洵奈、ウイーンの響きを探って』と題し、ソロコンサートを行う。また、4月23日(土)にはサポート ミュージック ソサエティによる第14回『“ミュージック&ワイン”シリーズ』への出演も決定している。

それぞれの公演に対し、岩崎は「コンチェルトは規模が大きいですし、素晴らしいオーケストラの皆様と憧れの指揮者である西本さんと一緒に演奏させて頂ける機会を頂けて、光栄に思っております。また、ソロはソロで、お客様と一緒に楽しめるようなコンサートをしていきたいと思っています」と意気込みを語ってくれた。

また、今年は室内楽も多く機会を設けたいと思っているそうで、「NHK交響楽団の大宮臨太郎さんをはじめいろいろな方と、トリオやデュオなどの様々な編成でコンサートをやっていきたい」とのことなので、岩崎の演奏に触れられる機会がたくさんありそうだ。

最後に、岩崎は「温かい拍手を頂けることは、演奏者にとってとても背中を押してもらえるもので・・・。今日は、皆さんと一緒に空間を作れたんじゃないかなという実感が持てました。またどこかで、演奏を聴いて頂けることを楽しみにしております。私もこの空間がとても気に入ったので、プライベートでもまた遊びに来たいです!」とメッセージをくれた。

岩崎洵奈(ピアノ) 撮影=岡崎雄昌

岩崎洵奈(ピアノ) 撮影=岡崎雄昌

アーティストの素晴らしい演奏が、会場を音楽で包みこみ一段と特別な時間にしてくれたバレンタインデーの「サンデー・ブランチ・クラシック」。バレンタインのお返しのお返しでも、誕生日でも、記念日でも、あなたの“特別な日”に、“特別な人”へ、日曜日の午後に“特別な時間”を贈ってみるのはいかがだろう。次回の「サンデー・ブランチ・クラシック」もお楽しみに。

撮影=岡崎雄昌 文=友成礼子

プロフィール
岩崎洵奈(ピアノ)

東京藝術大学器楽科ピアノ専攻卒業。
ウィーン国立音楽大学ピアノ科にてヤン・イラチェック氏に師事。室内楽、伴奏法をマインハルト・プリンツ氏に師事。数々の国際コンクールに入賞し、2010年第16回ショパン国際ピアノコンクール(ワルシャワ)においてディプロマ賞受賞、審査終了後、審査員のマルタ・アルゲリッチ氏より賞賛を受ける。2011年トレロドネス国際音楽フォーラムフェスティバル(マドリード)に招待されショパンのピアノ協奏曲1番を演奏。2011年11月には、岡崎市コロネットにてザ・プレミアムトーク~世界一流のマエストロ ウラディミール・アシュケナージ氏を迎えて~に出演、賞賛を受ける。また、仙台フィルハーモニー管弦楽団、NHK交響楽団のメンバーと室内楽で共演。平成21年度文化庁新進芸術家海外研修生。これまでに、オーストリア(ウィーン、ザルツブルク)、スペイン(マドリード、バルセロナ、バレンシア)、ポーランド(ワルシャワ)、ベルギー(アントワープ)、ドイツ(フランクフルト)でのリサイタルに出演。2012年度、CHANEL Pygmalion Daysアーティストに選出。2013年、2月、NHK-FM「リサイタル ノヴァ」に出演。これまでに三ツ橋敬子指揮セントラル愛知交響楽団定期演奏会、名古屋フィルハーモニー管弦楽団、現田茂夫指揮神奈川フィルハーモニー管弦楽団等と共演。2015年9月には、東京文化会館で開催された第515回日本モーツァルト協会例会演奏会にて、ヴァイオリニストのセルゲイ・マーロフ氏と共演、「音楽の友」誌にて、絶賛される。2013年4月より、ベーゼンドルファージャパンにて、インペリアルピアノレッスン講師。2015年日本アコースティックレコーズより、デビューCD「J First」をリリース。これまでに藤井博子、笠間春子、青柳晋、田部京子、フェルナンド・プチョール、海老彰子、アキレス・デレ=ヴィーニェの各氏に師事。 
 

 

公演情報
百花繚乱 ~オール・チャイコフスキープログラム~

 日時:2016年2月27日(土) 開演 14:00~
 会場:かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール
 出演:西本智実(指揮)、岩崎洵奈(Pf)、神奈川フィルハーモニー管弦楽団
 予定曲目:エフゲニーオネーギンよりポロネーズ
      ピアノ協奏曲 第1番
      交響曲 第5番



 
◆「サンデー・ブランチ・クラシック」今後の出演予定

2月28日(日)
こぱんだウインズ from ぱんだウインドオーケストラ​
第1部 13:00~13:30 / 第2部 15:00~15:30
会場:LIVING ROOM CAFE(リビングルームカフェ)by eplus
MUSIC CHARGE: \500

3月6日(日)
反田恭平/ピアノ&上野耕平/サクソフォン
第1部 13:00~13:30 / 第2部 15:00~15:30
会場:LIVING ROOM CAFE(リビングルームカフェ)by eplus
MUSIC CHARGE: \500

3月20日(日)
La Dill
第1部 13:00~13:30 / 第2部 15:00~15:30
会場:LIVING ROOM CAFE(リビングルームカフェ)by eplus
MUSIC CHARGE: \500

公式サイト:http://livingroomcafe.jp/
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