若手演奏家から最も信頼されるプロデューサー 〜ON music project代表 北川明孝〜

インタビュー
クラシック
2016.3.1
ON music project代表 北川明孝さん

ON music project代表 北川明孝さん

 

「小さい頃からピアノを習っていて、大学在学中に学内のオケでチェロに出会いました。その時に『これからずっと音楽に携わっていきたい』と思ったのが始まりでした」

そう語るのは愛知県を中心に演奏会の企画をするON music projectで代表を務める北川明孝さん。彼は今、最も愛知県の若手演奏家から信頼されているプロデューサーと言っていいだろう。現在、愛知県立芸術大学の学生や卒業生、愛知県出身で東京芸術大学や桐朋学園などに通う学生を中心に月に3〜5回の演奏会をこなしているという。

北川さんが初めて演奏会の企画を行ったのは2010年9月。友人のチェロリサイタルがスタートになった。その後も継続的に演奏会を企画したが、「お客さんが集まらなかったら…と思うと短いスパンで開催することはできなかった」という。しかし、2013年4月に「3年目の挑戦として演奏会の回数を増やしていこう」と決めた。その時から始めたのが現在でも大きな柱となっている『リレーコンサート』だ。毎月開催されるこの演奏会の特徴は約1時間のソロの演奏会で、中盤には演奏者にお客さんが質問できるMCコーナーを設けていること。また、現代アートの作品とコラボレーションし、音楽を楽しむだけでなく、会場に美術作品を展示して目でも演奏会を楽しめるようになっていること。さらに、その名の通り演奏者の紹介によって次の出演者が決まる…コンサートをリレーしていくというユニークな企画である。

北川さんが一番大切にしていることは「演奏者がやりたいこと、弾きたい曲をやってもらう」ということだ。誰もが知っているような超有名な曲をプログラミングしてお客さんに楽しんでもらうのではなく、「演奏者を一番に考えて演奏会を作りたい」。そうすることで「演奏者の演奏会にかける“想い”がお客さんに伝わるはずで、その“想い”をお客さんが受け取ればきっと満足して帰ってもらえる。そして、僕がそんな皆さんの顔が見られたら本当に幸せです」。

ON music projectの演奏会はアットホームで温かい空気を感じ、心と心が触れ合うような…ある意味で、日常では感じられないものがそこにはある。まさに「演奏家とお客さんの接点になりたいということで、物事と物事が接している状態を表す前置詞”on”を使ってON music projectと名付けた」という北川さんの想いの通りになっている。

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