王子の博物館で“絵画のような刺繍”を鑑賞
3月15日~5月8日(日)の期間中、春期企画展「糸と光と風景と-刺繍を通してみる近代-」が北区飛鳥山博物館 特別展示室・ホワイエで開催。前期と後期に分け、刺繍画(刺繍で描いた絵)など計189点の資料を展示する。
■ この機会にしか見られない作品が多数
絹糸で色彩豊かに描かれた美しい刺繍画や、刺繍教育に関する資料を展示し、近代の刺繍の発展と展開について紹介する展覧会。明治維新後、油彩画や水彩画のような絵画的表現へと発展した日本刺繍は、女性の自立につながる技能、また教養として学校教育に取り入れられた。当時の作品の中には、石神井川沿いを描いた刺繍画「たきの川」や北赤羽周辺をモチーフにした「赤羽にて」などが残されている。この展示会では、都市化する以前の東京郊外の風景を刺繍画で振り返ることができる。
会期中には、刺繍関連の講演会や体験講座も開催。4月16日(土)13:30からは「美しき日本の刺繍 歴史と現状、未来へ」と題された記念講演会が行われ、日本刺繍の歴史と現状についての話などを無料で聴ける(抽選で80名、4月5日15:00締切)。さらに、4月23日(土)13:30からは「はじめての日本刺繍-竹屋町縫のミニ額を作る-」で、日本刺繍の基本を学びながら、着物の刺繍としても使われる竹屋町縫(たけやまちぬい)という技法で素敵なミニ額を製作できる(抽選で16名、4月12日15:00締切)。※各要申し込み
「明治時代には欧米で日本刺繍が大人気でした。そのため、明治時代から昭和初期には刺繍の技術を身につけて自立しようという女子学生が大勢いました。当時の学生が、ひと針ひと針、丹念に刺繍で描いた刺繍画には、小さな画面に絹糸の輝きや豊かな色彩、時代の空気感があふれています。飛鳥山のサクラや新緑とともに、ぜひご覧ください!」(担当学芸員)。
北区域や周辺地域などの風景画作品を、今の景色と比べてみるのも趣深い。【東京ウォーカー】