“Zeppブルー温泉”で待ってます！『美男高校地球防衛部LOVE！活劇！』観劇レポート

2015年、オリジナルアニメとして生まれた『美男高校地球防衛部LOVE！』。第２期の放送も決定しているこの人気作品を舞台化したのが『美男高校地球防衛部LOVE！活劇！』である。

箱根有基（赤澤燈）・由布院煙（五十嵐麻朝）・鬼怒川熱史（越智友己）・鳴子硫黄（高崎翔太）・蔵王立（荒牧慶彦）は眉難高校に通う仲良しグループ。実態はなにもしていない部活“地球防衛部”の部室をたまり場に、マイペースに学園生活をエンジョイしていた。そこになぜか突然言葉を喋るピンクのウォンバットが現れ、彼らを“愛の王位継承者・バトルラヴァーズ”に任命！　冗談ではなくホントに地球を守ることになった防衛部の波瀾万丈な毎日とは──。

温泉をイメージさせるネーミングのキャラクターが揃い、また、有基の実家が銭湯という設定から入浴シーンの多さでも知られていた原作を踏襲し、舞台上でも美男たちはしっかり入浴。また、バトルラヴァーズの男の子にしてはキュート過ぎるコスチューム、ちょっと刺激的な変身シーン“ラブ・メイキング”も2.5次元の限界に迫る（!?）再現力でサービス満点に舞台に仕上げられており、原作ファンはもちろん、これが初見の舞台ファンも大いに盛り上がっていた。

今回のストーリーは舞台オリジナル。原作にも登場する生徒会メンバーの“征服部”草津錦史郎（前山剛久）・有馬燻（伊万里有）・下呂阿古哉（柏木湊太）に加え、演劇部・北島マヤオ（西山丈也）とその先輩の老婆島デニ郎（山岸拓生）・道場一徹（西ノ園達大）の舞台オリジナルキャストを交えて、演劇部の夏合宿に現れる新たな怪人との戦いが描かれていく。もちろん、原作同様「バトルラヴァーズのトゥーマッチな強さとカッコよさvsどうしてもへっぽこに見える怪人との死闘」も健在だ。

『私のホストちゃん』『ママと僕たち』など、若手俳優にあんなことやこんなこと…素敵な悪ふざけをさせながら最後は観客を感動させてしまう独特のエンタメ作品を生み出し続けている構成・演出の村上大樹ならではの発想で語られる“舞台版・防衛部”は、原作のゆるゆる感とギリギリ感とぶっ飛びテイストをリスペクトしつつ、劇作家と演出家の苦悩や今の2.5次元舞台の在り方にまでざっくり斬り込んだ（！）、軽快なドタバタ・コメディー。そこに生み出されていくなんともバカバカしい世界観をキャスト全員が全力で表現する清々しさ！　このスキッとした読後感と日頃のモヤモヤを吹き飛ばしてくれるピースフルな空気は、本作の最大のチャームだ。

100％シリアスな戦いの日々に身を沈めていく男子の姿を見守る物語も受け止め甲斐があるが、ゲネプロ後の囲み会見で座長の赤澤燈が「“Zeppブルー温泉”で待ってます！」と笑顔で呼びかけていたそのままの、ほんわかテイストも貴重な観劇体験。防衛部それぞれのキャラクターの魅力的な個性と、彼らが一緒にいるときのチームワークも好印象だ。次はどんな怪人との戦いが待っているのか。ゆっくり湯船にでもつかりながら続報を待つのもいいかも。