林遣都、美少年から実力派俳優へ変貌。イメージ覆す役にトライする原動力とは?

インタビュー
イベント/レジャー
2016.5.3


俳優・林遣都が、次々と新たな可能性へと挑戦している。dTVオリジナル『テラフォーマーズ/新たなる希望』(配信中)では、“ワル”な雰囲気をたっぷりと漂わせた青年役にトライ。自身のイメージを覆すような役柄へ飛び込む、チャレンジ精神の源を聞いた。

人気コミックを三池崇史監督×伊藤英明主演で映画化した『テラフォーマーズ』(公開中)の前日譚を描く本ドラマ。映画キャストに加え、林をはじめとした個性あふれるdTVオリジナルキャストが集結して、原作、そして映画で描くことができなかった「人類を救う15人が選ばれるまで」のストーリーを綴る。三池監督がドラマの監修も務めているが、林は『悪の教典』(12)で三池組を経験済み。「三池監督の現場はたまらなくワクワクするもの」と話す。

「『テラフォーマーズ』はなんでもありの世界。それをさらに三池監督が作るとなると、撮影現場はまるで無法地帯のようで(笑)。『なんでもやれよ』と言われるし、監督が突拍子もないことを言ってくることもある。台本には書いていないことがどんどん生まれてくるんです。自分で役をしっかりと作っていかないと対応できないので、俳優としてはものすごく試される現場。勇気もとても必要ですが、たまらなくワクワクとする現場です」

伊藤英明とも『悪の教典』に引き続いて、共演を果たした。伊藤については「唯一無二の俳優」と表現する。「オープンで力強くて、いい意味で容赦がない。『悪の教典』で僕は、伊藤さん演じる蓮実に殺される役だったんですが、『思いっきりいくからね』といわれて、本当に殺されるかと思いました(笑)。いい緊張感をいただける俳優さんで、またご一緒できてすごくうれしかったです」

演じたのは、強盗で10年の刑に服していたが脱獄し、莫大な報酬目当てで火星行きを目指す青年・菅野。「人と触れ合うことで大切なことに気づいていくんです。ドラマのテーマを表現するポジションでもあったので、難しかったですね」と林。自身のイメージを覆すような“ワル”な雰囲気で楽しませてくれるが、「どんな役でもやってみたい。貪欲になったのかもしれません」と今の心境を明かす。

近年カラフルな役どころにトライし、今後も瀬戸内寂聴の小説を映画化する『花芯』(8月6日公開)に出演するほか、『にがくてあまい』(2016年公開)でゲイのベジタリアン男子を演じるなど、引っ張りだこ。「チャレンジしています。何をやっていても楽しい」と前のめりの姿勢だ。

そのチャレンジ精神の源とは?「小栗旬さんや山田孝之さんとは何度かご一緒させていただいて、プライベートでもいろいろとお話をさせていただくんですが、やっぱり一つ一つの役を自分にしかできないものとして残している。『やるからにはそうでなければ』といつも思わせてくれます。周りに刺激的な人がい過ぎるんですよね(笑)。なので25歳になった今、自分が何を残せるのかと焦燥感にかられる時もあって。他の人にできないものをやらなければと、不安になる時もあります。その不安を払拭するために、チャレンジしているのかもしれません」

『バッテリー』で映画デビューしたのが17歳。「少し前は悩んだり不安になったりといろいろなことを考えていたんです」と悩む時も多かったとか。「でも今は整理ができてスッキリとしていて。どんなに悩んでも撮影現場が好きで、作品が出来上がった時の喜びはハンパじゃないという思いは変わらなかった。それに日本中で『あの作品見たよ』といろいろな人に話しかけてもらうと、作品ごとに自分の役にちゃんと向き合っていれば、誰かが見てくれているし、それによって人の心を動かすことができるなんて、こんなにうれしい仕事はないと思ったんです。そういう仕事を今でも続けられていることも喜びだし、いつまでも続けていきたいと強く思っています」

美少年から実力派俳優へと見事に変貌。その変貌の裏には、葛藤と、その中で改めて手にした俳優としての喜びがあった。「ぶっ飛んだ世界でも、人間の命や愛を感じさせてくれるドラマ」と三池組で表現した世界観にも充実感たっぷり。一層、力強く歩き始めた林遣都。ぜひ新たな彼を楽しんでほしい。【取材・文/成田おり枝】
 

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