5/14開幕 ウィーン・フォルクスオーパー 最終舞台稽古レポート!

2016.5.14
レポート
クラシック

(photo:Kiyonori Hasegawa)


5月14日より、4年ぶり9回目となるウィーン・フォルクスオーパー日本公演が開幕する。オペラ、バレエにミュージカル、そしてなによりオペレッタの上演を年に300公演も行うウィーンを代表する劇場が、今回もまた当地で上演している演目をそのまま日本に持ってきてくれた。

今回の上演されるのはいずれ劣らぬオペレッタの代名詞とも言える代表作ばかり。ヨハン・シュトラウスII世の「こうもり」、フランツ・レハールの「メリー・ウィドウ」、そしてエメリッヒ・カールマンの「チャルダーシュの女王」と、どの作品もきっとどこかで聴いたことがあるだろう、そして一度聴いたら忘れない美しい旋律に満ちた作品だ。これらの作品はストーリーもみな「オペラとは違って人が死なない」(ロベルト・マイヤーウィーン・フォルクスオーパー総裁/記者会見でのコメントより)大人のラブ・コメディ、ハッピーエンドが約束された物語は「クラシックだから」などと構えず誰でも楽しめるものだ。

(photo:Kiyonori Hasegawa)

来日公演の開幕を前に、13日に東京文化会館で「チャルダーシュの女王」の最終舞台稽古が行われた。以下、そのレポートをお届けしよう。今回上演されるのは初演100年を記念して2015年12月にバージョン・アップされた美しい舞台だ。なお、この日は14日&16日のキャストが登場した。

(photo:Kiyonori Hasegawa)

「チャルダーシュの女王」のストーリーは、若い貴族と歌姫の身分違いの恋が困難や誤解を乗り越えて成就するまでの物語。二人の恋に、友人や幼なじみ、親たちの思惑や過去も絡んでブダペスト、ウィーンを舞台に展開するドラマを歌と踊り、そして軽演劇で魅せるのがオペレッタの真髄だ。行き違いも誤解もいさかいも、すべては歌と踊りと笑いの中で許されていく。そう、オペレッタは客席も舞台も、みんなを笑顔にしてくれる素敵な舞台なのだった。大人たちの本気のドタバタを、これほどに楽しい舞台で見せられてしまうとこうも言ってみたくなる、「オペレッタは全幕に限る」と。

舞台を彩る音楽はジプシー風のチャルダーシュ、そしてワルツの数々。よく耳になじむ音楽は舞台が進むほどに、見ているこちらも力を抜いて楽しめるようになっていく。舞台稽古なのだから、当然本公演よりは抑えめの歌唱なのだけれど、その魅力は十分に伝わってきた。

そしてオーケストラの音の柔らかくまとまりのいいことと言ったら!ちょっとしたヴァイオリンやチェロ、クラリネットのソロやデュオに何度はっとさせられたことか。もちろん、そこにはこの作品を知りつくしたマエストロ、ルドルフ・ビーブルの自然なリードが常にある。1929年生まれのマエストロが得意のオペレッタ、それも全幕を披露してくれる機会があろうとは!しかも共演は彼が出演してきたウィーン・フォルクスオーパーなのだから、これ以上の機会はそうないだろう。

(photo:Kiyonori Hasegawa)

楽しい舞台がハッピーエンドを迎えて、しみじみと幸福感に浸りながらぼんやりと考えた。この舞台には、私たちが往年のハリウッド映画、ミュージカル映画で知っているものの原点がたくさんつまっていたのだな、と。筋書きは嫌味のないスクリューボール・コメディ、大人数のバレエを交えた華やかなレヴュー、グランドホテル形式にもつながる人の出入りを活かしたすれ違いの妙、そしてステージに役者として登場する演奏家たちまで誰もが芸達者ぞろいでこれでもかと繰り出すヴォードヴィル、など等。私たちがよく知っているエンタテインメントの源流が、そのままの形で、しかも最良の舞台で楽しめたことの喜びを改めて噛みしめる、幸せな帰路だった。

(photo:Kiyonori Hasegawa)

歌って演じて踊る歌手たち、そして優美なワルツで魅せるウィーン国立バレエ団、忘れちゃいけないマエストロとオーケストラ、その誰もが聴衆を楽しませるためにこれでもかとサーヴィス精神を発揮してくれる。そんな幸せな舞台が、これから東京文化会館で繰り広げられる。ひとときの夢を笑顔で楽しめる、素敵な二週間がはじまる。

 
公演情報
ウィーン・フォルクスオーパー

『チャルダーシュの女王』 E.カールマン作曲
指揮:ルドルフ・ビーブル
演出:ロベルト・ヘルツル5月14日(土)3:00p.m.
5月15日(日)3:00p.m.
5月16日(月)3:00p.m.
【会場】東京文化会館
 
指揮:ルドルフ・ビーブル
演出:ロベルト・ヘルツル
演奏:ウィーン・フォルクスオーパー管弦楽団、ウィーン国立歌劇場ステージオーケストラ
合唱:ウィーン・フォルクスオーパー合唱団
バレエ:ウィーン国立バレエ団

キャスト ※ダブルキャストは役名:5/14&16、5/15の順に表記
レオポルト・マリア伯爵:ウォルフガング・ヒュプシュ
アンヒルテ:マリア・ハッペル
エドウィン・ロナルト:カルステン・ズュース、ズザボル・ブリュックナー
アナスタシア(シュタージ):ベアーテ・リッター、マーラ・マシュタリール
ローンスドルフ男爵:カール・ミヒャエル・エブナー
ボニ・カンチャヌ伯爵:マルコ・ディ・サピア、ミヒャエル・ハヴリチェク
フェリ・フォン・ケレケス(フェリ・バチ):アクセル・ヘッリク
シルヴァ・ヴァレスク:アンドレア・ロスト、ウルズラ・プフィッツナー
シギ・グロス:ボリス・エダー
シャーンドル・フォン・キッシュ:ダニエル・オーレンシュレーガー

『こうもり』 J.シュトラウスII作曲
指揮:アルフレート・エシュヴェ、ゲーリット・プリースニッツ
演出:ハインツ・ツェドニク
5月19日(木)6:30p.m.
5月20日(金)6:30p.m.
5月21日(土)2:00p.m.
5月22日(日)2:00p.m.

『メリー・ウィドウ 』F.レハール作曲
指揮:アルフレート・エシュヴェ
演出:マルコ・アルトゥーロ・マレッリ
5月26日(木)6:30p.m.
5月27日(金)6:30p.m.
5月28日(土)2:00p.m.
5月29日(日)2:00p.m.
 
【会場】東京文化会館