名作のナンバーを豪華メンバーが歌い上げる『BRODWAY MUSICAL LIVE 2015』 上原理生・宮原浩暢インタビュー

インタビュー
舞台
2015.8.5
 撮影/岩村美佳

撮影/岩村美佳

オペラのガラコンサート同様に、ミュージカルの名ナンバーだけを集めた「ミュージカルコンサート」がすっり定着した昨今。その草分け的存在である『BRODWAY MUSICAL LIVE 2015』が今年も華やかに開催される。

『レ・ミゼラブル 』『ラ・マンチャの男』をはじめとする、大作ミュージカルや傑作ミュージカルの名シーンで歌われる楽曲を、豪華な出演者が次々に歌い上げるときめきのライブだ。

今回、この公演に初参加する、ミュージカル界の若きスターとして人気の上原理生と、ヴォーカルユニット「LE VELVETS」の一員としてその貴公子ぶりが知られる宮原浩暢。

二人が語る、ミュージカルの魅力、そしてミュージカルコンサートへの意気込みとは?

演劇ぶっく8月号に掲載のインタビューを、別バージョンの写真とともにご紹介。

宮原浩暢・上原理生 撮影/岩村美佳

宮原浩暢・上原理生 撮影/岩村美佳



名シーンの連続を楽譜から立ち上げるワクワク感
 
──東京藝術大学声楽科出身のお二人ですが、まずミュージカルの魅力をどんなところに感じていますか?

上原 僕がミュージカルをやりたいと思ったそもそものきっかけともつながるのですが、楽曲がクラシックの下地を残しつつもポップで、メッセージ性も強くて、何よりも必ず自分の国の言葉で上演するのが魅力でした。オペラなどは基本的にイタリア語など原語上演なのですが、ミュージカルは日本語でやりますから、お客様の反応もダイレクトですし、歌う側も母国語だからこその色々なバリエーションが考えられる。そういう魅力は大きいですね。

宮原 理生君の言う通り、わかりやすさとやりやすさ両方がありますね。僕もオペラから入っていますから、楽曲をまずイタリア語、フランス語、ドイツ語などから訳すところから始まりますし、聞きにいらっしゃるお客様も下調べをしてストーリーをわかってから来ないと、という部分があるんです。でもミュージカルはすごく受け入れられやすいし、新しい時代の作品が多いので、カッコいい楽曲がたくさんあるのも大きな魅力です。

──そういうミュージカルの魅力が詰まった楽曲を集めたコンサートならではの、楽しさについてはどうですか?

上原 普段は役を頂いて衣装をつけて、まず芝居があるのですが、コンサートは歌がメインなので、歌でやって来た人間としては「よし、来たな!」と(笑)。

宮原 あぁ、それはそうだろうね。

上原 台本からどう表現するのか? から立ち上がるのに対して、楽譜からどう表現しようか? 楽曲をどう立ち上げようか? というワクワク感があります。

宮原 特に作品の美味しいところが詰まっている楽曲が並ぶから、それを次から次へとどんどん聞ける、どれもこれも知っている名シーンの楽曲の連続だという楽しさがあると思います。
 
宮原浩暢・上原理生 撮影/岩村美佳

宮原浩暢・上原理生 撮影/岩村美佳



名ナンバーに託すそれぞれの思い
 
──『BROADWAY MUSICAL LIVE』は、そんなミュージカルコンサートの草分け的存在ですが、今回お二人が歌われる曲の魅力を。
 
上原 僕はソロで『オペラ座の怪人』の「Music of the Night」を歌わせて頂きます。ロイド=ウェバーの作り出した楽曲が圧倒的で、しかも美しい音楽の中に乗せられたファントムのある意味ダークな欲望も味になっていて素晴らしいので、それを歌わせて頂けるのが嬉しいです。もう1曲はデュエットで『RENT』の「I'll Cover You」コリンズとエンジェルの歌です。打って変わって全く違う楽曲で、軽やかなリズムの中で二人がお互いの思いを綺麗なハーモニーの中で言い合う。恋をしたドキドキ感や、ときめきを歌えたらいいなと思っています。

宮原 僕は『レ・ミゼラブル』のジャベールのナンバー「Stars」と、『ラ・マンチャの男』の「ラ・マンチャの男~われこそはドン・キホーテ」を歌う予定です。大学院の修士論文のテーマが「ドン・キホーテ」で、修士演奏もフランス語の「ドン・キホーテ」の歌曲だったので個人的な思い入れもありますし、これからミュージカルが始まるという高揚感のある曲です。「Stars」はバリトンの自分としては、クラシックの世界ではバリトンには王子様の役は基本的にないですから、父親役だったり、王様役だったりする中で、自分の人生を語っているこれは良い曲だなと思っていて、是非やらせて頂きたいと。

上原 バリトンの真骨頂ですよね。

宮原 いいよねぇ。だから自分の中でちゃんと作り上げて歌いたいなと思っています。

──では、改めてこのステージにかける意気込みを。

宮原 僕のことやグループの『LE VELVETS』を知らないミュージカルファンの方達にも、最大限僕の魅力を出して、顔や名前、そして『LE VELVETS』を知って頂きたいという思いがあります。大先輩方達の中で新人の立場ですが、一生懸命やりたいと思います。

上原 色々なジャンルから集まった方々が、王道のミュージカルナンバーを綴っていく、すごく楽しいコンサートになると思っています。大先輩の方々からたくさん勉強させて頂けますし、お客様に心から満足して頂けるものになるように頑張ります。
 
宮原浩暢・上原理生 撮影/岩村美佳

宮原浩暢・上原理生 撮影/岩村美佳

 
うえはらりお○埼玉県出身。東京藝術大学声楽科卒業。2011年『レ・ミゼラブル』アンジョルラス役を射止めミュージカルデビュー。以降、『ロミオとジュリエット』ティボルト役、『ミス・サイゴン』ジョン役ほか、話題作に多数出演。毎年クラシックのリサイタルを開催するなど、声楽家としての顔も持ち、その存在感、歌唱力、表現力を高く評価されている。
 
みやはらひろのぶ○静岡県出身。東京藝術大学声楽科卒業後、身長180cm以上、音楽大学卒業が条件のオーディションに合格。ヴォーカルグループ『LE VELVETS』の一員として、CD発売、コンサート活動などを積極的に展開している。バリトンの深みのある歌声と、甘いマスクで更なる活躍が期待されている。
 
〈公演情報〉


 『BRODWAY MUSICAL LIVE 2015』
演出◇浜畑賢吉
演出補・振付・ステージング◇本間憲一
音楽監督◇宮崎誠
出演◇(五十音順)上原理生、川平慈英、坂元健児、宝田明、舘形比呂一、中河内雅貴、畠中洋、平方元基、福井晶一 、宮原浩暢(LE VELVETS)、島田歌穂、高世麻央(OSK日本歌劇団トップスター)、土居裕子、悠未ひろ、吉沢梨絵/一和洋輔、桐生園加  ほか
●8/28~30◎新国立劇場中劇場
〈お問い合わせ〉オフィス・ミヤモト 03-3312-3526
サンライズプロモーション東京 0570-00-3337
http://www.bw-ml.jp/

【取材・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】 
 
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