『Virgin Rocks 2 〜NISHIURA NIGHT』の首謀者・西浦謙助に訊く 謎多きイベントの傾向と対策は
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西浦謙助 Photo by Taiyo Kazama
プロフィール欄に“よくわからない活動でお馴染みの”と書かれてしまう男。そしてそれが本当にそうとしか書きようがない男。その男の名は西浦謙助。
元・相対性理論とでも、現在は進行方向別通行区分など多くのバンドで活動中とでも、作詞家やクリエイターとでも、呼び名は何でも良さそうだ。ひとつハッキリしているのは、この男がいる場所には何かヤバいことが起きる匂いがぷんぷんするということ。6月30日、渋谷eggmanで行われる『Virgin Rocks 2』、またの名を『NISHIURA NIGHT』。謎に満ちたイベントの傾向と対策について、そして自身の関わるあれこれについて、西浦謙助があくまでゆるく、けっこう本音で語ってくれた。
――さあ、『Virgin Rocks 2』が、いよいよ迫ってきまして。
そうですねぇ。ひたすら胃が痛いんですけど。
――これは何て言ったらいいんですかね? 名称は『Virgin Rocks 2』ですけど、実質は西浦さんのイベント『NISHIURA NIGHT』の3回目でもあるという。
もともと自分でやってたイベントを、お呼ばれしてフィーチャリングさせていただくという形ですね。そういうお誘いがあったので、やらせていただきますということで。
――過去2回の『NISHIURA NIGHT』については、西浦さんのHPに詳しいライブレポートが載っているので、読者のみなさんにもぜひ見てもらいたいんですけどね。あれ最高ですよ。文章も写真もめちゃめちゃ面白い。爆笑しました。
あれは僕の友人のライターの方が書いてくれたんですけど、音楽にめちゃめちゃ詳しくて。そもそもその方が、僕に「イベントをやったらいいんじゃないか」と声をかけてくれたんですよ。ベッド・インも、そのライターさんつながりだったりするし。僕自身はそんなにアンテナを張っている自信はないので、いろんな人に聞いたりして、いいと思った方を呼んだ感じですね。結果的に第一回目の『NISHIURA NIGHT』は、ベッド・インとか、ぱいぱいでか美さんも出てたんで、おお~!?っていう感じになったんですけど。
――早くも伝説になっているという。
結果的に面白いことになりましたね。あと、僕が前にやっていたバンドをやめたあと、意図せずにいろんなジャンルのサポートをすることになった結果、いろんなタイプの方がなんとなくつながったので。それはそれで珍しいことなのではないか?と思ったんです。そこを生かしたい気持ちはありました。
西浦謙助 Photo by Taiyo Kazama
――そして今回、西浦さんはmezcolanza(メスコランサ)とトッピングクラブという、二つのバンドで出演します。
トッピングクラブに関しては、まだまだ自分でもよくわからないので、色々不安ですが……。mezcolanzaも、去年ぐらいからちゃんとやっていきましょうということになったので、まだまだ初々しい感じではあるんですけども。せっかくなので、ガツンとやらせていただくことになりました。
――さらに、ライブ・ゲストが町あかりさん。
町あかりさんは、たぶんネット・サーフィンか何かしてる時に聴いて、これは素晴らしいなと。いつかご一緒したいというか、間近で拝見したいと思っておりまして、オファーをしました。とっても楽しみです。町さんもベッド・インも、こう言うと語弊がありますけど、一見、色物に見られることもあるかもしれません。ですが、どちらもしっかりとした本物感があるので、そういうところも非常にリスペクトしてます。町さんは声も素晴らしいし、楽曲も素晴らしかったので、これは間違いなく本物だと。そこにビビビと来たんですね。
――ベッド・インは、さらにビッグになって再登場という。
ベッド・インは、売れましたね。先日も新宿LOFTでmezcolanzaと共演して、久しぶりに見たんですけど、より本物感がアップしてまして。演奏面もパワーアップしてたんで、めちゃくちゃ楽しみです。前回の企画の時にグループLINEを作ったんですけど、そこでも常にあのまんまなんですよ。
――あはは。下ネタ全開で。
まったくブレずに、お下品なことを(笑)。何を言っても完璧に返してきますからね。本当にすごいです。テレビにも出るようになって、遂にメジャーデビューも決まったということで、これからどんどん大きくなっていくと思うし、出ていただいてありがたいと思ってます。
――ちょっと質問の方向を変えますが。さっき“ビビビと来た”という言い方をされましたけど、西浦さんがビビビと来るポイントって、どこなんでしょうね? 一つ思うのは、町さんやベッド・インもそうですけど、前の『NISHIURA NIGHT』でやっていた80年代のアイドルやポップスのカバーとか、ちょっとレトロな歌謡曲っぽいものが好きなのかな?と。
別にそういうものばかり聴くとか、そういうことはまったくないんですけども。もしかしたら原体験として……僕は1980年生まれで、小さい頃にテレビやラジオで歌謡曲を聴いて育ってきた世代なので、なんだかんだでそういうメロディラインが好きなのではないかと。親の車の中で流れていたオフコースとか、美しいメロディに惹かれるんですね。だからちょっと懐かしいものが好きなのかもしれない。ベタにはっぴいえんどとかも好きだったので、ちょっとフォーキーだったり歌謡曲っぽいものが好きなんですね。
――そういう意味で言うと、mezcolanzaでやってるポップな歌謡っぽい感じが、それにあたるのかな?と。
そうなんですかね? mezcolanzaに関してはまだ始まったばかりですけど、mezcolanzaがスペイン語でゴチャマゼという意味であるように、ジャンルはめちゃくちゃなんです。アルバムも作っているんですけど、今出てる2曲以外も、かなり幅広いですね。ハジメタル君が作曲したり、カトウタロウさんが作曲したり、歌詞をみんなで書いてることもあって、本当にごちゃまぜです。今度の『Virgin Rocks 2』では、わたくしが1曲歌詞を書いた曲をやろうかという話をしてるんですけど、それはどっちかというとハードコアみたいな曲だったりして。
――それを成瀬心美さんが歌う? めっちゃ楽しみですよそれは。
ファンに怒られないか、心配ですが……(笑)。mezcolanzaは、最初は企画の流れで呼ばれたんですけど、結果的に面白いメンツが集まって、わけわかんないんですけど、これだけいろんな人が集まってるのも面白いかなと。
西浦謙助 Photo by Taiyo Kazama
――あと、西浦さんがビビビとくるポイントとしては、女性が好き、特にセクシーな女性が大好きなのでは?と。近くにすごく多いじゃないですか。
確かに、女子が多いですね。何なんでしょうね? そこまで意図したわけじゃないんですけど、結果的にそうなった。僕、下ネタとかは非常に苦手なタイプなんですけども。
――それでベッド・インを呼ぶというのがよくわからない(笑)。
そうなんですけど(笑)。僕は振られると、“え? え?”ってなってしまうタイプで、永遠の15歳的な立ち位置なんです。だからこそ、こういう華やかな世界を見たいのかもしれませんね。ぱいぱいでか美さんも、名前からしてそうですからね。
――永遠の15歳っていうフレーズ。いいですね。童貞イズムじゃないですか。
ああもう、僕は“心の童貞”ですから。だからこそ、可愛い人にあこがれるのかもしれない。特に意識はしてないですけどね。mezcolanzaのハジメタルという人は、可愛い人がいるとあからさまにヤラシイ顔になるんですけど、僕は別に一緒にやれて楽しいなという感じなので。
――西浦さんは、今はそうやっていくつかのバンドを平行してやりつつ、サポートだったり、作詞もやり、LINEスタンプやグッズも作り。いろいろやられてますよね。
いっちょかみと言いますか、ちょろっと手を出してるだけなんです。すごい主義主張があるわけではないので、やってみたら面白いかな、というのがそもそものキッカケですかね。それが結果的に、余計ワケわかんなくなってるんですけども。本当はもっと職人的なものに憧れるんですよ。“50年間陶芸一筋”とか、今もそういうものに憧れてるんですが、なかなかそうもいかずに、散った感じになってしまうんですね。
――散ってるというか、ひとりサブカルみたいな感じがしますけどね。
そんなにサブカルの知識があるわけでもないんですけど、結果的にそう見えるというか。……僕はMr.Childrenとか、めっちゃ好きですよ。サカナクションとかも好きですけど、なぜかこうなってしまうんですよね。
――HPのニュース欄を見てると、てぬぐいのデザインをしましたという記事の上に、『教科書に出てくる日本の神社』『日本の寺院』という本の執筆に参加したとあって、その上にLINEスタンプ作りましたと書いてある。これは一体何だろう?と(笑)。
まったく意味がわからないですね(笑)。知り合いから“やらないか”と言われて、気がつくと神社の記事を書くのを手伝ってたという。あれはちょっと面白いですね、意味不明で。何度も言うように、そこまでの信念や主張がないので、だからこそいろんなことに手を出してみたいなと。最終到達点として、職人を目指してはいるんですが、なかなか到達できないので。
――それはドラム職人ということですか。
ドラムに関しては、こんなこと言うのも何ですけど、スタジオ・ミュージシャンとか、すごい方をいっぱい見てきてるんで。年を重ねると、自分の今後の伸びしろ的なものがなんとなく見えてくるところもあって。もちろん自分はドラマーだし、これからも一生叩こうとは思うんですけど、ここで職人になるのは無理だという思いもあったりして。かといって何かしら個性は必要だと思うので、いろいろやってみてもいいんじゃないか?というのはありますね。ただ、ポリシーはないとか言っておきながら、面白くなくなったらやめようとずっと思ってたんですよ。今までの活動は、全部そうだった気がする。
――ああー、なるほど。
自分が面白いという要素があることは、すごい大事だなと思っているので。面白くなくなってしまう土壌になることがあんまり好きじゃない……何て説明したらいいのかな。なかなか難しいですね。ちょっとおふざけと言いますか、ケレン味と言いますか、そういうものが好きなんですよ。あんまりガチガチになるのが好きじゃないのかもしれない。バランスを保っていたい。偏るのが好きじゃないんですね、性格的に。真面目なほうに行ったらふざけたくなるし、ふざけすぎると真面目に行きたいとか。極力、ニュートラル感を出したいと思ってます。
西浦謙助 Photo by Taiyo Kazama
――だんだん西浦さんの実像が見えてきた気がします。最後にもう一度、6月30日の『Virgin Rocks 2』の話をしましょうか。どんなお客さんが来てくれそうですか。
前回、前々回もそうですけど、そんなに暴れたりするお客さんはいませんし、お父さんお母さんがしっかり育てたんだなという方が多い印象はあります。内容は濃いんですけど、上品なお客さんが多いですね。でもトッピングクラブは、プロフィール文に“おっぱい好きも大マンゾク!”とか書いてるんで、誤解を招きそうですけども。
――あははは! 何でそんなこと書いちゃったんですか。
僕が書いたんじゃないんですけど、天下のユニバーサルのフライヤーに、よくこんなプロフィールを書いたなと(笑)。トッピングクラブはオープニングアクトで、出だしでダダすべりするんじゃないかという危険性ははらんでいるんですけれども、そこも含めて、大きな愛で受け止めてほしいなというのはあります。トッピングクラブは、東京ヒップホップのキヨンセというカリスマが声をかけて結成された組織でして、グラビアアイドルの水樹たま、『Virgin Rocks 2』の翌日に渋谷TSUTAYA O-WESTでツアーファイナルがあるHEREの武田将幸、三橋隼人、宮野大介、HEREのサポート・ベーシストでもあるユーノの壱、元ミドリのハジメタル、mezcolanzaのベースの岡野いずみ、the telephonesのドラムの松本誠治、そして僕が現在の構成員になります。ちなみにトッピングクラブは随時メンバー募集をしております。基本は、鳥貴族で楽しく飲める方をということで。
――(笑)。鳥貴族!
そこは絶対ですね。安い飲み屋はいやだという人は、トッピングクラブには入れません。和を乱さない、安い居酒屋で飲むのが好きな、何だったら動員があるミュージシャンで、トッピングクラブに入りたいと言ってくだされば、検討いたしますので。今のところ作ってる楽曲は、ハードロックというかハードコアというかゴリゴリな感じかもしれません。次にいつ活動できるかわからないので、ぜひ見てほしいですね。
――オープニングアクトなのにプレゼンが長いです(笑)。
それは、僕の不安感の現れですね(笑)。ほかの方のプロフィールは調べればわかるけど、トッピングクラブに関してはひたすら不安なので、いっぱいしゃべってしまいました。それと、この日のためにCDを作りまして、スタジオで一発録りした勢いのある曲を、高名な方がエンジニアをしてくださって、当日販売します。そちらもぜひ聴いていただきたいです。町あかりさんは、個人的にすごく楽しみですね。あの歌声と、独特な歌謡曲感を堪能してほしいと思います。ベッド・インは、パートタイムラバーズと一緒にバンド編成で出てくださるということで……ゴキゲンです。見ればわかると思います。あと、ちゃんまい(中尊寺まい)さんのギターが、皆さんが絶賛するほどの骨太な音なので、ギター好きの人もぜひ聴いていただきたいなと。曲もいいですし、いろんな意味で面白いです。今後、小さいハコではなかなか見られなくなる可能性もありますから、今のうちに見ておいていただければ。mezcolanzaはまだライブ回数も少ないんですけど、がっつりやっていきましょうということになって、曲もたくさん作りつつ頑張ってますんで。次のライブは結構先になりそうなので、この日は見逃さずにいてほしいなと思います。先ほど話しました私作詞の新曲も初披露いたします!
――『NISHIURA NIGHT』としては初めての、普通の夜の時間帯のライブになります。
よく考えたら、そうですね。平日ではありますけども、渋谷ですので、働いてる方もすぐ来ていただけるのではないかと思っております。当日はどうなるか、まったく予想がつかないですけど、僕はほかの出演者の方々の胸を借りるつもりで……他力の感じもありますけれど、なんとか盛り上げたいと思っております!
撮影=風間大洋 インタビュー・文=宮本英夫
西浦謙助 Photo by Taiyo Kazama