N響の2016/17シーズンがヤルヴィ指揮で開幕
パーヴォ・ヤルヴィ (c)Julia Baier
N響の2016/17シーズンが首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィとともに幕を開ける。鮮烈かつ精緻なサウンドによってN響に新時代をもたらすパーヴォが、今回も得意のレパートリーを披露する。
(文:飯尾洋一)
9月24日と25日のAプログラムでは、モーツァルトのピアノ協奏曲第27番(ピアノ:ラルス・フォークト)とブルックナーの交響曲第2番というプログラムが組まれた。ともにウィーンで活躍した作曲家であるが、モーツァルトは最晩年の作品、ブルックナーは初期の作品という組合せが興味深い。
◆フォークトとの親密な対話
ラルス・フォークトとパーヴォはこれまでに何度もモーツァルトで共演してきた間柄。フォークトとは「作品のとらえ方が共通しており、モーツァルトで共演できるのは楽しみ」というパーヴォだけに、音楽による親密な対話を聴かせてくれることだろう。
ラルス・フォークト (c)Neda Navaee
◆ブルックナーの第2番は後期作品を理解する鍵
ブルックナーの交響曲第2番は新鮮味の感じられる選曲だ。後年の作品に顕著な構築性や重厚さを予告する一方で、初期作品ならではのみずみずしさも併せ持つ。パーヴォによれば第2番は「まだロマン派に属する音楽であり、メンデルスゾーンやシューマンに近い。後期作品を理解する鍵がある」という。
9月30日と10月1日のCプログラムは、ロシア音楽プロ。プロコフィエフのピアノ協奏曲第2番(ピアノ:デニス・マツーエフ)と、ラフマニノフの交響曲第3番が演奏される。
◆アグレッシヴでワイルドなプロコフィエフ
プロコフィエフのピアノ協奏曲のなかでも、もっともアグレッシヴでワイルドな魅力にあふれているのがこの第2番だろう。高い技巧とパワーが要求されるこの曲にマツーエフはうってつけ。これだけ豪快なピアノを聴かせる人はそうそういない。
デニス・マツーエフ (c)Evgeny Evtyukhov
◆ロシア・ロマン派交響曲の最高傑作
ラフマニノフの交響曲第3番はアメリカ時代に書かれた作曲者最後の交響曲。近年、演奏頻度が高まりつつあるこの曲を、パーヴォはロシア・ロマン派交響曲の最高傑作として高く評価している。作品の真価を知らしめるような輝かしい演奏を期待できそうだ。
http://www.nhkso.or.jp/library/videolibrary/index.php