小宮有紗インタビュー 『ラブライブ!サンシャイン!!』から『夢二~愛のとばしり』まで、アグレッシブに作品をえらぶ理由とは

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2016.7.27
小宮有紗 撮影=寺坂ジョニー

小宮有紗 撮影=寺坂ジョニー

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女優・小宮有紗は『特命戦隊ゴーバスターズ』のイエローバスター役に抜擢され、18歳の若さで注目を浴びた。その後も、特撮番組『仮面ライダーゴースト』、ドラマ『天国の恋』(東海テレビ)、そして『ラブライブ!サンシャイン!!』声優出演など、アグレッシブにあらゆるジャンルの作品に挑戦し続けている。そんな小宮がかつてない等身大の女性像に挑んだのが7月30日公開の映画『夢二~愛のとばしり』だ。同作は、大正ロマンを代表する画家・詩人の竹久夢二の生々しい人間的側面を美しい映像とともに描くドラマ。小宮は、主人公・夢二(駿河太郎)にすべてを捧げ数奇な運命をたどる女性・彦乃(しの)を演じている。同年代のまったく異なる時代の女性を、小宮はどのように演じたのか。役作りだけでなく、作品えらびの基準、目指す女優像までたっぷり語ってもらった。

母親は「夢二の作品だったら、ラブシーンもつきものでしょ」と

小宮有紗 撮影=寺坂ジョニー

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――小宮さん演じる彦乃は、夢二にすべてを捧げて過酷な人生を送ります。とても純粋で等身大の女性ですが、オファーが来たときはどう思われました?

脱ぐシーンもあるので、マネージャーさんには「別に無理しなくてもいいよ」と心配されたんです。でも、わたし自身は人間味のあるお話やお芝居をそんなに経験してこなかったので、「頑張ります!」という気持ちでした。

――喜んで引き受けられたんですね。

そうですね。それに着物も好きなので。舞台になった大正ロマンの時代は、すごくオシャレじゃないですか。わたしが育った栃木県の日光には、夢二の美術館があるんです。そのせいか、わたしは行ったことはなかったんですが、母親は夢二に詳しくて。出演について相談したら、母親は「夢二の作品だったら、ラブシーンもつきものでしょ」と、色々と教えてくれたんです。それから自分でも調べはじめて、マネージャーさんと東京の美術館に一緒に行ってポストカードを買ったり。新しい画集は出版されていないので、古本屋で探して、気に入ったものは買いました。家にも画集があります。

――リサーチされたんですね。

可愛らしい役ですし、こんなチャンスはまたあるかわからないですから。母親も出演については「任せるわ」と(笑)。

――素敵なお母様ですね。大正時代の女性を理解するのに苦労はしませんでしたか?

100年近く前のお話ですが、彦乃は現代にもいる人だと思います。好きな人とのお付き合いをお父さんに「ダメ!」と言われるような、厳しい家庭は今もある気がしますから、時代の差はそんなに感じませんでした。「妻はこうあるべき」という価値観が強い時代なので、夢二の妻・たまき(黒谷友香)役は難しそうですが。
 

小宮有紗 撮影=寺坂ジョニー

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――女性の社会的地位が低かった時代ですが、彦乃じしんは先進的な女性ですものね。ただ、夢二に惚れて大変な運命をたどってしまうのが不憫でした。

最終的に結核にかかって死んでしまいますからね。でも、仮に生きていたら彦乃は夢二に最後まで愛され続けなかったんじゃないかな、と思います。夢二は気が強い女性に惚れる人なので。彦乃も19歳くらいだったので、しとやかにふるまっていましたが、たまきと同じくらいの年齢になったら変わっていたんじゃないでしょうか。

――女性の扱いに関しては、夢二に反感を持つ方もいらっしゃるんじゃないかと思います。小宮さんご自身は夢二のような男性をどう思われますか?

依存されるのはちょっと無理ですね……。でも、彦乃にとって夢二は初めて好きになった人だし、たまきよりも自分を愛してくれるから嬉しかったんだろうと思います。そうじゃなければ、引き離されても夢二のところに戻ろうと思わなかったでしょうし。逆に、引き離されたからこそ、燃えるものがあったのかもしれません。

――初めてのラブシーンで気を付けたことはありますか?

監督のリクエストはあったので、段取りはしました。「こっちから撮るからこう動いて下さい」とか、「このタイミングでセリフを言って下さい」と、細かく指示していただいたので。でも、わたしはどちらかというとされるがままな立場の役なので、とくに気を使うこともなく、「大丈夫です」と普通に演技できました。逆にわたしが恥ずかしがると、みなさんがやりづらいですから。光の具合も含めて上手く撮っていただけたので、画としてすごく奇麗な作品になったと思います。
 

小宮有紗 撮影=寺坂ジョニー

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駿河太郎、黒谷友香との共演は「勉強になることばかり」
 

小宮有紗 撮影=寺坂ジョニー

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――駿河さんはかなり繊細なお芝居をされています。共演されていかがでした?

夢二そのもの、という感じだったんですが……ひとつだけ、駿河さんが「絵を描くのが苦手」とおっしゃっていたのがおかしかったです(笑)。「そんなにですか?」と聞いたら、休憩時間に台本に絵を描いて下さったんですけど、けっこう(笑)。

――劇中で駿河さんご自身が描いてらっしゃるシーンがあまり登場しないのは、そういうことなんですね(笑)。

そうなんです。関西の方なので「どうしたらええんや~助けてくれ~」と、ずっとおっしゃってました(笑)。

――たまき役・黒谷さんの演技には鬼気迫るものがありましたが、現場ではいかがでした? 共演シーンは、彦乃がほほをつかまれる場面くらいなので少ないとは思いますが。

わたしがほほをつかまれるシーンの前後に、駿河さんと黒谷さんの撮影もあったんです。駿河さんはわたしとのシーンの前後や休憩時間はいつもニコニコしてらっしゃるのに、黒谷さんとのシーンではすごくピリピリしてらして。

――かなり役に入り込まれていたんですね。

普段はお二人ともすごく仲がいいらしいです。でも、現場ではお互いに一切しゃべらず、黒谷さんも独りでいらっしゃいました。でも、わたしにはすごく優しくして下さって、「またね~!」と気さくに接してくださるんです。役者としてすごい方で、勉強になることばかりでした。以前、『イン・ザ・ヒーロー』という作品でご一緒させていただいただいて、打ち上げで少しだけ話させていただいたときも、すごくカッコよくて素敵な女性で。いつかまたご一緒させてもらえるように頑張ろう、と思っていた方なので、共演させていただいて本当に嬉しかったですね。

小宮有紗 撮影=寺坂ジョニー

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さまざまなジャンルに挑戦する理由とは

 

小宮有紗 撮影=寺坂ジョニー

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――これまで『ラブライブ!サンシャイン!!』『特命戦隊ゴーバスターズ』そしてこの『夢二~愛のとばしり』と、色んなジャンルの作品に出てらっしゃいますね。なぜ、こんなに幅広くお仕事を選ばれているんですか?

このお仕事をさせていただいているのは、「毎日同じことをしたくない、毎日違う景色を見ていたい」と思っているからなので。だから、「これがやりたい、あれがやりたい」じゃなく、やったことないものを全部やりたいんです。それこそ声のお仕事もそれまでは経験したことがありませんでした。特撮のお仕事をさせていただいているときに、声のお仕事をされている方が近くにいらっしゃったので、「こういう仕事もあるんだ!」と思って。でも「ちょっと興味があるからやりたい」わけじゃなくて、ちゃんとやって、いろいろ経験した結果、最終的に自分のお芝居に全部つながればいいと思っています。声優さんも女優さんも、舞台も、すべてがお芝居。色んなことをやったほうが、普通に女優さんをやるよりも、色んなアイデアが出てくるかもしれない、と思っています。

――試したい時期なんですね。逆に、今やりたいジャンルはありますか?

アクションはずっとやり続けたいと思っています。最近はアクションが得意な女優さんも増えてきていますけど、全体としての人口は少ないですし。ワイヤーアクションや高いところも、それこそこの仕事でしかできないから好きです。自分の体づくりにもなるし、体力づくりにもなるし。続けてていいことしかないとおもうので、やり続けたいです。それに、坂本浩一監督(『仮面ライダーゴースト』など)はいつもわたしを呼んで下さるので。

――坂本監督の作品に出たことで、アクションを好きになられた?

きっかけは『ゴーバスターズ』なんですが、その後のアクションは坂本監督の作品だけなので……完全に坂本監督のおかげですね。今はアルファスタント(坂本監督が設立したスタントチーム)のジムにも行っています。

――そうなんですか! なおかつ、いろんなジャンルにチャレンジしているなんて……素晴らしいですね。

ジャンル問わずやれるのが一番いいと思います。
 

小宮有紗 撮影=寺坂ジョニー

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――アクション作品から入った俳優さんや女優さんは、そのイメージから抜け出せなくて悩むこともあるみたいです。小宮さんは『ゴーバスターズ』や『ラブライブ!サンシャイン!!』で注目されたので、いまだにそのイメージを持たれているファンの方もいらっしゃると思います。そういったイメージから抜けだしたいと思うことはありますか?

その役があってこその自分なので、抜け出したいというよりは、それだけじゃないと思ってほしいです。なので、こういう作品にも出るようにしています。キャラクターっぽい役じゃなく、普通の人間の役がやりたいと言い続けていた時期もあったんですが、去年は『仮カレ』という、相武紗季さん主演の作品で普通のOLさんの役をやらせていただきました。歳を重ねるごとに、女子高生みたいな役だけじゃなくて、社会人もできるようになったり、役の幅が広がるんですよね。やりたいと思えばできないことはないんだな、と思います。

――なるほど。

そのときに自分に必要な役が、自然に来る、とまでは言いません。でも、自分がやるべきことが、そのときの仕事だと思うので。それをちゃんとやっていたら、次につながるのかな、と思っています。

小宮有紗 撮影=寺坂ジョニー

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――ちなみに、今憧れている女優さんはいらっしゃいますか?

『天国の恋』に出演させていただいたときに、毬谷友子さんと共演させていただいたんです。もう、あの方が大好きで! わたしのお母さんの役を演じてらしたんですが、毬谷さんは収録していないときも、とにかくお茶目。唄もお上手で、何よりお顔が素敵です!​ずっと女優を続けてらっしゃる方って、みなさん可愛らしいんです。素敵な女性なんですが、どこかお茶目で可愛らしい部分をみなさん持ってらっしゃる。それは、たぶん女優さんだけじゃなく、声優さんもそうなんですよ。男性でも、ずっとやってらっしゃる方はどこか愛嬌がある。

――人間的にも魅力的な女優さんが目標なんですね。毬谷さんは『夢二~愛のとばしり』の世界観とも近い雰囲気があります。

そうなんですよ! 毬谷さんは鈴木清順監督の『夢二』に出てらっしゃるんです。だから、同じ題材の作品に出られたのが嬉しかったです。「わたしも同じようなお仕事ができるんだ!」と。

――そう考えると、『夢二~愛のとばしり』は小宮さんにとって運命的な作品ですね。最後に、作品をご覧になる方にひとことお願いします。

はじめましての方も多いと思いますので、この作品で知っていただけたら嬉しいです。それから、純粋にこの作品は竹久夢二という方の世界観を描いていると思うので、それを楽しんでいただければ。もし興味を持っていただけたら、他の夢二の作品も観ていただいて、知っていただけたら嬉しいです。
 

小宮有紗 撮影=寺坂ジョニー

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映画『夢二~愛のとばしり』は7月30日(土)シネ・リーブル池袋ほか全国順次公開。


インタビュー・文=藤本洋輔 撮影=寺坂ジョニー
 

プレゼント情報
小宮有紗直筆サイン入り色紙を1名様に
 


 
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作品情報
映画『夢二~愛のとばしり』
 

 
(2015/日本/104分 /5.1ch/シネスコ/カラー/デジタル)

出演:駿河太郎 小宮有紗 加藤 雅也/黒谷友香 ほか 
監督・脚本:宮野ケイジ/原作:野村桔梗『竹久夢二のすべて』(駒草出版)
プロデューサー:関 顕嗣
模写絵・美術協力:小野日佐子
メインテーマ曲:mayo「always love you」(ドリーミュージック)
配給:ストームピクチャーズ
協力:ベストブレーン

公式サイト:yumeji-ai.jp

 Ⓒ2015映画「夢二~愛のとばしり」製作委員会 
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