Keyの珠玉作品『planetarian~ちいさなほしのゆめ~』が劇場版アニメとしてよみがえる! すずきけいこ、小野大輔らがプラネタリウムで舞台挨拶

レポート
アニメ/ゲーム
2016.8.17
津田尚克監督・すずきけいこ・小野大輔 (c)VisualArt's/Key/planetarian project

津田尚克監督・すずきけいこ・小野大輔 (c)VisualArt's/Key/planetarian project

“泣きゲーム”と呼ばれるジャンルを確立したといっても過言ではないゲームブランド・Keyの、初のSF要素を含んだコンピューターゲーム『planetarian』が劇場版アニメとして全国の映画館での上映を間近に控えている。そんな本作の舞台挨拶が7月1日に、『planetarian』のタイトルにちなんで、コニカミノルタプラネタリウム“天空”in東京スカイツリータウン(R)で行われた。物語の世界観に合った、雰囲気抜群の会場に登壇した すずきけいこ、小野大輔、津田尚克監督の3人から “今”のタイミングでのアニメ化に対する本音が明かされた。

津田尚克監督・すずきけいこ・小野大輔 (c)VisualArt's/Key/planetarian project

津田尚克監督・すずきけいこ・小野大輔 (c)VisualArt's/Key/planetarian project

この日のコニカミノルタプラネタリウム“天空”in東京スカイツリータウン(R)の場内は開演を今か今かと楽しみに待つ大勢のファンで満たされていた。司会進行を務めるアスミック・エースの青井宏之氏のアナウンス後にゲストの3人が登場し、盛大な拍手が鳴り響いた。すずきと小野はKey作品にゆかりのあるキャラクターのセリフで会場を盛り上げ、次々と笑いを生み出していく。声優としてキャラクターを表現しながら会場に足を運んでくれたファンを楽しませる姿は、「お待たせしました」という感謝の気持ちを表現しているようにも感じられる。

すずきけいこ・小野大輔 (c)VisualArt's/Key/planetarian project

すずきけいこ・小野大輔 (c)VisualArt's/Key/planetarian project

小野大輔 (c)VisualArt's/Key/planetarian project

小野大輔 (c)VisualArt's/Key/planetarian project

イベントは、キャスト・監督への質問コーナーへうつっていった。はじめのお題は“12年前に発売された『planetarian』のアニメ化についてどう思うか?”だ。小野は「当時、まだ声優として駆け出しだった頃に担当した役を、長い時を経て再びアニメキャラクターとして携わることが出来る。まるでこれまでの功績を評価されて、ご褒美をもらっているかのような嬉しい気持ちです」と、感慨深く感想を述べた。今となっては『涼宮ハルヒの憂鬱』や『黒執事』などでメインキャラクターを担当し、自身の名前を広く知らしめている小野だが、今回は懐かしの作品との再会に喜んでいるようだった。

一方すずきは、「なぜ今なのか? ということを考えました」と、素直に疑問におもっていたことを告白した。確かに、12年前の作品を2016年にアニメ化することについて、不思議に思った人は沢山いただろう。しかし、一般公開よりも先に本作の配信版を見たすずきは「今でしか出来ないことがあるんだ」と疑問が確信に変わったと話す。物語の世界観でもある封印都市の忘れ去られたプラネタリウム。それをスカイツリーの中にあるコニカミノルタプラネタリウムで舞台挨拶を開き、光と音の演出や臨場感のあふれるCGで体感する。まさに、“今”だからこそ出来るイベント。作品の生まれた年ではなく、過去の名作を現代の技術でどう誕生させるのか。未来のことは予想できない。けれど、もしかしたらこの作品には、不可能を可能にすることができるメッセージも込められているのではないか、と筆者は感じた。

津田尚克監督 (c)VisualArt's/Key/planetarian project

津田尚克監督 (c)VisualArt's/Key/planetarian project

また、津田監督は「アニメ業界に入りたての時期で、制作進行として働いていました。当時から考えると、まさかKey作品を担当できるなんて夢にも思いませんでした。だから12年前の自分に言いたいです。“お前、Keyタイトルの監督やっちゃうぜ! って(笑)」と、お茶目な一面を見せて、会場を観客の歓声で満たす。先ほどのくだりにもあった“今”になってみて分かること。津田監督も、今でこそ『ジョジョの奇妙な冒険』を代表とするアニメ監督だが、『planetarian』ゲームリリース時は、アニメ制作スタッフとして現場にいた。自身の立場を“今”になって知ることが出来る、実体験を通して監督の経緯を多くの人たちに見せた光景に驚きを隠せない。

津田尚克監督・すずきけいこ・小野大輔 (c)VisualArt's/Key/planetarian project

津田尚克監督・すずきけいこ・小野大輔 (c)VisualArt's/Key/planetarian project

ラストには3人からファンへメッセージが送られる。すずきは「今日はホントにありがとうございました。『planetarian』の世界はどんどん続いていきますので、どうぞお楽しみに」と、作品に対するファンの期待をふくらませた。続けて小野は「今日はいろいろありすぎて、一言では表現できないのですが、“俺たちの好きなKey作品がここにある”それを見届けてください」と、自らの思いの丈を打ち明ける。そして津田監督からは「この作品は人間関係と自分の好きなモノとの関係を掘り下げて作りました。そういった部分を考えてご覧いただけるとより楽しんでいただけると思います」と作品の本質について語った。現在、本作はニコニコ動画をはじめ、各動画配信サイトにて配信中。9月には劇場版の公開も控えているので、8月にまとめてイッキ見したいところだ。

12年という歳月を超えて再び脚光を浴びることとなった『planetarian』。舞台挨拶のトークだけで、制作メンバーの作品に対する想いが伝わってきた。“今”だから、“今”じゃなきゃ、“今”でこそ、これらのメッセージを他の角度から見ると、また違った捉え方が出来る。作品だけでなく、身の回りに当てはめてみても、新しい発見がありそうだ。劇場公開までの9月にはまだ時間がある。もしこの記事を読んで、少しでも興味を持っていただけたなら、『planetarian』のテーマを自分なりの解釈で読み取ってみてほしい。きっと1ヶ月という時間があれば、アナタなりの“今”を見つけることが出来ることだろう。

 

撮影・レポート=野島亮佑

planetarian~ちいさなほしのゆめ~舞台挨拶&特別先行上映会
■配信版タイトル:『planetarian~ちいさなほしのゆめ~』
配信:ニコニコ動画ほか動画配信サイトにて配信開始

■劇場版タイトル:『planetarian~星の人~』
公開日:9月3日(土)よりTOHOシネマズ 新宿ほか全国順次公開
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