絢香、miwa、大橋トリオ、平井 堅ら豪華共演『J-WAVE LIVE SUMMER JAM 2016』この場所でしか出会えない特別な空間
絢香『J-WAVE LIVE SUMMER JAM 2016』8月21日
J-WAVE LIVE SUMMER JAM 2016
2016.8.21(SUN)国立代々木競技場第一体育館
『J-WAVE LIVE SUMMER JAM 2016』の2日目、8月21日、日曜日、国立代々木競技場第一体育館。高い天井の明り取りからまだ昼間の陽差しがのぞく午後4時、2段重ねのバースデーケーキのような360度センターステージに、バンドマスター・大橋トリオを先頭に総勢16名のスペシャルバンドが登場すると、すかさず湧き上がるあたたかい拍手と歓声。主な年齢層は、20代か30代か。落ち着いた大人の雰囲気漂う中、個性豊かな歌の力を誇るボーカリストたちの、華やかなステージの開幕だ。
JUJU『J-WAVE LIVE SUMMER JAM 2016』8月21日
JUJU『J-WAVE LIVE SUMMER JAM 2016』8月21日
ふんわりとカラフルな膝上ワンピース、ストローハット、キラリと輝くピンヒール。この日の一番手、JUJUがステージに上がった途端「カワイイ!」と声が飛ぶ。曲は「やさしさで溢れるように」「奇跡を望むなら…」。10年近く彼女の歌を聴いているが、その声はいつもみずみずしいままだ。トークも好調で、バラード2曲を聴かせた直後に、「せっかく夏なので、もうバラードやめます(笑)」と宣言。人生もっと楽しまなきゃ、「大人だって遊んでいいじゃない?」と呼びかけると、肌もあらわなセクシー美女ダンサーふたりと共に、アッパーなR&Bチューン「PLAYBACK」、派手なブラスセクションが活躍する「What You Want」と、アゲアゲ2連発。余裕すら感じるパフォーマンスには、さすが、のひとことしかない。
加藤ミリヤ『J-WAVE LIVE SUMMER JAM 2016』8月21日
加藤ミリヤ『J-WAVE LIVE SUMMER JAM 2016』8月21日
2004年デビューということは、JUJUと同期。二番手の加藤ミリヤが、ブラック&ブルーのロングドレス姿で登場し、「Future Lover 未来恋人」を歌い出す。ダフト・パンク「ONE MORE TIME」をサンプリングした強力なEDMチューン。「最高のライブにしましょう。ここから止まらずにどんどん行きます!」。「SAYONARAベイベー」はタイトな四つ打ちのダンスチューン、一転して「Want You Back」は、ピアノとストリングスが美しく響きあうドラマチックなバラード。せつなくて純情でどこか危うい、ミリヤの世界にぐいぐい引き込まれる。カラフルな羽根飾りのヘッドピースをつけて、「リップスティック」から「HEART BEAT」へ、強力なパーカッションが叩きだすトライバルなビートが体を揺さぶる。あの華奢な体のどこに、これだけのパワーが潜んでいるんだろう? 初めて見る人をも虜にする、圧巻のステージング。
大橋トリオ『J-WAVE LIVE SUMMER JAM 2016』8月21日
大橋トリオ『J-WAVE LIVE SUMMER JAM 2016』8月21日
華やかな女性シンガーのパフォーマンスのあとには、ダンディーな大人の男の歌声がよく似合う。バンドマスターに徹していた大橋トリオが、主役としてスポットライトを浴びる時間だ。曲はゴキゲンにファンキーな「GOLD FUNK」、そしてバンジョーに持ち替え、軽やかなカントリータッチの「Happy Trail」。しなやかで力強いバンドの演奏の上を、ふわりと漂うようなソフトでジェントルな歌声が心地よい。「Honey」から「はじまりの唄」へ、美しいメロディが胸に沁みる。その声と音で、どんなに固い心の凝りも、柔らかくもみほぐす才能を持つ男。大橋トリオの魅力は、今日この場所に来たすべての人にしっかりと伝わったはずだ。
大橋トリオ『J-WAVE LIVE SUMMER JAM 2016』8月21日
ここで、ライブの前半は終了。後半開始までは約1時間。セットリストには“休憩”と書いてあるが、その間も目が離せない。会場内の大型スクリーンには、J-WAVEナビゲーターと本日の出演者たちが、舞台裏から生放送でトークを披露。さらにセンターステージには、サプライズゲストとして沖縄出身のボーカルグループ・Sky’s The Limitが登場し、イーグルスのカバー「Desperado」を、さらにピアノにKを迎えて「Only Human」と、見事なハーモニーを披露。後半に向けて、ウォームアップは万全だ。
平井堅『J-WAVE LIVE SUMMER JAM 2016』8月21日
平井堅『J-WAVE LIVE SUMMER JAM 2016』8月21日
午後7時15分。謎の仮面ダンサーズを従え、白いロングコートをはおった平井堅が姿を現すと、怒涛のように湧き起こる女性ファンからの熱狂的な声援。ラテンファンク調の「告白」では妖しく艶やかに、そして「魔法って言っていいかな?」は、アコースティックギターとスティールギターのたおやかな響きを生かして、しっとりと。まったくタイプの違う2曲で、会場内の空気を一気につかんだところで、「ありがとうございました。平井堅でした」。えー、もっと聴きたい!というファンの期待をさらりとかわし、あっと言う間に姿を消した彼は、まるでマジシャンだ。会場内のどよめきは、しばらく止むことがなかった。
平井堅『J-WAVE LIVE SUMMER JAM 2016』8月21日
miwa『J-WAVE LIVE SUMMER JAM 2016』8月21日
miwa『J-WAVE LIVE SUMMER JAM 2016』8月21日
会場内が、陽の光が射しこむように一気に明るくなった。miwaの登場だ。ボーダー柄、イラストをあしらったモノトーンのワンピース。体より大きく見えるフライングVを抱えて「ヒカリへ」、マンドリンに持ち替えて「Princess」と、キュートなポップチューン二連発。「夏らしく元気にタオル回してみませんか!」と呼びかけ、2階席のてっぺんまでタオル回しに巻き込んだ「ミラクル」から「君に出会えたから」へ。どこまでも伸びてゆく透明なハイトーン、太陽のような笑顔、明るくキャッチーな楽曲の魅力は、ライブでこそ光り輝く。圧巻は、ラストを飾ったバラード曲「夜空。」だった。原曲のデュエットの相手はハジ→だったが、今日はもちろん大橋トリオ。せつなすぎるロストラブソングをドラマチックに歌いあげ、最後の「ありがとう。さよなら」のセリフもばっちり揃えた二人に、万雷の拍手が降り注ぐ。ここでしか見られない、貴重な共演だ。
絢香『J-WAVE LIVE SUMMER JAM 2016』8月21日
さあ、いよいよ本日最後のライブアクト。白いロングカーディガンをまとってステージに上がった絢香が、右手にマイク、左手でリズムを取りながら「beautiful」を歌い出した瞬間、誰もがその場に釘づけになる。なんて豊かな声量、なんて圧倒的な表現力。コーラスを生かし、徹底的に“うた”を際立たせる大橋トリオのアレンジがいい。「にじいろ」「三日月」と、誰もが知っている大ヒット曲を並べたセットリストもばっちりはまった。「デビューから10年たって、今の気持ちを書いた曲です」。最後は、最新ベストアルバムに収められた新曲「THIS IS ME」を、心震わすストリングスの音色と共に力強く歌う。素晴らしい緊張感と、圧倒的な包容力。いつどこで聴いても、絢香はやはり絢香だった。
絢香『J-WAVE LIVE SUMMER JAM 2016』8月21日
これで終わり? いやいや、まだ終われない。トリをつとめるアーティストだけに許される、アンコールタイム。絢香とコブクロの共演曲「WINDING ROAD」を、大橋トリオのボーカルをまじえ、まるでゴスペルのスタンダードのように高らかに歌いきる。この日一番の歓声、拍手、笑顔。4時間40分の長い時間を共に過ごした幸せと、去りがたい淋しさ。なんて贅沢な時間。
絢香『J-WAVE LIVE SUMMER JAM 2016』8月21日
6組のアーティスト、スペシャルゲスト、そして大橋トリオとスペシャルバンド。すべての出演者が一体となって織り上げた、華麗な音のタペストリー。それはオーガニックな肌触りと優しいぬくもりに満ちた、今日この場所でしか出会えない特別な空間だった。それではまた来年、この場所できっとお会いしましょう。
取材・文=宮本英夫