凰稀かなめにインタビュー「今回は参加型!それ以外はヒミツ!」『The Beginning 2』
凰稀かなめ
宝塚歌劇団元宙組男役トップスター・凰稀かなめのソロステージ 『The Beginning 2』 が9月16、17日(金、土)にEX THEATER ROPPONGIにて行われる。前回の『The Beginning 』(以下「1」)では、歌、ダンスだけでなく、コメディパートもあり多くのファンを沸かせた。さて、今回はどんなコンサートにしようとしているのか。稽古の合間を縫って凰稀に話を聞いてきた。
――「1」のときはどういうコンセプトでショーを作ったんですか?
まず宝塚現役のときにソロコンサートをやったことがなかったんです。ディナーショーは退団する際、その記念にと一度やらせていただいたくらい。
現役中、いつもシリアスな役しか回ってこなかったんです。でも実はコメディがやりたかった。そして私はお芝居が大好きなので、「1」のときはお芝居もいれつつコミカルなものをやりたい、と考えてああいう内容になったんです。でもあんなに笑っていただけるとは思いませんでしたね(笑)
――キリッとしたイメージを持っていたので、意外と三枚目なところもある方なのか、思って拝見しました(笑)さて今回はどんなステージにされる予定ですか?
今回は「1」とは違い、かなりハードな公演となってます。前はどちらかというとお客さんが観て楽しんで、を考えていましたが、今回は全体的に「参加」していただきます!
――え!?どう参加するんですか?
多分、座って見てられなくなって、自然と参加してしまうって感じになるかと……。
あとファンの方は静かに見てられなくなる? ん? そうなって欲しいです(o^^o) いや!そうなっていただきます(笑)。(※顔文字はかなめさんからのリクエストを反映しました!)
――この記事を読んだお客さんが「え?参加!? 何を持っていけばいいの?」ってあわてるかもしれませんよ!
大丈夫。身一つで来ていただければ。まあ……ハンカチとかタオルは持っていたほうが……。
――……もしやそれを振り回すとか?
フフフ(謎笑) 。たぶん汗をかくんじゃないかなあ。
――踊る? 拳を突き上げる?
突き上げたいですね……でも「ここはこうやるので、皆さん参加してくださいねー」という感じではなく、(低めの声で)「……やれ!!」という感じになるかも?(笑)
凰稀かなめ
――今回は「THE CONVOY」の石坂勇さんとトクナガクニハルさんという、頼もしいお二人が加わりましたね。
アダルトなお兄さまたちがね! THE CONVOYのお二方は歌も芝居も踊りもマルチにできる方ですし、ステージの雰囲気も変えられるんじゃないかな? って(演出の)TETSUさんがお二人にお声がけくださったんです。
――現在どこまで稽古は進んでいますか?
内容が盛りだくさんなので稽古が追いつかないです(笑)。 一応今は全体の流れができて、ところどころ修正しながらやっていますが、稽古日数があと少ししかないので、ギリギリでやってます。覚えることもいっぱいですし、何より出ずっぱりなので。
――舞台袖に引っ込むスキもない感じですか?
引っ込めません(笑)昨年は映像で繋げたりしていたんですが、今回はそういうのがなく、一切休めません。試練の舞台です。「TETSUさん、これ私いつ引っ込めばいいの?」っていつも言ってますが「大丈夫です。かなめさんのライブですから。お客さんはかなめさんを観にきているんだから、かなめさんがずっと出てないとダメなんです」っていつも返されます(笑)。
――TETSUさん、結構スパルタですね?
スパルタですねー(笑)前回もかなりビシバシやってました。でも厳しい中にも楽しさは必ずあるんですよ。
――で、今回もコメディコーナーはあるんですか?
ある……と思いますよ。
――ステージを楽しみにしているお客様に何かしらの予告をしたいんですが、「ここが前回と違うよ!」とか「ここが凄いよ!」とか、何かキーワードがありましたら、教えてください。
やっぱり……「参加型だよ!!」かな(笑)
前回と違うところもあるんですが、あまりまだ言いたくないんです。言ったらおもしろくないですし、本番で驚かせたいんです。
あと、だいたいみんなが知っている楽曲を使っているので、その点は楽しめると思いますよ。ミュージカル系も少しあるけど、基本的には普通のミュージシャンが歌ってる曲で、みんなが知っている曲。曲の年代も幅広くとってますのでどの世代の人でも歌えるし、なんとなーく踊れるんじゃない…か…な!?(笑)
凰稀かなめ
――冒頭少しお話が出ましたが、ミュージカルよりお芝居のほうが好きなんですか?
そうなんです。お仕事でいただく話はミュージカルのほうが多いですが、本当は芝居の方が断然好きなんです。
退団後、自分を女性に切り替えていく作業は大変でした。先日ミュージカル『1789-バスティーユの恋人たち-』でマリー・アントワネットをやらせていただきましたが、すごい大変でした!
――かなめさんがアントワネット役!?とファンの方がざわついていましたね。
私も「無理無理!」って言ってました(笑) 。そりゃそうですよ「大丈夫なの?」って思いますよね? あの舞台で未知の世界を勉強することができました。退団してからいろいろ勉強しないとなあ、とは思っていましたが、すぐこの舞台で、お客さんの前で、経験と勉強をさせていただきましたね。
――大変だったことは?
全部大変でした、全部(笑)! 歩くのも大変だし、女性として寄り添ったり少し受け身になったり。男性キャストとのラブシーンで自分からぐっと行ってしまったことがあったり(笑)。スカートとか大きいじゃないですか。どう腰をひねるとドレスの裾がついてくるのか、とか考えましたね。
男役のときは、マントや燕尾服のしっぽの流れとかを意識して動いてましたが、ドレスは長いし重いし歩き方も……。高い声を出さないといけなかったので、普段のしゃべりの声を高めにしておかないとならなかった。声が出ないんです。男役の頃は無理な低さの声を出さなければならなかったので、それはそれで大変でしたが、今度はそれを元に戻す作業が大変でした。
退団後、男役から女に戻る、という実感は特になかったんですが、本物の男性との距離感がわからなかったです。宝塚だと男役同士でガバーッと肩を組んだりしてましたが、今、本物の男性に同じようなことをするとびっくりされますね。ノリで 「イェーイ!」 → 肩をガバーッってやると 「……おおぅ!」 とびっくりされますね。気を付けていかないとならないんだなって。
凰稀かなめ
――普段からお芝居をご覧になっていらっしゃるんですか?
いーっぱい観てますよ! 最近観たもので特に面白かったのは『アラジン』と『BENT』ですね。佐々木蔵之介さんが出演されている舞台で。芝居的に面白かったのが『BENT』です。その空間がその時代、まるでその場にいる感覚に襲われました。
芝居を観ていると、台本や話の流れに「?」が浮かぶことが多いんです。さっきこうなったのに何で今こんな事を言うんだろう、こういう人間だったらどうしてこんな芝居になるんだろう?……そういうことが頭の中で浮かびだすともう止まらない。「この芝居は何を見せたいんだろう?」ってなっちゃう。そう思わせなかったのが『BENT』でしたね。
――妥協できないんですね。本当に演劇好きなんですね。そんな凰稀さんが今後取り組んでみたい作品や演出家さんっていらっしゃいますか?
具体的に誰、どれはないけど、面白い作品はやりたいですね。作品の中でちゃんと訴えたい事がハッキリしている作品のほうが好きですね。
あと、演出家の先生とすごーく話をすると思います。そんな私の意見を聞いてくださる先生とお仕事したいです。
(取材・文・撮影:こむらさき)
■日時:2016年9月16日(金)、17日(土)
■会場:EX THEATER ROPPONGI
■構成・演出:TETSU(Bugs Under Groove)
■出演:
凰稀かなめ
石坂勇(THE CONVOY)
トクナガクニハル(THE CONVOY)
IYO-P(Bugs Under Groove)
白華れみ
宮菜穂子
■公式サイト:https://kaname-ouki.jp/news/478.html