友達にほしい知英チャリティ~ブロードウェイミュージカル『スウィート・チャリティ』ゲネプロレポート~

レポート
舞台
2016.9.26

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ニール・サイモン(脚本)、サイ・コールマン(作曲)、ボブ・フォッシー(原案・演出・振付)、という名だたる天才たちのアイデアが詰まったミュージカル・コメディの傑作、『スウィート・チャリティ』。1966年の初演以来、ブロードウェイでも日本でも繰り返し再演され、シャーリー・マクレーン主演の映画版もよく知られる本作が、元KARAの知英(ジヨン)をチャリティ役に迎えて上演されている。9月23日、開幕に先駆けて行われた囲み会見と公開ゲネプロで、初舞台にして主演を務める知英の魅力が大いにスパークした。

コミカルな群舞も大きな見どころ!

2014年に本格的な女優活動をスタートさせた知英にとって、ミュージカル出演はずっと念願だったという。「緊張もしてるけど、いよいよ皆さんに見せられると思うとすっごくワクワクします!」と、初日を前にした心境を瞳を輝かせて語った。

そんな知英を、映画俳優ヴィダル役の平方元基は「稽古場からずっとチャリティそのもので、可愛さがこれでもかってぐらい詰まってる」、チャリティと恋に落ちるオスカー役の岡幸二郎は「出てきた時の華や明るさという、努力ではどうにもできないものを持っている」と共演者も絶賛。

上演台本・演出・振付の上島雪夫も、「女の人で主役を張れる人はそうそう育たない中、こういう人がミュージカル界に来てくれて嬉しい」と、そのスター性に太鼓判を押した。

そして会見後、いよいよ舞台上にその姿を現した知英チャリティは、まさに彼らの言葉通りのチャーミングさ! チャリティは、NYのダンスホールでホステスとして働く、お人よしで男運のない女の子。そんな彼女が、男に騙されたりチャンスを逃したりしながら成長する姿を描いているだけに、そこに誰もが応援せずにいられないチャリティがいなければ舞台が成立しない。

騙されたと分かってもなお信じようとする健気さや、見ず知らずの人に対して見せる打算のない優しさに、少しでも嘘があればあざとく見えてしまうわけだが、知英にはそれが全くないのだ。こんなに素直で一生懸命な女の子が自分の周りにもいたら楽しいだろうな、と思わせてくれる知英チャリティは、間違いなく本作最大の見どころ。



だがもちろん、見どころはそれだけではない。真面目な会計士という意外な(?)役どころに挑んだ岡の、真面目がゆえのおかしみを巧みに滲ませた演技や、会見で「セレブ(の役)です! 岡さんがセレブだから、稽古場から観察してました」と語っていた平方の魅惑のスターっぷり。美声の持ち主でアクロバットができる上にコメディリリーフとしても盤石という、高すぎるスペックを存分に発揮した坂元健児。そして、振付師としても活躍する名ダンサーを多く含むキャスト陣による、いつまでも観ていたくなるダンス……!

天才演出・振付家であったフォッシーへのオマージュを感じさせながらも、オリジナリティ溢れる上島の振付が何ともオモシロく、特に一幕半ばの「ポンペイクラブ」での群舞シーンは一見の価値アリ!だ。



 

取材・文=町田麻子 撮影=福岡諒祠

公演情報
ブロードウェイミュージカル『スウィート・チャリティ』

■日時:2016年9月23日~10月2日
会場:天王州 銀河劇場

脚本:ニ-ル・サイモン
作曲:サイ・コールマン
作詞:ドロシー・フィールズ
原案:ボブ・フォッシー

上演台本・演出・振付:上島雪夫
音楽監督:玉麻尚一

<出演>
チャリティ・ホープ・ヴァレンタイン役:知英
 
ヴィットリオ・ヴィダル役:平方元基
ヘルマン役:坂元健児
ダディ・ブルーベック役:黒須洋壬

ニッキー役:原田薫
ヘレン役:ジェニファー

オスカー・リンキスト役:岡幸二郎

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