アフタヌーン・コンサート・シリーズ 西村 悟(テノール) & 平野 和(バスバリトン) 男声の魅力に存分に酔いしれる

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クラシック
2016.11.25


 加速度的に快進撃を続ける大型テノールの西村悟と、ウィーン・フォルクスオーパーの専属歌手として活躍するバスバリトンの平野和のデュオ・リサイタル。平野はちょうど本誌が出る頃にもフォルクスオーパーで《フィガロの結婚》のタイトルロールを歌っているはずだ。二人はともに日本大学芸術学部出身の同窓生。正式タイトルには入っていないが、本人たちは「男だらけ」「男祭り」と、“男”を強調している。

 発表されている曲目のうち二人が一緒に歌うのは、ドニゼッティ《愛の妙薬》のドゥルカマーラとネモリーノの二重唱、グノー《ファウスト》のファウストとメフィストフェレスの二重唱。他は未公表だが、騙すバリトンと騙されるテノールという図式で、「男の駆け引き、騙しあい。男の純粋さから、ずる賢さまで」(西村/チラシより)がテーマになる。オペラでは、どうしてもテノールがヒーローや良い人、バリトンは悪役や敵役が多いわけだが、ここでもその典型が次々披露されることになるのだろう。もちろんそれぞれのソロによるアリアもたっぷり。西村が《微笑みの国》より〈君こそわが心のすべて〉、《魔笛》より〈なんと美しい絵姿〉、《愛の妙薬》より〈人知れぬ涙〉を、平野が《ドン・ジョヴァンニ》より〈カタログの歌〉、《タンホイザー》より〈夕星の歌〉などを歌う予定。

 ピアノは名人・河原忠之。オペラの物語に反して悪役バリトンが主役テノールを食うか、テノールが返り討ちにするのか。丁々発止の男の歌に期待したい。

文:宮本 明
(ぶらあぼ 2016年12月号から)


アフタヌーン・コンサート・シリーズ 西村 悟(テノール) & 平野 和(バスバリトン)
12/8(木)13:30
東京オペラシティ コンサートホール
問合せ:ジャパン・アーツ 03-5774-3040
http://www.japanarts.co.jp/


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