健太郎インタビュー エロ本、喧嘩……激しい『14の夜』を経た俳優が思い描く将来とは

2016.12.21
インタビュー
イベント/レジャー

健太郎 撮影=赤山恭子

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14歳、中学生。過ぎ去ってみれば、青春の清らかな楽しい思い出を語り出してしまいそうな学生時代だが、映画『14の夜』を観ると、忘れたふりをしていた赤っ恥体験や、ヒリヒリした過去の経験がどんどん蘇る。劇中の主人公たちは、どうにもならない悶々とした日々を過ごす、イケても暗くもない中途半端な立ち位置の中学生男子4人組。「AV女優がサイン会にやってくる」というちょっとした非日常の出来事を中心に、物語は展開される。バカバカしくもかわいらしい彼らの姿は、かつて14歳だった我々に「あのころ」を追体験させてくれる。本作にて、主人公たちをいじる同級生のヤンキー・金田を好演した健太郎に、自身の中学校生活や「憧れがある」という昭和の時代について、じっくり語ってもらった。

 

ヤンキー役は「芯がある部分がすごく好きでした」

『14の夜』劇中より (C)2016「14の夜」製作委員会

――健太郎さんならではのかっこかわいい不良感が作品を引き立てていました。出演経緯から聞かせてください

ありがとうございます。オーディションだったんですが、もともと僕はこの4人組(主人公たち)の役を受けに行ったんです。でも、違ったみたいで(笑)。

――ちょっと格好よすぎちゃいますもんね。

いえいえ(笑)。後から聞いたんですが、マネージャーさんは最初から金田を狙っていたようで、作戦成功だったそうです。僕は金田のキャラクターがすごく好きなので、演じることができて幸せでした。

――どういう子だと捉えていたんですか?

ヤンキーなので、自分より「ちょっと弱いな」「下だな」と思う4人には思い切りイキがるんですが、自分より強い人が来たらビビっちゃうヤツなんです。でも実は内に秘めたものや、芯がある人。いつもはその部分をなかなか出さないでいるんですが、とあるシーンで出すことになって、その芯がある部分がすごく好きでした。

――いじめていた金田といじめられていた主人公・タカシの関係性が、ちょっと変わるところがありますもんね。

乱闘のシーンがあるんですが、暴走族がタカシをいじめ出すときに、「今まで俺がいじっていたタカシを、何で急にお前がそんなに言うんだよ」みたいな気持ちが出てくるんです。結果として出た金田の行動が、彼にとっての始まったばかりの人生の大きなポイントになった気がして、大事なシーンでした。

――今回、金田をやるにあたって、具体的にどのような準備をしましたか?

一番大きかったのは、1987年が舞台なので、時代について考えたり調べたりしました。2016年を生きている自分たちが使う言葉を使わないこともあって。「今は言うけど、87年は言わなかったな」と監督が言っていたので、言葉には敏感になりました。当時のアイドルや野球選手の名前も僕は知らなかったんですが、監督やプロデューサーの皆さんからはどんどん名前が出てくるんですよ

――1997年生まれでしたら、わかるわけがないですよね。

そういうのも面白かったです。あと、やっぱり昔のヤンキーなので、『ビーバップ・ハイスクール』を読み返しました。でも、あそこまでちゃんと男の中の男という感じではないんですけどね。

――主演のタカシ役の犬飼直紀さんとは、現場でお話はしたんですか?

あまりしなかったです。どちらかと言うと、僕はヤンキー軍団のほうとコミュニケーションを取っていました。というのも、それぞれのキャラクターがあるから、大事にしたかったので。ヤンキーの中では自分が一番年上で……といっても、1、2歳ですけど。そこで何となく距離ができて、その微妙な距離感がリーダーと、その仲間たちという感じに見えて作品的によかったのかなと思っています。

――1~2歳の差は大きく感じますか?

いや、僕はそうでもないですけど、たぶん向こうが(感じている)。自分が高校生のときを思うと、高校3年と大学1年を比べると、向こうはやっぱり大人で自分よりはちょっと年上という感じが大きかったので、その気持ちはわかる気がするんです。10代の1~2歳って、何でか意外と大きい気がします。今、僕は19歳ですが、これから20代や30代を迎えて年を取れば取るほど、1~2歳の差はあまりないように感じてくる気がするなぁと、周りの大人の方々を見ていて思っています。少しの年の差をすごく大きく感じることも、作品の感じにリンクしていることだと思います。

――タカシくんが自分の立ち位置について悩み、「自分は無所属で何もないカテゴリーだ」と言っていましたが、健太郎さんも学生時代にはそういうことを考えたりしていましたか?

僕は14歳のとき、本当に何も考えていなかったです。タカシたち4人組みたいに、いつも一緒いる人達はいたんですが、「自分はどこのグループなんだろう」とか、将来自分はこうなりたい、ということをしっかりと考えていませんでした。でも、考える子もいると思います。意外と、女の子より男のほうが、そういうのを気にしていると思うんです。学校っていろいろなグループがあって、入れない子がいて、というときに、女の子は結構強くて「別に」と言える子がいる印象ですが、男は表面的に「大丈夫」と言っていても、どこかで引っかかっていると思うんです……たぶん。

 

エロ本、喧嘩……健太郎の激しい『14の夜』

健太郎 撮影=赤山恭子

――作品では、性の目覚めも描かれていますが、演じていて思い出しましたか?

思い出しますね。14歳って、本当に女の人のことしか考えてなかったと思います。やっぱり「竹やぶに行ってエロ本を」とか、みんなやっていたと思います。

――えっ、今の時代でもやるんですか?

竹やぶはちょっと違いますけど(笑)、精神的にはまったく同じです。僕たちのときはゴミ捨て場に落ちているエロ本とか、電車の網棚に乗っている雑誌をちょっとバレないように取ってとか(笑)。あと、じゃんけんで負けた奴が、コンビニにエロ本を買いに行くということも。でも、18歳未満は買えないじゃないですか。だから、本と本の間に挟んで買いに行くとか、自分たちの持っている一番大人に見える服を着て買ってみるとか、チャレンジしました。

――本当ですか。そこまでするんですか(笑)?

でも、大体バレるので買えないんですけどね。「ダメだった~」みたいな(笑)。いい意味でも悪い意味でもバカですよね、本当に(笑)。

――『14の夜』では一家に1台居間にしかテレビがなくて、エッチなビデオを見るときも死に物狂いという描写がありました。今では各部屋にテレビがあったり、携帯を持つのも当たり前なので、性事情もまったく異なりそうですよね。

今はネットで何でも見られますし、小学生でも大体携帯を持っているじゃないですか。だから、1987年ほど必死になる必要もないし、「親がいないから誰かの家に集まって見る!」ということもないと思うんです。でも、僕らが中学や高校のころは、まだそこまでネット依存という言葉が流行っていなかったので、エロ本とかで盛り上がりました。誰かが学校に持ってきて、出して、先生にバレて、頭ゴン、「痛ぇ!」って(笑)。でも考えると、本当に僕らがギリギリだと思います。

健太郎 撮影=赤山恭子

――不自由さへの憧れみたいなものは、あったりします?

あります、あります。よく聞くエピソードの中でいいなと思うのが、電話の話です。好きな子ができたとして誘いたいけど、携帯がない時代だから家の電話にかけるっていう。その子の父親が出て「あっ、すみません!」みたいなのとか。実際は緊張しそうですが、そうやって頑張ることが楽しそうだなと憧れます。あと、今は携帯があるから、友達と「今どこどこにいるから」っていう待ち合わせですが、家を出てしまえば連絡の取りようがないとか、来ていてもちょっとしたことですれ違って会えない、というアナログな感じとか。その不自由さに憧れる部分はあります。興味しんしんです。今からしてみれば考えられないですからね、こんなでっかい携帯とか。
 

『14の夜』劇中より (C)2016「14の夜」製作委員会

――平野ノラさんがネタで持っている初期の携帯のことですね(笑)。『14の夜』というタイトルにかけて、14の夜の思い出を聞かせてください。夜は好きですか?

夜、好きです。今でも朝が苦手で。14歳のときは昼からぶっ通しで夜まで遊び続けていました。でも、14歳のときの具体的な記憶が、もうあまりないんです。いろいろ激しかったのは覚えているんですけど。いたずらとかもしたし、いろんな人と喧嘩もすごいしたし。

――喧嘩、意外です。

中学から高校に上がるタイミングに、一番喧嘩が多かったです。中高一貫の学校で、僕は中学からだったんですが、高校から入ってくる人たちとの間にちょっと壁があって、バチバチしていて。僕が一番嫌いなやつがいて、いつも喧嘩していたんです。だけど、本当に映画みたいな展開で、今そいつが一番仲のいい友達です。

――喧嘩を経て絆ができたり、深まったりするんですね。

そうですね。高2になってクラスが一緒になって、しかも隣の席で。「こいつかよ」とお互いちょっと変な感じもありつつ、だんだん「じゃあ遊びに行くか」みたいになって(笑)。忘れていましたが、撮影中に思い出しました。

――いいエピソードですね。今、役者として、演技という仕事に関して、手応えは感じていますか?

キャリアも含めてまだまだ全然で、役者と言っていいのかというぐらいなので、手応えというよりも、もっともっとやっていかなきゃという気持ちのほうが大きいです。でも、役者を始めて2年半ですが、いろいろな役を演じさせていただいているので、芝居ができていることに関してはすごく楽しいです。自分と違う人間を演じられると、「自分ならこんなことは言わない」、「この人は、こういうふうに思うんだ」とか、発見がすごく多いです。『14の夜』の足立紳監督との出会いや現場の経験で、芝居は本当に楽しいなとさらに思えるようになりました。

――つらいではなく、楽しいという表現なんですね。

つらいもあります。矛盾しているかもしれないですけど、つらいを含め楽しいのかなと思っていて。芝居に関してはあがいているというか、苦しいことやうまくいかないことが多いけど、だから、やれている。言葉にすると難しいんですけど、でも楽しいんです(笑)。

――この先、思い描いているものはありますか?

今は年齢的にも見た目的にも学生の役が多いので、学生以外の役もこれからはやってみたいです。小学生のころ、映画『アルマゲドン』を観て、宇宙飛行士になりたいと思っていたことがあったんです。しかも、隕石から地球を守るほうの(笑)。今から宇宙飛行士になるのは厳しいですが、役を通して宇宙飛行士になれる機会はあるかもしれない。いろいろな職業、いろいろな人間、いろいろな役柄をやってみたいです。

 

映画『14の夜』は12月24日(土)より、テアトル新宿ほか全国順次公開。

インタビュー・文・撮影=赤山恭子  ヘアメイク=伊藤ハジメ・Hajime Ito(Crollar) スタイリスト=池田友紀・Yuki Ikeda(Be Glad) ジャケット・シャツ・パンツ=アダム エ ロペ (アダム エ ロペ)、シューズ=T-MICHAEL (UNIT&GUEST)

プレゼント

健太郎 直筆サイン入り『14の夜』チラシを1名様に
 

 

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作品情報
映画『14の夜』
 

(C)2016「14の夜」製作委員会


出演者:犬飼直紀 濱田マリ 門脇 麦 和田正人 浅川梨奈(SUPER☆GiRLS) 健太郎 青木 柚 中島来星 河口瑛将 稲川実代子 後藤ユウミ 駒木根隆介 内田慈 坂田聡 宇野祥平 ガダルカナル・タカ /光石研 
監督・脚本:足立紳(『百円の恋』) 
音楽:海田庄吾(『百円の恋』) 
主題歌:キュウソネコカミ「わかってんだよ」(Getting Better Records / Victor Entertainment) 
製作:「14の夜」製作委員会(東映ビデオ・ブレス) 
プロデューサー:佐藤現(『百円の恋』) 
制作プロダクション:東北新社 
配給・宣伝:SPOTTED PRODUCTIONS(『百円の恋』) 
宣伝協力:Prima Stella 

公式サイト 14-noyoru.com

(C)2016「14の夜」製作委員会 

PG-12指定
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