『REON JACK 2』柚希礼音と上野水香が舞台初共演で「どんな化学反応が起こるか」
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(左から)上野水香、柚希礼音 (写真撮影:中田智章)
元宝塚歌劇団星組トップスター・柚希礼音が2017年3月から大阪、神奈川、福岡でソロコンサート『REON JACK2』を開催する。柚希は歌劇団在団中もソロコンサート『REON!!』シリーズ、そして退団後の2016年3月には「REON JACK」で満場のファンを沸かせてきた。
今回の『REON JACK 2』は、出演者に東京バレエ団の上野水香(大阪・東京公演)や、バレエ、ジャズ、コンテンポラリーなど多様なジャンルで活躍するダンサーの大貫勇輔、ステージングも担当する大村俊介(SHUN)、前回公演でも登場したタンゴダンサー・クリスティアン・ロペス、ストリートダンサーのYOSHIE(福岡公演)が名を連ね、よりパワーアップしたものとなる。
「アーティスティックな、“観た!”と思えるようなステージを目指したい」と語る柚希、そしてテレビ番組での対談を機に「いつか共演したかった!」と(柚希と共に)語る上野の二人に舞台への意気込みを聞いた。
■『REON JACK2』は新たなる挑戦
――前回の『REON JACK』とはどこが変わるのでしょう。
柚希 昨年の『REON JACK』は宝塚退団後の新たな始まりであるのと同時に、宝塚時代のこともやりながらお客様とのコラボでステージを作り上げていきました。今回はこれまでやってきた『REON!!』シリーズのコンサートのなかでも、最もステップアップしたものになると思います。アーティスティックでクールで、感動し、“観て”いただけるステージです。
――柚希さんと上野さん、お二人の共演が実現した感想をお聞かせください。
柚希 私が昔バレエのコンクールに出ていた時、常に上位にいらしたのが上野さんでした。そんな、憧れの上野さんとの(テレビ番組での)対談を経て、いつか共演してみたいと思っていたところ、こんなに早く実現できて感動です。同時にものすごくプレッシャーも感じています。私がクラシックバレエのほうに寄るでもなく、上野さんが私のようなダンスに寄るでもなく、双方のいいところが出せれば、と思います。
柚希礼音 (写真撮影:中田智章)
上野 宝塚の頃から柚希さんには宝塚というジャンルを超えた、舞台人として素晴らしい大きなものを感じていました。私はこれまでずっとバレエ一本の世界でやってきましたが、柚希さんはジャンルは違っても一緒にいて自然に感じられる方。その魅力を自分の中の何かとシェアできたら一体どんなステージになるんだろうと、興味を持っていました。『REON JACK』を拝見した際、バレエのお客様とは全く違った客層と雰囲気の中での大変な盛り上がりを感じましたが、そこに自分が参加できるのはとても楽しみです。
――現在どのようなステージづくりをしているのでしょう。またどういう点を伝えたいと考えていますか。
柚希 お互いのいいところを出し合うため、私のことをよく知っているSHUNさん(大村俊介)、そして上野さんのことをよく知っている高岸直樹さんと、それぞれの振付家を入れています。私たち同士も「こうしたい」ということがあれば絶対に言い合うことにしています。
一番見てほしいのは、初めて上野さんと会った時からすごく感じている、ステージにかける互いの本気度。ストイックに基礎を積み重ねてステージに立ってきたその挑戦、毎日自分自身と戦って挑んでいる姿です。舞台人として挑んできた二人の本気を通して化学反応が起き、お客さんに「いいものを見た」と思っていただけるようにしたいです。どんな化学反応が起こるかは全く想像できませんけど。私もスタッフも打ち合わせをしている時のワクワク感はすごいのですが(笑)。
――様々なジャンルの方が登場されるので客層も非常に幅広くなると思います。そうしたお客さんたちがついてこられるような企画などは考えていますか?
柚希 ノリと言うよりも、このすごい方々と命がけで戦っている、そして皆で刺激し合って高まっていくという、そういう熱いものを見ていただきたいですね。
――上野さんは全く違うジャンルへの挑戦ですね。その点はどうお考えですか。
上野 バレエを作る過程は何度も経験していますが、違うジャンルの方々がこれだけ集まる舞台は初めてです。とても刺激的で楽しみです。柚希さんとの共演も、練習の第一歩からどうなるのか想像がつきません。でも舞台に対する真剣な気持ちは共通ですし、それは絶対に揺るぎません。その上で柚希さんが座長として引っ張る、多様なジャンルの方が集まるステージを通して、お客様も一つになる、その瞬間が楽しみです。
上野水香 (写真撮影:中田智章)
――コンサートの曲目は柚希さんの持ち歌からですか。
柚希 はい。3月1日にリリースされるミニアルバム「REONISM」で、持ち曲が全10曲になりました。出演される方々とどの曲をやろうか、今頭を抱えているところです(笑)。今回の「REONISM」の曲は、切ない曲や、心に訴えかける曲、あるいは明るくて可愛い曲など、今までの自分だったら出せなかったようなものも入っています。挑戦する自分に重なる歌、恋に関する歌など、このうちの2曲、森雪之丞さんに詩を書いていただきました。とても濃い一枚に仕上がりました。ステージでは歌に合わせて上野さんが踊り、もちろん二人で踊るシーンもあります。
――宝塚退団後、今日までの軌跡についてどのように感じていますか。
柚希 ようやく地に足が付いた、と感じています。退団直後は今までのファンの方々の気持ちも考えながら、舞台人としてどのように歩いていこうか、と考えていました。でも自分がやりたいことに挑戦し、それを楽しみ、一生懸命挑戦する姿を、みなさんが見てくれています。「人がどう思うか」ではなく、毎作品自分がやってみたいか、それを楽めるかどうかを大切にし、その舞台を通して「柚希礼音」というものが少しずつ変わっていければ。その時々に最大級の「柚希礼音」が出せればいいなと考えるようになりました。
■ジャンルの違う二人の共通点
――柚希さんは宝塚の男役から、現在は女性役も演じていますね。
柚希 宝塚の男役も結局人間を追求しているんですよね。本体が女性ですから、「こうしてくれたらうれしい」という男性像を描きつつ、でも男のうわべを演っていたわけではなく、人間を演じようと思っていました。今は女性役をやっていますが、やはり人間、喜んだり悲しんだりというのは男女一緒です。
――上野さんは舞台で様々な役を踊られていますね。
上野 私は身長が高いこともあり、妖精や病弱な役は似合わない――例えば病弱な少女「ジゼル」は若い頃は無理といわれ、自分自身もできるのかと思ったことがあります。でも自分の中にある要素にジゼルとの共通点はある。その共通点を見出せば、役の中に入っていけるんです。ジゼルは恋に破れて傷ついて死に、霊となって王子を許して守るのですが、「好きな人を守る」という気持ちは自分も共感できる。自分の中にある思いと結びつけられれば、それは演技ではなく自然のものになります。
柚希 わかります! 本質的な考えが似ているんですよ、上野さんとは(笑) 。女性だけど男を演じるとなったとき、その本質にある人間像や自分の中にある感情を見出せば自然になれるんです。
(左から)柚希礼音、上野水香 (写真撮影:中田智章)
――最後に、ステージにかける意気込みを。
上野 全く違うジャンルの二人が踊りを通して共有するものを感じてください。皆さんに絶対に喜んでもらえるものになると確信しています。そのためには、とにかく稽古をしないと。
柚希 上野さんとの場面は期待値がとても高いのですが、プレッシャーに負けず、本気で二人で稽古をしたい。どちらも譲り合いすぎず、ちゃんと自分たちがやりたいことをやっていきます。そして、その姿を多くの方に観て頂きたいです。他の皆さんも素晴らしいので、その方々の力をお借りしつつ、その真ん中でありがたく居させて輝き、キッチリとした中身のあるステージをお届けしたいです。そのためにも、とにかく稽古をしないと。また、パシフィコ横浜のみの見せ場も考えています。大阪、東京、福岡と全て違うものになりますのでどうぞお楽しみに。
(左から)上野水香、柚希礼音 (写真撮影:中田智章)
取材・文:西原朋未
写真撮影:中田智章
スタイリング:(柚希)田中雅美
ヘアメイク:(柚希)黒田啓蔵(Three PEACE)、(上野)胡桃澤和久(Three PEACE)
■会場:梅田芸術劇場メインホール
■日程:2017年3月23日(木)~26日(日)
■会場:パシフィコ横浜国立大ホール
■日程:2017年3月30日(木)・31日(金)
■会場:福岡市民会館
■日程:2017年4月19日(水)・20日(木)
■音楽プロデューサー:本間昭光
■ステージング:大村俊介(SHUN)
■振付:大村俊介(SHUN)/YOSHIE 他
東京バレエ団<ウィンター・ガラ>
■会場:神奈川県民ホール 大ホール
■日程:2017/2/25(土)15:00開演
■出演:上野水香、東京バレエ団
■演目:「ボレロ」「中国の不思議な役人」「イン・ザ・ナイト」
■公式サイト:http://www.kanagawa-kenminhall.com/detail?id=34615
東京バレエ団 「ラ・バヤデール」(全3幕)
■会場:東京文化会館大ホール
■日程:2017/6/30(金)~2017/7/2(日)
■振付・演出:ナタリア・マカロワ(マリウス・プティパ版による)
■音楽:ルドヴィク・ミンクス
■指揮:ワレリー・オブジャニコフ
■演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
■出演
<6月30日(金)18:30>
ニキヤ:上野 水香/ソロル:ダニエル・カマルゴ/ガムザッティ:奈良 春夏
<7月1日(土)14:00>
ニキヤ:川島 麻実子/ソロル:柄本 弾/ガムザッティ:伝田 陽美
<7月2日(日)14:00>
ニキヤ:上野 水香/ソロル:ダニエル・カマルゴ /ガムザッティ:川島 麻実子
■公式サイト:http://www.thetokyoballet.com/