全身で感じる生演奏のグルーヴ! ジェフ・ベック、大阪公演の模様を最速レポート
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ジェフ・ベック 撮影=土居正則
ジェフ・ベック 2017.2.2 グランキューブ大阪
エリック・クラプトン、ジミー・ペイジと共に世界三大ギタリストと呼ばれ、今回デビュー50周年という記念すべき節目に来日ツアーを開催中のジェフ・ベック。2017年2月2日(木)、グランキューブ大阪にて待望の来日公演を開催した。
会場に到着すると、ギタリスト界のレジェンドであるジェフ・ベックの雄姿を見逃すまいと既に客席はライブ開始を待つ人たちで溢れている。程なくすると会場のBGMが消え、ゆっくりと暗くなるとステージに青い照明が照らされ、ギターやドラムなどの楽器といくつかのアンプが並んだシンプルなステージ上に、黄色のスポットライトを浴びてジェフ・ベックが登場。
ジェフ・ベック 撮影=土居正則
彼のギターから本日1発目の図太いギターサウンドが鳴らされると客席から歓声と拍手が巻き起こる。そして演奏が始まると、今回のツアーからバンドに参加したロージー・ボーンズ(Vo)が客席に降り立ちゆっくりと練り歩きながら手に持った拡声器を使い、力強い歌声を会場内に響かせる。今回のバンド構成は、ロンダ・スミス(Ba)、ジョナサン・ジョセフ(Ds)、ジミー・ホール(Vo)、そして、ロージー・ボーンズと共に、新しくバンドに招かれたカーメン・ヴァンデンバーグ(Gt)という新編成になっている。
ジェフ・ベック 撮影=土居正則
序盤から、名盤と呼ばれている『Blow by Blow』から「FREEWAY JAM」などのアップテンポな曲が次々と演奏されると、会場の空気も徐々に盛り上がっていく。ジェフ・ベックのトレードマークでもあるストラトキャスターから鳴らされる太く説得力のあるサウンドや、金属のボトルを指にはめて演奏するボトルネック奏法などの派手なプレイでは、大きな拍手と歓声がステージに送られた。
JEFF BECK 撮影=土居正則
そして、ファンにはお馴染みであるロンダ・スミス(Ba)とジョナサン・ジョセフ(Ds)のリズム隊から生み出される、うねるようなリズムや時に激しく聴かせるバシっと決まったグルーヴが心地よい。途中ドラムソロやベースソロが組み込まれた楽曲ではリズム隊の2人がダイナミックかつ確実な演奏をみせつけ観客を湧かせた。そして、今回のライブでは演奏される曲によってボーカリストが変わり、男性ボーカリストであるジミー・ホールが歌う楽曲では、ハイトーンシャウトやどっしりとした伸びのある歌声を使い分け、彼らしい独特のステージングで会場を大いに盛り上げた。
ジェフ・ベック 撮影=土居正則
数曲ほど演奏した後、暗転し静まった会場内に悲しげなギターのチョーキング音が響いた。その瞬間大きな歓声が上がる。そう、お馴染みの名曲「Cause We've Ended as Lovers」のイントロのフレーズである。ブルーとパープルのライトに包まれながら、哀愁を感じさせるプレイを魅せると観客は息を飲み静かに聴き入った。
ジェフ・ベック 撮影=土居正則
今回のライブでは2016年7月15日(金)にリリースされた最新作のアルバムである『Loud Hailer』からも数曲演奏され、今までの変わらないプレイスタイルと、これから先に見える彼の新しいギタープレイへの可能性も感じさせてくれた。畳み掛けるように次々と新旧織り交ぜ、バラエティに富んだ楽曲を演奏する。ライブも終わりに近づいてくると観客は立ち上がり、大きく手拍子をしながら身体を揺らし、彼らの奏でる音を自由に楽しんでいる。そして、本日の最後である曲を演奏すると、ステージ上のメンバーたちは楽器を片手に抱え小さくお辞儀をした後、客席に手を振りステージを後にした。
パソコンによる打ち込み音楽や、人が楽器を実際に鳴らさなくても演奏が成り立ってしまうライブが増えてきている中、やはり生演奏でしか味わえないグルーヴと緊迫感は素晴らしいという事に改めて気づかせてくれた今回のジェフ・ベックの来日公演。こういった演奏を観れる機会も少し減ってきたと感じる今この時代だからこそ、是非とも体感してもらいたいと言わざるを得ないライブであった。
取材・文=けんじろ~ 撮影=土居正則