藤田貴大×今日マチ子の問題作「cocoon」10/10(土)WOWOWで放送
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「cocoon」 撮影:橋本倫史
沖縄戦に動員された少女たちから想を得て描いた傑作が、今夏再び創造され、日本を巡る
今日マチ子原作の人気漫画「cocoon」を、劇団「マームとジプシー」主宰で気鋭の劇作家として知られる藤田貴大が舞台化、今年6月27日(土)から7月12日(日)まで東京芸術劇場 シアターイーストで上演された本作が、10月10日(土)WOWOWで「藤田貴大×今日マチ子「cocoon」憧れも、初戀も、爆撃も、死も。」と題し、放送されることとなった。「cocoon」は、第2次世界大戦の沖縄戦で起きた、ひめゆり学徒隊の悲劇をモチーフにした作品で、舞台版では14人の少女と女性教師の群像劇として描かれている。
2013年の初演では、藤田が得意とする演出手法で、象徴的なシーンを執拗に繰り返す“リフレイン”を多用。否応なしに戦争に巻き込まれた少女たちの悔しさや怒り、嘆きを客席に突き付け、演劇界を震撼させた。2014年には第17回鶴屋南北戯曲賞候補にも選ばれている。この作品が、戦後70年の今年、藤田と今日の手によってさらに深化し、新たな「cocoon」として再演される。リフレイン、そして少女たちが舞台上を絶えず駆け回る演出は今回も引き継がれている。また、音楽は前回と同様、シンガーソングライターでバンド「クラムボン」のメンバー、原田郁子が担当する。
少女・サン(青柳いづみ)は夢の中で、自分の知らない昔のどこか遠くの情景を見ていた。6月の蒸し暑い日、島にはサンを含め全寮制の女子高に通う恋も知らない14人の少女たち。上空からは飛行機の轟音が聞こえ、遠方で炎が上がる。そんなある日、少女たちは授業で教師からカイコの話を聞く。繭(=cocoon)から糸を紡ぐとき、次の世代を生み出すために、一部のカイコのみ生き永らえさせるというのだ。少女たちは、まだ繭に守られているような安心感を抱いていた。
だが学校では音楽や美術をはじめ、まともに授業が行なわれなくなっていく。自分は先生らしいことができているのか思い悩む教師。戦況は厳しさを増し「お国のために」と教えられて育った少女たちは、防空壕に使用された洞窟“がま”の中で看護隊を組織し軍事活動に協力する。そんな少女たちの中にもひとり、ひとりと命を落とす者が出て、やがて彼女らは破滅への道をひた走るようになる。
なお、「cocoon」は、東京芸術劇場 シアターイーストでの上演のあと、新潟、豊橋、沖縄、山口、相模原で終戦記念日の前日となる8月14日(金)まで上演され、生きることの意味を観客に問い、大きな反響を呼んだ。戦後70年の今年だからこそ、一人でも多くの方に観てほしい作品だ。
日時:10月10日(土)夜 10:00
放送局:WOWOWライブ
原作:今日マチ子『cocoon』(秋田書店刊)
作・演出:藤田貴大
出演:青柳いづみ、菊池明明、青葉市子、小川沙希、花衣、川崎ゆり子、小泉まき、西原ひよ、高田静流、中嶋祥子、難波有、長谷川洋子、伴朱音、吉田聡子、コロスケ、石井亮介、尾野島慎太朗、中島広隆、波佐谷聡、飴屋法水
WOWOW:http://www.wowow.co.jp/pg_info/detail/107387/
「cocoon」:http://mum-gypsy.com/events/cocoon
劇団「マームとジプシー」:http://mum-gypsy.com/