飛鳥凛と中田秀夫監督が語る、レズビアンシーンのエロス
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行定勲監督、塩田明彦監督、白石和彌監督、園子温監督による「日活ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」が話題を呼んできたなか、トリを飾るのが中田秀夫監督作の『ホワイトリリー』(2月11日公開)だ。ロマンポルノの小沼勝監督の助監督を務めた中田監督が選んだ題材は、耽美的なレズビアンの世界。ヒロインを務めた飛鳥凛と中田監督にインタビューし、女性同士の濡れ場について語ってもらった。
飛鳥がオーディションで勝ち取った役は、陶芸家の師匠・登紀子(山口香緒里)に心酔し、ただならぬ関係に陥るヒロインのはるか。「最初に『映画で脱げますか?』と事務所の方から言われて。それが中田監督作で日活ロマンポルノ・リブート・プロジェクトの主演だと聞き、これはチャンスだと思ってオーディションを受けました。すごく緊張しましたね」。
中田監督はオーディションで飛鳥と会った瞬間、「彼女だ!」というインスピレーションを受けたと言う。「僕のなかで『ひと目会ったその日から』という恋愛みたいな直感が働きました。いつも主演女優をオーディションで選ぶ時は直感を信じる方なので、その時すでに飛鳥さんに決まるという気はしていましたが、そこからいろいろとお芝居も見せてもらって決まった感じです」。
登紀子を演じたのは、TVドラマ「大奥」シリーズの山口香緒里で、引き締まった抜群のプロポーションを見せている。飛鳥も「私は間近で見ていますが本当にきれいでした」と羨望の眼差しを見せる。「肌もきれいだし、ウエストのくびれもすごかったです。最初にお会いした時よりも絞ったとおっしゃられていて、特に下半身がすごく痩せられていてびっくりしました」。
中田監督は「そうだったんですね。確かに腰のくびれはすごいと思っていました。バストを落とさずに腰回りだけ落とすのは難易度が高い。僕からは痩せてほしいというリクエストはしていなかったので、山口さんの真摯な努力ですね」。
女性同士のラブシーンについては「やりやすかったです」と言う飛鳥。「男性とのラブシーンよりも抵抗がなかったです。余計な邪念がなく、女性同士だからこそ集中してできた感じです。町井祥真さんとのラブシーンはいちばん最後の日だったので、大変ではなかったです」。
『ホワイトリリー』というタイトルのとおり、白百合を絡めた飛鳥と山口のラブシーンは妖艶でありつつも神聖な雰囲気が漂っている。飛鳥は山口のプロ意識の高さに刺激を受けたようだ。「現場に入ると、山口さんが堂々とされていました。やっぱり初めて脱ぐとなると、少しは緊張するものだと思ったのですが、山口さんを見て余計なことは考えずに集中しようと思えたんです。同じ女優として共に表現を競い合う立場なので、自分も頑張らなければと思いました」。
中田監督に、今回レズビアンをモチーフに選んだ理由を尋ねてみた。「男女のラブシーンはどうしても直線的になりやすい。それにロマンポルノのラブシーンはひと続きで撮ることが多く、女性が下で男性が上の場合、男性の背中ばかり撮ったカットになりがちなんです。でも、女性同士の場合だとそれが美しいもつれ合いになる。特に見せ場は最初の白百合のシーンと、最後のテーブルの上でのシーンで、あれは映倫的には男女のラブシーンと同じ扱いでしたが、あの体勢が面白いと思いました」。
本作で美しい肢体を惜しげもなく披露し、女性同士の究極の愛をつむぎ上げた飛鳥は「女優としていままで辿りついていなかったところまで行き着けた気がしますし、自分の殻を破れた感じがします」と力強い手応えを口にした。【取材・文/山崎伸子】