EXILE松本利夫にインタビュー! 人気漫画が原作の舞台『ちるらん 新撰組鎮魂歌』で”悪役”芹沢鴨に挑戦
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『ちるらん 新撰組鎮魂歌』芹沢鴨役のEXILE松本利夫
「月刊コミックゼノン」連載中の「ちるらん 新撰組鎮魂歌」が、岡村俊一演出で舞台化される。激動の幕末を駆け抜けた、新撰組副長・土方歳三ら血気盛んな男たちの厚い友情や激しい命のやり取りを描く。幕末の志士を不良少年に見立てた”ヤンキー漫画テイスト”が持ち味のアクションドラマだ。本作で、新撰組の初代筆頭局長・芹沢鴨を演じる松本利夫(EXILE)が来阪し、2社合同インタビューに応えてくれた。
■「愛や友情を描くヤンキー漫画は、いつの時代にも心に刺さるものがある」
ーー本作は、幕末の志士が不良少年という設定がユニークですね。
僕も好きな漫画を辿ると『ビー・バップ・ハイスクール』や『クローズ』だったり。ヤンキー漫画って心に刺さる名言が多いんですよね。例えば、男同士の友情や愛といった、普段なかなか言えないようなクサイことも堂々と言っちゃうカッコよさとか。どっかに憧れみたいなものがあるのかもしれないですね。いつの時代にも必ず心に刺さる部分があると思います。
ーーMATSUさんが演じるのは”最強の漢”と謳われる、芹沢鴨役です。
この物語の中では、悪役という立ち位置になると思います。原作のある作品はいつも漫画のキャラクターをなぞった方がいいのか、自分の持ってるものを出した方がいいのか悩みます。稽古しながら見えてくる部分もあると思うのですが、僕としては、劇場で生で観ていただけるお客さんがドキドキワクワクするようなものを観せていきたい。強さといっても身体的なものと内面的なものがあるのと思うので、その両方から圧倒的なパワーを表現できればと思います。
ーー悪役を演じることについてはいかがですか?
EXILE自体がもともとそう見えると言いますか男臭いので(笑)、自分としては適役かなと思います。これまでにもドラマで演じたこともありますし、昨年は自分のプロデュース公演『刀舞鬼』で鬼役をやらせていただきました。「桃太郎」を鬼目線で描いた話で、鬼が正義に見える部分もあったのですが、一般的には鬼は悪役ですし。ちなみにスタッフさんには「どう考えても相手役の早乙女太一くんが桃太郎で、MATSUさんが鬼ですよ」と配役が決まる前から言われてました(笑)。
ーー(笑)。演出の岡村俊一さんとは、07年の劇団EXILE旗揚げ公演『太陽に灼かれて』からのお付き合いですね。
ドラマや映画とは違う、舞台での表現の仕方や芝居というものの魅力を一から教えていただいた方ですね。芝居は作られたものだけど、それをリアリティを持って表現するとか。自分の持っているすべてのエネルギーを毎公演で出し切ることとか。岡村さんの演出は久々なので、成長した姿を見せたいですね。
ーー同じ生の舞台とはいえ、EXILEのステージとは違う感覚ですか?
力を出し切るという点は同じですが、ライブは公演期間が長くて3日で、2日休んでまたやってというペースなので、自分たちのなかでもコンディションを作りやすい。それがお芝居になると長いもので1ヶ月公演が続いたり、中には1日2公演の日もあるので、どうしてもモチベーションを保つのに苦労する。それでも、お客さんにとってはその日が初めてなので。毎公演で全力を尽くせてこその役者だよっていうのは、つくづく教わりました。
ーーMATSUさんが思う舞台の醍醐味とは。
「こんなに大変な思いをするんだ」「あんなに苦労したことはないな」というのが舞台なので。やり遂げたときの充実感や満足感は、今までにないぐらいの感情を与えて貰える。マラソンと一緒で、大変なことをやったあとの解放感や達成感が強いですね。自分を追い込むことに何かしらの快感を得られるから、癖になって続けちゃうんでしょうね。うちのメンバー自体がドM精神のひとが多いんですよ(笑)。やっぱりベストパフォーマンスをするために、トレーニングで自分を追い込んで追い込んで、ライブで爆発させるので。
ーー今回は大阪公演からツアーが始まるというのも珍しいのでは?
これ結構”EXILEあるある”なんですけど。東京公演から始まるときは、いつもメンバーがゲネプロを観に来てくれるんですね。でもゲネプロって、本番でもなければ稽古でもない一番ふわっとした状態なので、そこをメンバーに観られると思うとすごく緊張するんですね。家族に見透かされているような感じがして、終演後に「良かったよ」と言われても、「本心ではどうなのかな?」と勘ぐってしまう(笑)。そういう意味では今回は大阪公演を経てからの東京公演なので、心にちょっと余裕が持てるかもしれません(笑)。
■「原作ファンの予想を超える役作りで、『芹沢鴨はMATSUしかいない!』と言われたい」
ーータイトルに鎮魂歌とあるように、命懸けのアクションが見所になりそうですか?
そうですね。アクション場面は多いですし、見応えある派手な演出になると思います。本格的な殺陣の稽古はこれからですが、『刀舞鬼』で共演した早乙女太一くんからもいろいろと殺陣を教わったので、今回それを活かせたらなと思います。
ーー命を懸けた男たちのドラマにも引き込まれそうです。
いわゆる2.5次元ものと言われるシリーズですが、漫画の舞台化と言うよりは、実在した新撰組の物語を「ちるらん新撰組」のキャラクターを借りて表現するというイメージの方が強いんじゃないかな。岡村さんって「俺が一番感情移入できないと、お客さんには伝わらないんだ!」と言って、稽古つけながらボロボロ泣き出すんですね。それほど力のこもった演出で、演者の心の殻をぶち破ってすべてを出させる。岡村さんの追い込み方はすごいと思います。なんとか風でやってたら、絶対にバレますから。それも「本人が本番で恥をかかないためにやってるんだ!」と、愛情があればこそ。あそこまで突っ込んだ演出ができるのは、岡村さんの強みなのかなと思います。
ーー公演中はエネルギーの補給にも気を使われるのでは?
僕はそういうときこそ逆にカロリーを抑えた食事が多いですね。どんどん痩せていっちゃうんですけど。正直に言うと、若い頃のように調子乗って肉などをガツガツ食べていると、翌日お腹の調子が悪くなる。胃もたれがひどいので(笑)。ライブのケータリングでも、油っぽくないヘルシーなメニューが多いですね。
ーー共演には花村想太(Da-iCE)さん、岩岡徹(Da-iCE)さんをはじめ、フレッシュな顔ぶれが揃いました。
先日、岡村さんにも「いつのまにか、自分が最年長になっている!」と話していたところです。20代の方が多いので、仲間に入れるかな(笑)。役柄的には芹沢鴨は一匹狼的な部分がありますが、稽古場ではみんなと仲良くしたいじゃないですか。でも自分もそうでしたが、若いころって同世代がいる中で、わざわざ年上の人に話しかけにいくというのは、なかなか勇気のいることなので。うちの事務所にも「GENERATIONS from EXILE TRIBE」という若手グループがいて、僕は飲み友達ぐらいに思っているんですけど、たまに彼らだけで飲みに行ってるときがあるんですね。「誘ってよ!」と言ったら「誘いヅラいっすよ」と言われるので(笑)。今回は自分からコミュニケーションを取りに行こうかなと。やっぱり稽古場の雰囲気って少なからず舞台に出るものだと思うから。そういうちょっとしたことも大切にしたいですね。
ーー公演期間中は、アフタートークやお見送りなどが付いた”特典日”もあるそうですね。
僕もお見送りに立ちますよ。東京公演には「ちるらん漢祭り」という日があるのですが、役替わりとかあるんですかね? 岡村さんそういうの得意なので、いろいろと考えていると思います。内容はまだ知らされていませんが、その日はハプニング続出でしょうね(笑)。
ーー(笑)。最後に改めて、意気込みをお聞かせください。
せっかくやらせていただくので、原作ファンの予想を超える作品づくりを心がけたいですね。芹沢鴨役も「MATSUしかいないでしょ!」と言ってもらえるように頑張りたい。あとは、カンパニーのみんなと仲良くなれたら良いですね(笑)。
稽古前にも関わらず、「芹沢鴨で!」の無茶ぶりに応えてくれました(笑)
取材・文・撮影=石橋法子
■演出:岡村俊一
■脚本:久米信明
■出演:岩岡徹(Da-iCE)、花村想太(Da-iCE)、早乙女友貴、馬場ふみか、久保田秀敏、松本利夫(EXILE)ほか
2017年4月7日(金)~10日(月)
会場:森ノ宮ピロティホール